「武力紛争の国際法」(東信堂)15,000円、2004年という本が出た。通常1年たつと書評が出るのですが、まだ目にしてない。最近国際法の書籍は邦語文献の脚注は多いが、外国語文献を省いているものも多い中、真面目な脚注だった。だれも指摘しないようでしたら、書かせていただきますが。
例えば、こんなところに気づいておりますが...。
森田章夫「国連部隊」
論旨の整理は明確だが、簡潔かどうかと別である。国連が、武力紛争法の当事者性を持つかどうかだが、事前に要員保護条約を説明し、国連部隊の性格付けを分類し、その関係で武力紛争法との場合分けを説明する方が単純な理論展開になるのではないか。また、強制措置時の各国国連部隊は、武力紛争法の適用は、派遣国と国連のいずれが優先されるのかをまず論じるほうがわかりやすい。筆者の国際コントロール論で示されたとおり理論的な斉一性のある解決と、法の構造を踏まえたプラグマチックな解説との明確な壁を感じた。山本草二先生ならどう記述するかというずれを想像できると、なお面白く読める論文である。
田中誠 「背信禁止規範」
実務家である足立純夫氏の著作を引用する数少ない論文である。騎士道についての法制史的批評について、足立純夫さんの近現代の士官学校教育における「騎士道」定義と、山内進「掠奪の法観念史」に見られる中世の騎士道との定義のずれ、又は時代変遷をもう少し整理されると好ましいのではないか。
第1追加議定書の背信禁止規定と背信に基づく武装行使行為による差異の構成要件のずれをきれいに記述していた。
喜多義人「『降伏敵国軍人』の法的地位を巡る諸問題」
一貫して、歴史的な素材に則して法的考察を行ってきた著者が、第二次世界大戦後の日本軍人の労働力提供に関する法的背景の考察を行ったもの、脚注から、恵比寿の防衛研究所図書館の戦史部原史料にあたり、戦後復員者の苦労のもととなった法的根拠とその不当性を綿密に描いていることが十分窺える。
<全部書かないと中途半端でしたね。これから連載しますか。>
例えば、こんなところに気づいておりますが...。
森田章夫「国連部隊」
論旨の整理は明確だが、簡潔かどうかと別である。国連が、武力紛争法の当事者性を持つかどうかだが、事前に要員保護条約を説明し、国連部隊の性格付けを分類し、その関係で武力紛争法との場合分けを説明する方が単純な理論展開になるのではないか。また、強制措置時の各国国連部隊は、武力紛争法の適用は、派遣国と国連のいずれが優先されるのかをまず論じるほうがわかりやすい。筆者の国際コントロール論で示されたとおり理論的な斉一性のある解決と、法の構造を踏まえたプラグマチックな解説との明確な壁を感じた。山本草二先生ならどう記述するかというずれを想像できると、なお面白く読める論文である。
田中誠 「背信禁止規範」
実務家である足立純夫氏の著作を引用する数少ない論文である。騎士道についての法制史的批評について、足立純夫さんの近現代の士官学校教育における「騎士道」定義と、山内進「掠奪の法観念史」に見られる中世の騎士道との定義のずれ、又は時代変遷をもう少し整理されると好ましいのではないか。
第1追加議定書の背信禁止規定と背信に基づく武装行使行為による差異の構成要件のずれをきれいに記述していた。
喜多義人「『降伏敵国軍人』の法的地位を巡る諸問題」
一貫して、歴史的な素材に則して法的考察を行ってきた著者が、第二次世界大戦後の日本軍人の労働力提供に関する法的背景の考察を行ったもの、脚注から、恵比寿の防衛研究所図書館の戦史部原史料にあたり、戦後復員者の苦労のもととなった法的根拠とその不当性を綿密に描いていることが十分窺える。
<全部書かないと中途半端でしたね。これから連載しますか。>