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詰まるところは明日を知る。なだらかな日々につまずいて
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ポテサラが喰いてえ―ZAZEN BOYS「すとーりーず」ディスクレビュー

2012-10-10 00:37:18 | 音楽
音楽の話。
最近気が付いたらZAZEN BOYSの新作アルバム「すとーりーず」を聴いております。


うーん、これはどうなんでしょう?
僕の中ではめっちゃ怪作ですよ。
糞作にも成り得るし、良作とも言える。
下手こきゃ俺の嫌いな「神作」という言葉にも成り得るのかもしれない。
どっちでもあるし、どっちでもない。
なんだろう、馬鹿と天才は紙一重っつうけどそんな感じ。
トランプの「ブラックジャック」で言うと、17位の状態でHITして、21になっちゃうのか超えちゃうのかを確かめる瞬間の感じの作品。

何このバカな歌詞、このバカバカしい音って思うんだけど、気が付いたら何度も聴いちゃう。
で、その度に「あ、この部分結構面白い。踊れる。ノレる」といった新しい発見があったりするんだよな。
「天狗」とか何度聴いても聴き飽きない。
なので、僕の中ではこれは好きな部類に近い。
でもおススメ出来るのかと言われると結構癖のある作品なので、「怪作」という言葉がふさわしいだろう。

歌詞も奇妙で独特だ。
とりあえず俺の好きな曲の歌詞を紹介したい。
まずは「サイボーグのお化け」だ。
なんだ「農林水産大臣、マイルス・デイヴィス」って。
ジャズか?ジャズなのか?
「陸軍中野学校予備校理事長、村田英雄」って。
何故に突然演歌?
分からん、意味が分からん。でも何か面白い。
そして気が付いたら「パンツ一丁で踊れ」と口ずさんでいた俺という人間が存在していた。


お次は「ポテトサラダ」
このアルバムの中では一番好きな楽曲。
とにかく「ポテトサラダが食いてえ」と連呼しているだけの曲。
おかしい、何かがおかしい。いやそもそもおかしいのは俺の方なのか?
世界か、世界がポテトサラダなのだろうか。
つうかポテサラと略すな。故意的か、故意犯なのか。
と思いきや最後の最後でカニが食いてえとか言いだしやがった。
ポテトサラダは?ポテサラは世界じゃないのか?セカイ系じゃないのか?
そもそもセカイ系ってなんだ。

気が付いたら、俺の前にボウル一杯のポテトサラダが用意されていた。


最後に「暗黒屋」
どこか江戸時代にありそうな、裏稼業に勤しむ屋台の親父の夜を背景とした、悪意と地獄を連想させる。
悪いたくらみがありつつも、閻魔様は見過ごすはずもなく、地獄の代名詞の一つでもある「針の山」を持って来たりしていて、どこか文学的というか。
時代劇にありそうな殺伐とした雰囲気が歌詞から見受けられる。
楽曲自体にはどこか和風で、珍妙な印象を受ける。
特に間奏の「オヤジ!」というちょっと甲高い合いの声が一番好きだ。
何故か分からんけど好きだ。
そして気が付いたら俺も「オヤジ!」とか言っていたりするんである。


そう、これこそが向井秀徳ワールドの魅力であり奇妙な所であり、怖い所なんである。
気が付いたら奴のワードを繰り返させられている。
刷り込まれているんである。インプリンティングである。
言葉のセンスが妙にシンクロしてしまうのだ。

本人はインタビューで酔っ払い型と言っているが、このくらいの感覚が僕にちょうど良く合っているんじゃないかなと思う。
この酔っ払いながらも面白い事がポロッと出た時の感覚が、僕も結構好きなわけである。
とりあえずこれから嫁と駅前の酒屋でポテサラを喰いに行って、一杯の麦酒でシッポリ飲んでこようと思う。
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