明澄五術・南華密教ブログ (めいちょうごじゅつ・なんげみっきょうぶろぐ)

明澄五術・南華密教を根幹に据え、禅や道教など中国思想全般について、日本員林学会《東海金》掛川掌瑛が語ります。

軽症の場合ー漢方処方・新型コロナウイルス肺炎・『方剤大観』+『SARSの中医学』の応用

2022年08月14日 | 漢方・中医学

抗原・抗体検査やPCR検査の結果よりも、

実際の症状を看て治療します。

新型コロナ肺炎かどうかに関わらず、

「衛分」の症状が出ていれば、

「衛分」の方剤 が 非常に効果的です。

普通の風邪やインフルエンザでも、処方は全く同じです。

 

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前回の記事について、「軽症」の場合も知りたい、というご要望がありましたので、ここに公開します。

 

「重症」の場合

漢方処方=新型コロナウイルス肺炎=『方剤大観』+『SARSの中医学』の応用

 

と、併せてお読みください。

 

「衛分」の軽症 

 

 軽いと決まったら、今度は、「熱証」と「寒証」に分けないといけません。どう分けたらいいのでしょうか。熱が出ている時は、寒気を伴う場合があります。熱と寒気が出て、火照った感じが強いなら「熱証」、寒気が火照った感じよりも強ければ「寒証」となります。ですから、体温計は必ず38度以下であることです。それ以上ならば、重い方になります。体温計で37度以上あったとしても、火照った感じと寒気比べて、火照った感じが強いなら「熱証」、寒気が強いなら「寒証」です。寒気がぜんぜんしないなら、もう「熱証」で間違いありません。

 ところが、熱がぜんぜん出ていないと火照った感じがしません。すると、ここでは決められません。決められない場合、あとどういう決め手があるかというと、もし、咳をしていたら、痰がぜんぜんないのが「熱証」、あるいは痰が粘っこいのが「熱証」です。痰が水っぽくて多いのが「寒証」になります。

そうすると、時には、熱もしてない、咳もない、ただ頭痛がするだけ、という、「熱・寒」が分かりにくいという場合もあります。あるいは、発疹が出ているだけ、という場合もあります。こういう場合には、今、飲み物を飲むとして、冷たいものを飲みたいか、暖かいものを飲みたいか、これで決めます。「どちらでもいい」 と言っても、「どちらがどちらよりも良い」、というところで判断します。

それでもどうしても、両方同じくらいだという場合は、日ごろ便秘しやすい方か、下痢しやすいほうか、判断します。どっちもしないという場合、何か狂った時は、下痢か便秘か、で見ます。しかし、たいていは、飲み物で決まるはずです。

もう一つ飲み物以外に、これから冷房と暖房をつけるけれども、どちらがいいか、という見方もあります。冷房に行きたいなら「熱証」、暖房に行きたいなら「寒証」です。

この質問であれば「熱証」、この質問であれば「寒証」と、診断が分かれてしまう場合には、どうするのでしょうか。

診断の優先順位は、体そのものから採れた情報ならば、分泌物や排泄物よりも優先します。

たとえば、冷たいものが飲みたいけれども、水っぽい痰が出るならば、この人は「熱証」です。痰は「寒証」を示しているけども、痰は分泌物ですし、飲みたいのは人間が飲みたいからです。

身体の優先、全体の優先、状態の優先、この順番です。そして「熱証」と決まったら、使う方剤は必ず、梔子、黄芩を使います。

「寒証」ならまだ決められません。次は「実虚」を決めなくては行けません。この人は「実証」か「虚証」かです。

この診断の所はしっかり覚えていただかないと、診断ができません。どんな薬が入っているかは、今、急に覚えていただかなくてもいいです。何々湯を使うと分かればいいのです。何が入っているかは、ツムラの手帳(ツムラ医療用漢方製剤・一覧)をめくれば書いてあります。覚える必要はないです。ただ、診断の方法は手帳にはありませんから、自分でやらないといけません。

「熱証」か「寒証」か決まった後、「実証」と「虚証」の決め方は、まず熱が出ている時に汗がぜんぜん出ないのが「実証」です。汗が出るのが「虚証」です。また日ごろ胃腸が丈夫なのは「実証」、日ごろから胃腸が弱いのが「虚証」になります。感冒に伴って下痢したら「虚証」、便秘したら「実証」です。

それから病人のわりに、元気なのが「実証」、相当衰弱しているのが「虚証」です。

この条件では「実」、この条件では「虚」となれば、先ほど言ったように、この情報はどこから採った情報か、それによって情報を比較して「実虚」を決めていくわけです。そうして、「熱寒」を分け、「実虚」を分けていくと、軽い場合には、「熱実・熱虚・寒実・寒虚」という四タイプの症状に分類できます。

 

 

「衛分」・軽症・「熱実」  ―  「清上防風湯」(58)

 

軽症で「熱実」の人は、梔子、黄芩に、さらに枳実、桔梗、防風、荊芥、連翹、薄荷、川弓、白芷、黄連などが入り、これを合わせて「清上防風湯」と言います。

きちんと、生薬を煎じて飲ませる場合もありますから、処方のグラム数を書いておきます。

黄芩4、黄連2、防風4、荊芥4、連翹4、薄荷4、川弓2、白芷2、梔子2、枳実2、桔梗2。

そして、それぞれの薬の役割は、次のようになります。

 

黄芩+黄連   熱   火

防風+荊芥 表   実  風   収

連翹+薄荷 表 熱 実 風   収

川芎+白芷       風   収

梔子+枳実   熱 実 火     升

桔梗     実 火 痰 収

   ―― 表 熱 実 火風 痰 収 升

    

結果的に、これは、「表・熱・実・火(風)・痰・収・升」を治す方剤だということがわかります。

 

 「清上防風湯」(58)は、ツムラから出ていますが、効能書きには「にきび」とだけ書いてありますから、にきび以外の人には保険が効きません。

 実際に、この方剤が治せるのは、「熱実」タイプの人の、風邪、アトピー性皮膚炎などのアレルギー、痛み、かゆみ、それから「火邪」、炎症。痰、咳とか痰。「升」これも咳とか興奮。「収・熱」を治します。

今は、ただ、感冒が軽いとすると、まず「熱寒」で分けたら「熱」、「実虚で」分けたら「実」、ならば、「清上防風湯」を処方したら良いのです。中に何が入っていて、どういう作用するかは、だんだん勉強するとして、嫌だったら勉強しないとして(笑)、メーカーの「清上防風湯」を飲ませたらたらいいのです。もしくは、薬草を煎じて飲ませたらもっといい。「どうしてわざわざそんな面倒くさい。エキス剤飲ませたらいいじゃないか」と言いますが、ツムラの手帳のグラム数、ご覧の通り、この分量は全部間違ってるんですね。これは厚生省が決めた。厚生省の中には漢方を知っている人がいないから。だから今、厚生省つぶされてしまって、厚生労働省とやらになった。今まで禄でもないことばかりやってきたから。

薬害エイズだ、C型肝炎ウイルスだ、と騒ぐけど、厚生省の漢方行政で、どれぐらいの人が死んだか、どれぐらいの人が被害を受けたか。本当の事を言えば、とても非加熱製剤の比ではないでしょう。

 

 

 

「衛分」・軽症・「熱虚」  ―  「辛夷清肺湯」(104)

 

今度は、軽症の「虚」の場合。

「表」だから、熱やら発疹が出たとか、頭痛がしたとか、咳が出たとか、これが「表」ですね。

「熱」、火照った感じはするけれど、寒気はしない。冷たいものを飲みたい。

エアコンにかかりたい。咳が出ても痰が出ないか出ても粘っこい、こういう人。

日ごろから胃腸が丈夫で、汗が出ない、体力があるなら、「実」ですから「清上防風湯」を使います。

ところが、「熱」まで同じですけども、日ごろから体力がない、あまり胃腸も丈夫でない、汗が出る、こういう場合は、「虚」ですから、梔子、黄芩、石膏、知母、升麻、辛夷、百合、杷葉、麦冬を組み合わせます。これを「辛夷清肺湯」と言います。

梔子というのは前、お話しました、いわゆるクチナシの実ですね。黄芩は小金花(コガネバナ)の根。石膏は石膏像の石膏。知母はなじみのない人がいるでしょう。辛夷とはコブシの花ですね。百合はユリの根っこ。杷葉はびわの葉っぱ。麦冬は麦門冬という植物。

分量は、

梔子2、黄芩2、石膏4、知母4、升麻2、辛夷4、百合2、杷葉4、麦冬4、甘草2。

 

それぞれの薬の働きは、

甘草 表

梔子   熱   火     升

黄芩   熱   火             

石膏   熱   火

知母   熱 虚 火

升麻 表 熱       収

辛夷 表     火 痰 収

百合 ―   虚   痰   升

杷葉 表 熱       収

麦冬 ― 熱 虚   痰 収

  表 熱 虚 火 痰 収 升

 

「辛夷清肺湯」(104)は、ツムラから出ています。効能書きには、ただ「鼻詰まり、慢性鼻炎、蓄膿症」とありますが、その点では「清上防風湯」も効きますし、「清上防風湯」に書いてある、「にきび」も、「虚証」の人なら、この処方でも効きます。

こちらの効能書きを向こうに持っていったって、向こうの効能書きをこちらにに持ってきても、同じ事。違うのは「実・虚」ですが、何の区別も書いてありません。

 

「衛分」・軽症・「寒実」  ―  「川弓茶調散」(124)  

 

軽症の「寒」の場合。実証には、「川弓茶調散」を用います。

香附4、川弓4、荊芥4、防風4、薄荷2、茶葉2、白芷4、羌活2、甘草2

薄荷は西洋医学では、鼓腸、つまり、お腹が張って、たたいたら音がするような時に、よく薄荷を使うんですね。茶葉は普通の紅茶の葉のこと。

 

香附+川芎      寒   風 鬱 収

荊芥+防風    表 寒 実 風   収 

薄荷+茶葉    表   実 風   収

白芷+羌活      寒 実 風 鬱 収

甘草    表

表 寒 実 風 鬱 収

 

「川弓茶調散」(124)は、ツムラから出ていまして、効能書きには「かぜ、血の道症、頭痛」とだ書かれています。

確かに、頭痛にものすごく効果があり、どういう症状かといいますと、感冒、風邪ひいた、熱が出たり、頭痛がしたり、咳が出たり、発疹が出たりする場合の軽いもの。そういう一過性の症状がある、その中で、寒気がする、そして実、汗が出ない、体力がある、胃腸が問題ない場合に、これが使われます。

風邪、頭痛、にはよく効くと。「血の道症」というのは多分効かないと思います。女性のいわゆる生理とか。非常に俗っぽい言い方ですよね、医学書に「血の道症」と書くのも。

 

 

 

「衛分」・軽症・「寒虚」  ―  「参蘇飲」(66)

 

軽症で「寒虚証」の場合だと、「参蘇飲」が用いられます。

甘草、これは漢方の第一歩ですよね。半夏、これは一種の鎮吐鎮咳剤、咳を止める、嘔吐を止める薬。

茯苓、これは、サルノコシカケ。前胡、これは咳止め。大棗、これはナツメ。ナツメは滋養強壮剤。

枳実、桔梗、葛根、蘇葉は紫蘇の葉、陳皮はミカンの皮。

分量は、

甘草2、桔梗2、半夏4、前胡2、大棗4、人参2、茯苓2、枳実2、葛根4、蘇葉4、陳皮4、生姜2

 

甘草+桔梗 表     火 痰

半夏+茯苓     虚   痰 升

前胡+枳実         痰 升

大棗+人参      寒 虚

葛根+蘇葉    表     風     収

陳皮+生姜      寒     痰   収

表 寒 虚 火風 痰 升 収

 

「参蘇飲」(66)。効能書きには「感冒、咳」とだけ書いてありますが、全ての感冒に効くわけではないし、全ての咳に効くわけではありません。軽いもの、軽い感冒の中の「寒証」で、火照った感じがしないで寒気が強くて、また「虚」ですから、体力がないとか、汗が滲み出るとか、そういう場合。

 

 まだ面倒くさいと思う方は、これだけをしっかり覚えてください。つまり、風邪ひきとか、なんとなく熱が起こったとか、ブツブツが起こったとか、そういう症状が軽い場合、「熱寒」を分けて、「実虚」を分けて、「熱実・熱虚・寒実・寒虚」になる。そういう場合、「熱実」には「清上防風湯」、「熱虚」には「辛夷清肺湯」、「寒実」には、「川弓茶調散」、「寒虚」には「参蘇飲」。まずこういうふうに覚えてください。

全く始めての人は、軽症の四つを先に覚えておいて、重い患者はお医者さんに行かせる(笑)

これ薬局で、どれでも全部売っています。この四湯は妊娠中でもかまわない。

いくら妊娠しても「熱寒」は変わりませんが、妊娠中は、よく「虚」になる場合がありますから、それを「実」と勘違いしないこと。体ががっしりして、強そうに見えても、いろんなこと聞いて見て、「虚」の疑いがあるかどうか、これだけはちょっと気をつける必要があります。軽い方は、とにかくこの四種類ですね。

 

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繰り返しになりますが、ウイルスそのものに対処できる漢方薬は存在しませんし、

感染しても症状の出ない人には使えません。

 

予防には、玄米乳酸菌が有効です。

安倍晋三首相が日本を独立に導く と 予言した飯山一郎氏を追悼し子平命理を看る

 

 

 

漢方処方について、詳しくは下記の書籍、ビデオをご覧ください。

  方剤大観  (上・下)       
 
 
      ¥31,500(税込)

 『中国医学基礎講座』

(DVD・5巻=262,500円) 

で、テキストとして使用します。

中国医学志す人びとが一気に「医鍳」の境地に至る近道であり、順序良く学ぶことによって、最高レベルの中国医学の学識と技術が身につくように構成されている講座。「医鍳養成講座」とも言います。

『SARSの中医学』

(DVD・1巻=52,500円) 

SARSの流行時、台湾国民は西洋医学を信用せずに中医学へ走った?!漢方と漢方薬の違い、西洋医学と中医学の違い、漢方的方法論とは何かなど、中医学の基本から遡ってSARSの感染症への対策法を講義する。

 

 

 

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          代表 掛川掌瑛(東海金)                

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