渡月橋に行った帰りに、桂離宮の表示を見かけたので寄って行くことにした。
入口付近にテントが張られ、予約のない人はここで受付をするらしい。因みにここは事前予約が原則で、空いていれば当日入れることもあるそうだが、昨年は何十人もの列ができていたとのことだ。幸いコロナの影響で人が少なく、入ることができた。身分証明書の提示を求められ、13番のカードを首に掛ける。
後から知ったが、1回に入れるのは20人まで。これで午前午後、各3回のパーティが組まれる。つまり1日に最大120人しか入れないことになる。また、18才以上でないと入場できない。ここは修学旅行では訪れることができない場所だ。
中に入れるとまず御成門に行く。先頭は宮内庁の職員のようで、各所で説明をしてくださる。最後尾には皇宮警察の腕章を付けた方が固め、僕らが勝手なことをしないよう、目を光らせている。
さてこの御成門、中々風情があるが、柱はコルク。外国産だという。
次に外腰掛に行く。旅の疲れを癒す場所だそうで、定員は6名。これ以上の客は受け入れなかったそうだ。眼前には島津家から贈られたという蘇鉄が聳える。
やがて池の畔に出る。ここは海を表現しているらしく、先の小島は天橋立を表現している。
池を渡ると茶室のある庵に着く。
市松模様の襖が鮮やかで、対岸の書院からも見えるように計算されている。
この部屋では酒食も出されたそうだが、調理場はない。園内の別の場所で作られ、舟で膳が運ばれてくるのだそうだ。だから掛けられた橋の殆どは太鼓橋になっている。昔はこの池は桂川と繋がっていたそうだが、度重なる洪水の防止のため河床の掘り下げ工事が行われ、この池は閉じた水系になってしまった。その前はホタルがこの池で見られたとのこと。
その後、山を表現した小径を辿りいくつかの小庵を巡る。奥に笑意軒という宿泊施設を見る。風が通り涼しい。
窓の向こうは光ってよく写っていないが、一面の稲田だった。何でも近所の宅地化が進んだため、戦後に買い取り、借景として残すことにしたらしい。
最後に書院に向かう。3棟の書院が繋がっており、何れも東、池に向かっている。
ここの縁台から月を観賞するのだが、彼らは月を見上げず、池に映る月を愛でたという。園内には20以上の石灯籠があるが、宗廟前の2つを除き、みな膝くらいの高さしかない。これらの灯籠に火を入れ、池に写る満月を観ながら酒を戴くのは、最上の愉悦に違いない。
突然の訪問だったが、池周りの景色、趣のある静かな建物、苔蒸した庭園、計算し尽くされた配置・高低差、どれをとっても今まで見た日本庭園の中で最高だった。こんなに風情のある美しい日本庭園があったとは...これは写真で伝わるものではない。
次の日、何気なくα-staition(京都FM)を聞いていたら、今年の10月1日、中秋の名月の夜に観月会が開かれるという。昨年試しに開いたら大変好評だったので今年も開くことにしたそうだ。そうだろう、そうだろう。
早速調べてみたら、残念ながら京都市民だけが応募対象だとのこと。今から住民票を移して免許証を書き換えようかな...