法華寺では、名勝庭園、ひな会式、本尊ご開帳など期間限定のイベントがあり、その全てを体験できるのは4月1日から7日の1週間に限られる。
入口で入場料を払って、いつも通り右手の庭園に行く。ここは華やかさはないが、いつも何某か季節の花が咲いている。手前左にラベンダー、奥にネモフィラとチューリップ。家庭の小さな花壇のようで、如何にも尼寺らしい。
いつもとは違い、幟が掲げられた本殿を横目で見て、名勝庭園に向かう。こちらは修復中のようで、池の水が殆ど抜かれ、名物の杜若も未だ穂が出ていなかった。歩く途中で剃髪した尼僧とすれ違った。
さて本殿であるが、今日は右側の複製像の扉は閉められ、左側の本尊が開帳されていた。やはり色は褪色しており細かな造作は見えにくい。像の前には55体の小像が並んでいる。堂内に流れる説明を聞くと遊女も混じっているという。この後、法要や献茶式などもあるらしいが、敷居が高いので遠慮した。
思えば奈良に来て、多くの複製をみた。円城寺の阿弥陀如来、法隆寺の玉虫厨子、そして奈良国立博物館の正倉院模造品。
特に正倉院模造品は気合が半端なかった。木や螺鈿などの素材は本物を使い、絹は皇后殿下が皇居で育てた蚕の糸を使う。現在あるがままの姿ではなく、製作当初の姿を再現させている。ガラスで囲われているが鏡などが置かれ、前後左右から隈なく見ることができる。正倉院宝物は毎年一部が公開されているが一度展示したものは10年間は外に出さないという。宝物は9千点あるので、五弦琵琶など次にいつ見られるか分からない。こうした複製品は嬉しい。
夢殿の救世観音もいつか複製が作られたらと思うが、これは高望みかもしれない。