栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第24回チャンピオンズC回顧~9Fも高速巡行で制圧、ポップなリズムでスイスイ

2023-12-04 12:24:17 | 血統予想

中京11RチャンピオンズC
◎3.ジオグリフ
○9.クラウンプライド
▲12.セラフィックコール
△4.テーオーケインズ
×2.メイショウハリオ
×15.レモンポップ
チャンピオンズCは急坂つきのダ1800戦だから、良馬場だとヌレイエフの血を引く馬(ジュンライトボルト、チュウワウィザード、クリソベリル、ゴールドドリーム、クラウンプライド、インティ、ハピ)が毎年好走するのは順当といえる(ちなみにヌレイエフの血を引くのは内から3,5,6,8,9,12,14,15)。
今年は無敗の3歳馬セラフィックコールが1人気になっているが、これまで大外から捲り差すケイバしかしていない。展開はハマりそうだがそこはやはり気になる。レモンポップの高速巡行力はここでもナンバーワンだが、行く馬がけっこう揃ったので前傾ラップで流れそうだ。
となると差しから入りたくなるが、馬券的に妙味がありそうなところとなるとジオグリフだろう。ドレフォン牡駒はけっきょくのところダ1800の勝ち鞍が突出して多い。本馬もサウジではカフェファラオやクラウンプライドと叩き合って差のない4着だった。ブリンカー着用で馬群の中で集中して走れるようなら、本格化前とはいえイクイノックスを差し切った馬だ。
クラウンプライドはオリオールとアグネスレディーとエラマナムーのスタミナが活きた配合だから、古馬になっての成長力に富むしHペースのもがきあいになってこそしぶといタイプ。これが相手一番手で、あとは力のある差し馬へ。
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例によってNETKEIBAの全頭血統解説から1~3着を

レモンポップ
母母Harpiaはデインヒルの全妹でシャーリージョーンズH(米G3・ダ7F)勝ち馬。母父Giant's Causewayはストームキャットの代表産駒でマイル~10Fの大レースを勝ちまくった。父Lemon Drop KidはベルモントSに勝ったKingmambo産駒でビーチパトロールなどの父。見た目は母父が強いがデインヒル的な後駆は強靭で、スタートダッシュがよく労せず好位を取れる。一言でいうと高速巡行力が抜群。距離はむしろこの1800がベストでは。(距離◎スピード◎底力◎コース◎)



ウィルソンテソーロ
オハイオダービー(米G2・ダ9F)勝ちDelightful Kissの甥で、ビングクロスビーS(米G1・ダ6F)のThe Chosen Vronも近親。母父Uncle MoはBCジュヴェナイル勝ち馬。父キタサンブラックは年度代表馬でイクイノックスやソールオリエンスを出して成功。母の北米スピード&パワーで捲って、父のスタミナで踏ん張る脚質の中距離馬。交流重賞を3連勝も、JBCクラシックでは一線級相手に完敗を喫した。地方の捲りのきくコースのほうが狙いやすい印象も。(距離○スピード○底力○コース○)



ドゥラエレーデ
サトノダイヤモンド、リナーテ、サトノジェネシスの甥で、母母マルペンサはR.V.マンシリャ大賞典(亜G1・芝2000m)勝ち馬。父ドゥラメンテは二冠馬で種牡馬としても大成功。母父オルフェーヴルだから底力溢れる中距離血統で、サンデーサイレンス~Haloの継続クロスらしい脚捌きで走る芝ダ兼用の中距離馬。機動力に富む反面末脚の斬れ味は並なので、ダートのワンペース先行でも好走する。近走は冴えないが底力を秘めるだけに軽くは見れない。(距離○スピード○底力◎コース○)



今年のチャンピオンズCは先行馬がけっこう揃って、ブリンカー着用のケイアイシェルビーからは逃げ宣言も出ていたほどで、それをレモンポップが大外から高速巡行で追走すると前の組はしんどくなるかなと思ったんですが、好発好ダッシュでレモンが瞬く間にハナに立つと、そこから12.5-11.0-12.9-12.4とペースダウンし、前後半48.8-12.1-49.7というのはまずまず前傾ラップではあるんですが、結果的には前に行った組がだいたい踏ん張ったというレースに

そんななか道中は後方のインでじっとして、原優介が直線外に持ち出して追ったらグイグイ伸びたウィルソンテソーロの末脚は光りましたが、前走帝王賞は大井の砂が合わなかったのがジワジワとしか伸びず、こういう末脚特化のレースのほうが合うのかもしれないですね

ダート適性はUncle Mo×フレンチデピュティの母方が強いというべきでしょうが、オルフェーヴル×フレンチデピュティでマルシュロレーヌやヘリオス、ダイワメジャー×クロフネでノーヴァレンダ=ブランシェクール、ヴァーミリアン×クロフネでリュウノユキナ、ドゥラメンテ×フレンチデピュティでバーデンヴァイラーなどなど、「ノーザンテーストをもつ父×フレンチデピュティをもつ母」の配合は両者のパワーの要素が表出しやすくダートの活躍馬がよく出ています

母系にフレンチデピュティをもつキタサンブラック産駒は、JRAに15頭が出走し、ウィルソンテソーロ、ガイアフォース、コナコースト、ラヴェルなど9頭が勝ち馬となっておりよく走っていますが、芝[9-10-3-49]ダ[7-3-3-20]と率的にはダート成績のほうが良いぐらいで、ガイアフォースなんか一度ダート試してみてほしいなあ…とも

ドゥラエレーデはHalo~サンデーサイレンスの継続クロスですから機動力があるし、サトノダイヤモンドの牝系にドゥラメンテ×オルフェーヴルですからスタミナ十分で、斬れがないので芝の高速馬場では苦しいのですが、ワンペースで行って粘るという型にハマると実にしぶとい

テーオーケインズは調教もパドックも昨年とは雲泥の差に見えましたが、結果は昨年と同じ4着で、直線でレモンとドゥラの間を割ろうとしたら絶妙にスペースを締められつづけて割れそうで割れず

クラウンプライドのパドックも好馬体に見えたんですが、こんなに負けるとは結果的には重かったのか、あと直線内から寄られたのもAureole魂っぽいところのある馬なんで戦意を失くしたかと

ジオグリフはパサパサのダートは合わなかった…という理由だけでは納得できないほどの前走につづく大敗で、ドレフォン産駒が早熟だとは他の産駒を見ていても思えないし、次は芝1800で出直す方向になるんですかね

レモンポップの血統は、母母Harpiaがデインヒルの全妹でシャーリージョーンズH(米G3・ダ7F)勝ち、母父Giant's CausewayはStorm Catの代表産駒で芝ダ兼用で8~10Fの大レースを勝ちまくった名馬、父Lemon Drop KidはKingmamboの海外での代表産駒でベルモントS勝ち、Lemon Drop Kidの母Charming Lassie(北米1戦1勝)はA.P.Indyと父が同じで母が親子という3/4同血の間柄

つまりMr.Prospector~Kingmambo、Bold Ruler~A.P.Indy、Northern Dancer~Storm Cat、デインヒルという、サンデーサイレンスとSadler's Wells以外の最有力のラインの最良のラインの血を受け継いでいるといえ、しかも代々マイラーの血が配されているようでLemon Drop Kidはベルモントに勝った中距離馬やったのでちゃんと「中距離×マイラー」になっているというね

シルエットや走りはGiant's Causewayの面影を強く感じさせるのですが、ものすごい後駆はまぎれもなくデインヒル的で、だからいつもゲートが開くと低い姿勢のままサッと出るので、今日もスタートと二の脚で決めたというか、他の行きたい馬たちに「あ、やっぱりレモン速いわ…」とハナ争いを即座に諦めさせたのがまず大きかった

カテゴリとしてはGiant's CausewayとデインヒルとKingmamboのマイラーというべきでしょうが、こういうマイラー質の馬が8.5~9Fを高速巡行力でゴリゴリ押し切るのが北米競馬の醍醐味なわけで、そういう醍醐味をいつも体現させてくれる名馬です



非キングカメハメハのKingmambo系で、Natalma→Northern Dancerの継続クロスの「3/4Northern Dancerクロス」という整然とした配合で、デインヒルの全きょうだいクロスやCharming Lassie≒A.P.Indyの3/4同血クロスという名血クロスが容易で、たとえばダーレージャパンでスタッドインするとしたらパイロ肌との配合でCharming Lassie≒A.P.Indyの3×4が量産されることになります(レモンパイと呼ぼう♡)

何よりも強靭な後駆を誇る非サンデーサイレンスのパワーマイラーというのがまず魅力で、サンデーの血を引くしなやか中距離血脈が溢れている今の日本にとっては、父としても母父としても渇望されるものだと思います

コメント (1)
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