阪神11R朝日杯FS
◎8.ダノンマッキンリー
○3.ジャンタルマンタル
▲5.タガノエルピーダ
△15.エンヤラヴフェイス
×6.セットアップ
グレナディアガーズ(20年1着)、サリオス(19年1着)、ダノンタッチダウン(21年2着)、レイベリング(22年3着)と、デインヒルをもつ馬の活躍が目立つ最近の朝日杯。◎はダノンマッキンリー。母ホームカミングクイーンはデインヒルの孫で英1000ギニー馬。モーリス×デインヒル系はオセアニアで大成功している配合で、2歳では本馬とダノンエアズロックが母父デインヒル系だ。2連勝がエンジンが違うという勝ち方で、爆発力ではここでも抜けている。アクションが良すぎてガツンと引っかかる心配があるしマイルは今でもギリギリで、行く行くは短距離にシフトしてきそうだが、そこはルメールがなだめてごまかして乗ってくるだろう。グレナディアガーズ、タイセイビジョン、タワーオブロンドンみたいな馬でも好走するのが朝日杯だ。
タガノエルピーダは名繁殖タガノレヴェントンの娘で、父はフィリーサイアーのキズナ。脚長で母のヌレイエフ4×3を感じる力強いストライドで、スローの上がり11.0-11.0のマイル戦を先行抜け出したが、もっとタフなレースになったほうが味がありそうな馬だ。紅一点・キャリア1戦だが一発の魅力はある。シュトラウスは外枠だとカベをつくれずまたうなってしまうのでは。
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例によってNETKEIBAの全頭血統解説より1~3着を
ジャンタルマンタル
母インディアマントゥアナはレッドカーペットH(米G3・芝11F)勝ち馬。父パレスマリスはジャスティンパレスやアイアンバローズの半兄のCurlin産駒でベルモントS(米G1・ダ12F)に勝った。母父Wilburnはインディアナダービー(米G2・ダ8.5F)に勝ったA.P.Indy系。ダートもいけそうな北米血統で、前走芝マイルのデイリー杯を勝ったが、父も母も中距離馬だしマイラーというよりは1800型に見える。ここも好位差しで手堅くまとめるだろうが。(距離○スピード○底力○コース◎)
エコロヴァルツ
ウォータースペースの全弟で、ヴェントヴォーチェのイトコで、母プティプランセスはJRA3勝(芝1800~2000)。牝祖MasakeはハニームーンH(米G3・芝9F)勝ち。父ブラックタイドはディープインパクトの全兄でキタサンブラックの父。ブラックタイド×キングカメハメハはタガノエスプレッソやライジングリーズンと同じ。ブラックタイド産駒らしい先行脚質の中距離馬で、コスモス賞は3角先頭で大楽勝。マイル戦で身上のしぶとさを活かせる形に持ち込めるかどうかだ。(距離○スピード○底力◎コース◎)
タガノエルピーダ
母タガノレヴェントンは優秀な繁殖で、出走産駒9頭のうち8頭がJRA勝ち馬に(タガノトネール、タガノエスプレッソ、タガノディアマンテとオープン馬3頭を含む)。ネオザウイナーやヘッドライナーも近親。キズナ×キングカメハメハはハピと同じ。脚長で母のNureyev4×3を感じる力強いストライドで、スローの上がり11.0-11.0のマイル戦を先行抜け出した。もっとタフなレースになったほうが味がありそうな馬だし、紅一点だが一発の魅力はある。(距離○スピード○底力◎コース◎)
印をつけた馬はパドックでだいたい良く見えましたが、ダノンマッキンリーのいかにも弾けそうな体質とタガノエルビータのいかにもNureyevな重厚さが特に印象的
シュトラウスは大外枠を引いてしまったので、カベをつくれずうなってしまう心配が少なからずあったのですが、「かかってはいない」とマーカンドがコメントしているように、うなり出したところでおっぱなしたので馬とケンカはしていないし、ハナに立ってからは抜いて12秒台に落として走れてはいました
とはいえレースラップが12.5-10.9-10.7-12.0-12.3-11.9-11.2-12.3、10.9-10.7のところでハナに立ってしまうぐらい吹かしてしまったし、そこで競られたセットアップともども最後苦しくなってしまったのは仕方ない
ダノンマッキンリーは後ろから折り合い重視でいくと思っていたんですが、スタート後にオーサムストロークにぶつけられていきなりスイッチが入ってしまい、10.9-10.7のところで口を割ってかかってしまってはこれもノーチャンス
前後半46.1-47.7の前崩れなんですが、途中で12秒台二つ入って中だるみしてるので、10秒台のところでうなってしまった馬たちは特に苦しくなった、というレースだったかと
でもいつも言うことですが、G1レベルのペースでかかる馬は基本強い、並の馬では10秒7のところでうなれないですからね
エコロヴァルツは母系に入るMaster Willieがハイハット≒Aureole2×3の気難しいスタミナ血脈で、新馬-特別を連勝してここに出てきましたが、いずれも少頭数でまだ馬群に入った経験がない
フルゲートのマイル戦の最内枠では揉まれ込んでしまうのではとみてノーマークでしたが、ケツまで下げて、60秒で追走し34秒で上がる中距離馬のペース配分で、大外から追い込んだユタカはとても病み上がりとは思えなかった
周りに馬がいると気にして行きたがるようなエピファネイア的Aureole魂にも見えますが、母プティプランセスは全3勝を新潟外1800~2000であげていて、そっちのイメージが強くて大箱向きの中距離馬やと思いますね
タガノエルピーダは前の組では最先着、直線ジューンテイクと並んで追い比べになってからの絶対抜かせない頑張りがさすがタガノレヴェントン娘という感じで、相手種牡馬の長所をNureyev的ストライドとHyperion的粘着力で支えるスーパー肝っ玉母さんなのです
ジャンタルマンダル川田は目の前でダノンがガツンとかかってるので、この直後で運んでいいものかどうか、ダノンが直線伸びあぐむシーンも当然頭によぎったはずで、早々と3角すぎから内に潜ってパスする決断、勝利インタビューではそのことを言っていたと思うんですが、終わってみればインをスルスル抜け出して完勝でした
この3~4角の進出がいかにも北米の芝馬という趣で、それとこの馬Promised Landの薄いクロスなんでサンデーサイレンス的な斬れ方もするんで、そのあたりも含めてレースが巧くて斬れ味も兼備した弱点の少ない芝9F馬というイメージです
Curlinは北米で枝葉を伸ばしているミスプロ系の名種牡馬ですが、母父Deputy Ministerが見るからに強くて主として北米のダートで成功していて、ただジャンタルマンタルの場合は母インディアマントゥアナが芝馬だったし(4歳時に北米芝G3勝ち)、パレスルーマーはジャスティンパレスやアイアンバローズの母、Smart Strikeはスターズオンアースやストロングリターンの母父で、CurlinのDeputy Minister臭さはあまり感じさせない馬です
来年からダーレージャパンで供用される父パレスマリスにとっては最高のタイミングでのG1勝ちとなりましたが、パレスマリスはCurlinほどDeputy Ministerを強く主張する種牡馬ではなさそうで、芝ダート両方出すだろうなあ~というのが産駒の成績も見ての印象
これでジャンタルマンタルは3戦3勝の2歳チャンピオンとなり、レース巧者で完成度が高いように見えますが、パレスマリスもインディアマントゥアナも比較的遅咲きだったし代々強いクロスもないので、まだまだ成長の余地はある馬でしょうね