お茶碗とお箸

なにしてあそぼ

その感触は独特で

2009-01-31 09:18:45 | Weblog
花崗岩の荒い石組みのわずかな凹凸に手足をへばりつけ
垂直の壁をようやく古い橋の下へと降りていくと

海岸近くの川岸は何時間も前から汐が引いている
護岸コンクリートの上を分厚くかぶさるヘドロが少し乾いて 
それは緑とも茶色ともはっきりしない不思議な文様となって
僕の足元にせまっていた

橋脚にアオコとカキ殻がびっしりと寄生して
海面すれすれに見え隠れしている
いやに生臭い磯のにおいに化学工場の排煙がまざり
さらに異臭となって鼻をつく

それでもしょうがなく 僕はそのぬかるみの硬そうなヘドロに足をおろした
しなければいけなかった 
ウォーキングの最中 モヨウしてしまったから
人目につかない場所といったら ここのほかあたりには無い
冷や汗の一歩目は成功 靴はそれほど沈まなかった
確認して2歩目 これで元には戻れない
両方の足は軟弱なヘドロの中にかろうじて埋没していない

が3歩目 それは運命を感じた一歩だった
そっと踏み込んだ足元をみると履いていたはずの靴が無い 消えた
ソックスの足がヘドロに足首まで のめりこんでいるではないか
靴はといえば元の場所に動かず残っている

この事実を受け入れるまでの微妙な時間
そして事後の自分がとるべき希少な選択肢

僕はソックスの足を粘着する泥から引き抜くと元の靴に戻しました

尿意は限界 時は急を告げる 後悔と感傷に浸ることも無く
試練の3歩目を貫徹した後

今度は反対の足を前に出した。ジャ~~~ン!


撤退する勇気がほんの少しでもあれば
ソックスの片方だけで済んだものを
靴はまたまた僕の半歩後ろにしっかりをのこっていました

同じ事を繰り返す自分のあほさが
折からの冷たい川風にさらされて足元にしみこんできます


とにかく用をたしました
両方の足とソックスと靴の薄いすきまには
きめの細かな汚泥が鋳型のように滲みこんでいるのでしょう
もういい このままでいい 
泥を被ることはなかったが 履いてしまった

そこで一句 吟じます

ぬかるみに 足も とられず 渡り鳥
妙にぬくいぞ 泥のソックス




 

最新の画像もっと見る