花崗岩の荒い石組みのわずかな凹凸に手足をへばりつけ
垂直の壁をようやく古い橋の下へと降りていくと
海岸近くの川岸は何時間も前から汐が引いている
護岸コンクリートの上を分厚くかぶさるヘドロが少し乾いて
それは緑とも茶色ともはっきりしない不思議な文様となって
僕の足元にせまっていた
橋脚にアオコとカキ殻がびっしりと寄生して
海面すれすれに見え隠れしている
いやに生臭い磯のにおいに化学工場の排煙がまざり
さらに異臭となって鼻をつく
それでもしょうがなく 僕はそのぬかるみの硬そうなヘドロに足をおろした
しなければいけなかった
ウォーキングの最中 モヨウしてしまったから
人目につかない場所といったら ここのほかあたりには無い
冷や汗の一歩目は成功 靴はそれほど沈まなかった
確認して2歩目 これで元には戻れない
両方の足は軟弱なヘドロの中にかろうじて埋没していない
が3歩目 それは運命を感じた一歩だった
そっと踏み込んだ足元をみると履いていたはずの靴が無い 消えた
ソックスの足がヘドロに足首まで のめりこんでいるではないか
靴はといえば元の場所に動かず残っている
この事実を受け入れるまでの微妙な時間
そして事後の自分がとるべき希少な選択肢
僕はソックスの足を粘着する泥から引き抜くと元の靴に戻しました
尿意は限界 時は急を告げる 後悔と感傷に浸ることも無く
試練の3歩目を貫徹した後
今度は反対の足を前に出した。ジャ~~~ン!
撤退する勇気がほんの少しでもあれば
ソックスの片方だけで済んだものを
靴はまたまた僕の半歩後ろにしっかりをのこっていました
同じ事を繰り返す自分のあほさが
折からの冷たい川風にさらされて足元にしみこんできます
とにかく用をたしました
両方の足とソックスと靴の薄いすきまには
きめの細かな汚泥が鋳型のように滲みこんでいるのでしょう
もういい このままでいい
泥を被ることはなかったが 履いてしまった
そこで一句 吟じます
ぬかるみに 足も とられず 渡り鳥
妙にぬくいぞ 泥のソックス
垂直の壁をようやく古い橋の下へと降りていくと
海岸近くの川岸は何時間も前から汐が引いている
護岸コンクリートの上を分厚くかぶさるヘドロが少し乾いて
それは緑とも茶色ともはっきりしない不思議な文様となって
僕の足元にせまっていた
橋脚にアオコとカキ殻がびっしりと寄生して
海面すれすれに見え隠れしている
いやに生臭い磯のにおいに化学工場の排煙がまざり
さらに異臭となって鼻をつく
それでもしょうがなく 僕はそのぬかるみの硬そうなヘドロに足をおろした
しなければいけなかった
ウォーキングの最中 モヨウしてしまったから
人目につかない場所といったら ここのほかあたりには無い
冷や汗の一歩目は成功 靴はそれほど沈まなかった
確認して2歩目 これで元には戻れない
両方の足は軟弱なヘドロの中にかろうじて埋没していない
が3歩目 それは運命を感じた一歩だった
そっと踏み込んだ足元をみると履いていたはずの靴が無い 消えた
ソックスの足がヘドロに足首まで のめりこんでいるではないか
靴はといえば元の場所に動かず残っている
この事実を受け入れるまでの微妙な時間
そして事後の自分がとるべき希少な選択肢
僕はソックスの足を粘着する泥から引き抜くと元の靴に戻しました
尿意は限界 時は急を告げる 後悔と感傷に浸ることも無く
試練の3歩目を貫徹した後
今度は反対の足を前に出した。ジャ~~~ン!
撤退する勇気がほんの少しでもあれば
ソックスの片方だけで済んだものを
靴はまたまた僕の半歩後ろにしっかりをのこっていました
同じ事を繰り返す自分のあほさが
折からの冷たい川風にさらされて足元にしみこんできます
とにかく用をたしました
両方の足とソックスと靴の薄いすきまには
きめの細かな汚泥が鋳型のように滲みこんでいるのでしょう
もういい このままでいい
泥を被ることはなかったが 履いてしまった
そこで一句 吟じます
ぬかるみに 足も とられず 渡り鳥
妙にぬくいぞ 泥のソックス