ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

ベラルーシの放射線量 その1

2011-06-30 | 放射能関連情報
 6月20日付の更新した「自分で試してみます」ですが、その後
「Tさん大丈夫ですか?」
というメールをたくさんいただきました。ご心配おかけしてすみません。今日本のほうがよっぽど大変なのに、私のことを心配していただいて申し訳ないです。
  
 私の6月の測定結果である34ベクレルですがこれも大気からの被爆(外部被爆や、呼吸で吸い込んだ)ではなく、食べ物によるものだと思います。
 出所不明のキノコは食べないようにするなど注意していましたし、食品は店で売られているもの(つまり検査してパスしたもの)しか買って食べていないのですが、このような結果になってしまいました。正直言って、お店で売られている食品のことが信じられなくなっている自分がいます。ベラルーシでは食品加工工場では、原材料入荷時と商品出荷時の2回、放射能の検査をすることが義務付けされているのですが・・・。

 今は毎日ビタペクトを飲んで、調理方法にも食べる物にも気を使って暮らしています。再測定でよい結果を皆さんにお知らせしたいです。
 
 他にも今のベラルーシの放射能量はどうなっているのか? といったご質問をいただきましたので、ここで記事にしたいと思います。
 
 まず、普通の一般ミンスク市民は、現在のミンスク市内の放射線量を知りません。知らせている機関もありません。知ろうとする一般市民も非常に少ないです。
 25年も経っているし、放射能汚染地域に指定されていないからでしょう。気にしていない人が多いし、各家庭で線量計を常備しているわけでもありません。
 ちなみにミンスク市民の現在の体内放射能値は、平均すると体重1キロあたり約10ベクレルだそうです。(ベルラド研究所の調査によります。)

  6月上旬、機会があって人の放射線計(ガイガーミュラー管)を預かることがありました。
 それで家の中を測定しましたが、窓を開けていると、風が入るたびに数値が変化しましたが、平均すると0.016マイクロシーベルト/時でした。
 (あくまでミンスク市内の私の家の結果で、他のミンスク市内の数値は分かりません。)


 「ミンスクでは今1mの高さで、どのくらいの線量ですか?」
というご質問をいただいたのですが、分かりません。国も測定をおそらくしていません。していたとしても、公表していないです。ミンスクは放射能汚染地域ではありませんから、調べなくてよい、という考え方です。
 公式の全国土を調査した結果が放射能汚染マップになり印刷もされましたが、2001年度版の地図が最後です。(事故後15年目。)
 湖や河川の調査は土壌とは違う、ということで対象にならず、調査されていませんし、地図にも反映されていません
 それ以降は、各地で部分的に測定をしていますが、全国土にデータを反映させた地図は作られていません。

 この2001年度版地図なのですが、我が家にもあります。これをスキャナーで読み込んでこのブログ上で公開しようと思ったのですが、地図が大きい・・・
 うちのスキャナでは部分的にしかスキャンできませんでした。
 せっかくなので、1枚の地図がバラバラな感じで、しかも切れていたりしていますが、公開しますね。
 この記事につけたのは2001年に測定されたセシウム137の分布状況です。(画像をクリックすると拡大します。)
 ロシア語で分かりにくいと思いますが、ご了承ください。

 黄色の部分は1平方メートルあたり37-185キロベクレル。(1平方キロメートルあたり1-5キュリー)
 オレンジ色は1平方メートルあたり185-555キロベクレル。(1平方キロメートルあたり5-15キュリー)
 赤い色は1平方メートルあたり555-1480キロベクレル。(1平方キロメートルあたり15-40キュリー)
 紫色は1平方メートルあたり1480キロベクレル以上。(1平方キロメートルあたり40キュリー以上)

 となっています。(都市部を表す茶色も使われていますが、紫色と似ていてややこしい・・・。茶色のほうは四角い輪郭線です。)
 地図が大きく、部分的にしかお見せできないのですが、下のほう、真ん中あたりにチェルノブイリ原発の位置が示されています。地図上に「100」とあるのが分かりますでしょうか?
 この100が、チェルノブイリ原発から100キロの地点を表しています。
 これは主にベラルーシ南東部の地図ですが、全体を見るとチェルノブイリ原発から500キロぐらい離れたところにもたくさんのホットスポットがあります。
 ちなみに1987年時点では、ベラルーシの地図上に白い部分(1平方メートルあたり37キロベクレル以下。1平方メートルあたり1キュリー以下)の場所はどこにもありませんでした。


「チェルノブイリ事故当時は、どのくらいあったのですか?」
 そのときはベラルーシの全国土がもれなく放射能に汚染されました。現在チェルノブイリゾーンと呼ばれる放射能汚染地域に指定されている地域はベラルーシの国土の20%ぐらいです。
 以前は指定されていたのに、ある年の調査で外され、住んでよし、とされた地域もたくさんあります。
 実際には低い線量ですが、汚染されている地域がとても多いと思います。絶対に20%以上です・・・。 


「爆発当時はどれくらい汚染されていましたか?」
 以下が国際チェルノブイリプロジェクトにより確認されたデータです。
 「28,000km2が185kBq/m2を超えるセシウム137に汚染した。当時、約83万人がこの区域に住んでいた。
 約10,500km2が555kBq/m2を越えるセシウム137に汚染した。
 このうち、ベラルーシに7,000km2、ロシア連邦に2,000km2、ウクライナに1,500km2が属する。当時、約25万人がこの区域に住んでいた。」
 これには諸説があって、はっきりしない、というのが逆に定説になっているようです。


「今の土壌汚染はどのくらいですか?」
 これも残念ながら、国がちゃんとした調査をしていない(あるいはしているが公表しない)ので、分かりません。
 しかし事故発生から25年目の調査によると、地表から約20センチの深さのところに放射性物質の層ができている、という発表がありました。
 つまり土壌の表面はすでに放射能がない、と言ってもいいぐらいとなり、雨水とともに少しずつ地中深くへしみこんでいっている、という状態です。
 日本はベラルーシよりずっと雨が多いですから、1年にもぐりこむ深さもベラルーシより多いと推測されます。
 このご質問については、後ほど更新する記事も参考にしてください。