オーストリアの湖のほとりハルシュタット- Bone House
* こちらイギリスも雪が降り、5日間家から出れずに、おこもりをしていた私ですが、卵なしケーキを焼いたり、牛乳もつきて、ココナッツミルクでタイカレーを幾種類も作るなどし、たんぱく質は、豆からとってと、サバイバル料理をしておりました。マッシュルームもないので、戻した干ししいたけを代用したり。意外な組み合わせがいけたりする、料理はアートに似ています。
テムズ川で元旦の花火を見ている間に泥棒に入られ、ハウスメイト全員と同様、ラップトップを盗まれたなずなは、大学の図書館で勉強するはめになって、かえってよく勉強しているようです。わたしも突然指が腫れ上がったりと、不調はありますが、これでもっと健康に留意して、長生きしそう。「人間万事塞翁が馬」。
第122話 頭蓋骨にお花の絵-ハルシュタット(オーストリア)
長い髪の毛を固めたドレッドヘアーのワイズマン、患者さんの「ジャングル」は、トーテムポール、と称して、粘土で作った大きな亀、マンモス、ハリネズミ、蛇、オラーウータン、ワシなどのシンボリックな意味のこめられた聖なる動物たちを、その形のまんま、高く積み重ねるという、できないことは何もない、という、ことをアートセラピーでみせてくれました。そういえば、クレイで大きな月を作って、クレーターを掘っていたときもあったし。(こんなに重たい月を天井から吊り下げるといってきかなかったけど)。
また、あるときジャングルは「ビネガーテイスターズ」という、3人の賢者がビネガーの大きなつぼを囲み、なめてみて、それぞれ違う表情をする、という中国の墨絵を描きました。その絵では、孔子は、すっぱい顔をしている。仏陀は、苦い顔。そして、老子は笑っている。ジャングルは「人生はどうとらえるか次第なんだよ。タオでは、人生はありのままでよしとし、すべてを楽しんでいくのさ。」と教えてくれました。
わたしが去年11月におとずれたオーストリアの湖のほとりハルシュタットでは、古くからケルト人が住み、岩塩を採っていたのですが、その岩を少し買ってきてなめてみました。むらさき色のクリスタルのような美しい石です。大昔とおんなじであろうしょっぱい味に驚きながら、古代人の暮らしに思いをはせていました。
ハルシュタットでは山が、湖のそばまで迫っていて、土地がないため、古くから住民は亡くなった人を埋葬したあと何年かして骨を掘り出し、頭蓋骨にお花の絵を描いてBone Houseに収めるということをしてきました。ずらりと並んだ色とりどりの花のついた頭蓋骨を見ていたら、死が生とつながっているような気がしました。
今年はメール通信で、わたしが訪ねたいくつかの世界の聖地について書いていこうと思っているのですが、出発地はわが、アートセラピールームかもしれません。多くのナースが妊娠しているし、わたしの長い黒髪もつやつや、レイラインも通っているかもしれないしなあ。
ジャングルは「俺は犬が好きだから、「Oh, my God!」という代わりに、「Oh, my dog! 」と言うことにしたのさ」などといって笑っていたときもありましたっけ。そんなクリエイティブな発想のできる場、聖地にはアートあり、ですね。
(間美栄子 2013年1月22日 http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef)