by Rudolf Steiner
43. Forty-third week (January 26- February 1)
冬の深いところで
ほんとうのひとなるものは
ぬくもりを暖めている
心で考えることで
そのぬくもりが姿を与える力となっていく
魂の内なる炎を力強く育て
人の魂はいどんでいくのだ
そとの世界のこの冷たさに
(風見鶏)
*私は西から東へと 生活の場所を変えましたが、イギリスでは東のほうが雪が降るんですね。日本では日本海側が雪なのに。この冬は珍しく雪がたくさん降っています。ここは夜ふくろうがほーほーと鳴く田舎で、ロンドンとつながる路線の列車の音だけが静かな空気の中に響きます。
第五十七話 神は自分の中に
私が20代のころ、原子力発電所の前で原発反対のシュプレヒコールの声を上げていましたが、その目の前で核燃料がトラックで搬入されるのを見せ付けられ、個人の力がいかに小さなものか思い知らされたということがありました。そんな数々の挫折感がその後の私の人生に何らかの影響を及ぼしているようです。
こちらの大学院で出会った地中海のキプロス島出身のギリシャ人のソティリスが語ってくれた話は、歴史と個人がどう直接かかわっているのか、挫折感をどう乗り越えるのかということを考えさせてくれました。
彼がまだ小学生のころ、ある日突然、トルコ軍が攻めてきて、キプロスは南と北で二分されてしまったのです。彼のお父さんは商店をやっていたのにそれも捨てて逃げざるをえなく、難民生活を余儀なくされたとのこと。
彼はその後自力でアメリカの大学で苦学し、現在は妻子とイギリスで暮らしています。
ソティリスのメールのページの下には、彼の自作の言葉が書いてあります。
「神はすべての意識ある存在が、自分の慰めのために魂の中に持つ、何かしら美しく、聖なるものである。絶対に、万能の存在で、いつでも願えば手助けをしてくれる、なんてものではない。」
戦車がやってくる、と隣の村から逃げてきた人々が言う。ソティリスはきっと神に助けを願ったことでしょう。
人生経験を経て自分自身の中にこそ信頼できるものを築き上げた彼は、また、自身の魂の中に再び神なるものを見つけ、和解したのでしょう。
挫折から、希望へ。
(間美栄子 2010年 1月15日 http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef)