不登校問題を考える・子ども応援センターTomorrow 

不登校問題への提言・問題提起/不登校の親の会「こぶしの会」/不登校・ひきこもりの人たちの居場所「水曜塾」の活動紹介

ひきこもりとどう向き合うか

2025-01-16 15:42:31 | 随想

昨日(15日)の水曜塾に、70歳代のお父さんが相談に来られました。

40才の息子さんの相談です。

もうかれこれ20年近く家にひきこもっているそうです。

社会福祉協議会が行っている相談会や勉強会をはじめ、いろいろなところに相談に出かけたそうです。

働くための相談・支援なら、「若者サポートステーション」がありますよと助言してくれるのですが、結局は本人の意思次第と言われるそうです。

目の前の息子さんとどうかかわっていけばいいの、どうすれば自立(?)できるようになるのか、途方に暮れておられるのが、言葉の端々から感じられました。

ひきこもっている人とどう関わっていくか。どのように働きかければいいのだろうか。不登校でもそうだが、引きこもりの家族がいれば、何とかしなければ、先行きが心配だ、と考える人が多いでしょう。

でも、引きこもりの状態を改善するための特効薬はありませんし、処方箋もありません。状態を改善するためのマニュアルも見たことがありません。ひきこもっている人は、家に居るのが安心だから家に居るのであり、自分の部屋が一番安全だから、部屋にひきこもっているのだろう。

それを、家から出られるようにしよう、部屋から出そうとしても、そう簡単にはできないでしょう。そんな時、水曜塾に来ていたT君に尋ねました。

彼は、この2年間水曜塾に通い高卒認定試験に合格し、今は、農福連携の農園で就労体験をしています。(彼は15年近くひきこもっていました)

「なぜ、高卒認定試験をうけようと思ったのか?」と聞くと、「ひきこもりに飽きたから。」と答えました。

彼は10歳から学校に行けなくなり25歳まで引きこもり状態が続いていました。途中、部屋からも出なくなり、親と全く顔を合わさない時期も数年間あったといいます。

「ひきこもりに飽きた。」 だから、何かをしようと思い、行動に出た。それが、高卒認定試験だったのです。

亡くなった高垣忠一郎さんが言っていました。「安心できるところで、ゆっくり過ごせたら、いつか心が温まる。そしたら、自然と外に出たくなるものだ。」と。

イソップ寓話の「北風と太陽」が思い浮かんできます。ひきこもりの人達には「安心できる居場所と、ゆったり過ごせる時間」「温かい人の心」があればいいのだろう。時間がかかっても、心が動き始め、体が動き始めるでしょう。