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第1章~画像から迫る小惑星シュテインス

2010-02-04 02:00:14 | 最新ニュース
2008年に接近観測された小惑星シュテインスの画像解析の成果が、アメリカの科学雑誌サイエンスに掲載されました。
それによると、シュテインスはいくつかの塊が集まってできた隙間の多い構造なんだそうです。
撮影された画像の分析から、こんなにも多くの情報が得られるのか!と驚きの内容です。
今回の特集は、その内容を噛み砕いて解説していきます。
どのように画像を分析していき、そこからどんなことが分かったのか、その過程に主眼をおいてまとめてみました。
元の論文はサイエンス1月8日号に載ってるので詳しく知りたい方は参照してみて下さい。

E-Type Asteroid (2867) Steins as Imaged by OSIRIS on Board Rosetta
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/327/5962/190



【探査機ロゼッタが小惑星シュテインスを撮影】


探査機ロゼッタRosettaは(上図:ESA/AOES Medialab提供)、ヨーロッパ宇宙機構(ESA)が2004年に打ち上げた探査機で、2014年に67P/チュリュモフ・ゲラシメンコChuryumov-Gerasimenko彗星に接近する予定になっています。
ロゼッタは途中、2008年9月5日に(2867)シュテインスSteinsに接近し、多くの画像を撮影しました。
ロゼッタはシュテインスに相対速度8.6km/sで接近し、18時38分20秒(世界標準時)に最も近い803kmの距離まで接近しました。

ロゼッタにはOSIRIS (optical, spectroscopic, and infrared remote imaging system)という撮影装置が搭載されています。
OSIRISには、広範囲を撮影できる広角カメラ(WAC)と、狭い範囲を高解像度で撮影できる狭角カメラ(NAC)の2つのカメラが備えられています。
今回の接近では、NACによる自動撮影は最接近の10分前に中断してしまったため、5200km以下の距離から撮影されたのはWACによる画像だけでした。


【画像から分かること】

一枚の画像から得られる情報はどんなものがあるでしょうか?
まず、天体の大きさや輪郭が分かります。
そして、表面の明るさや、場所による明暗の違い、クレーター等の表面の地形も分かります。

さらに複数の画像を組み合わせることによって、情報量は格段に増えます。

カメラには、ある波長域の光だけを通すフィルタが複数備わっています。
様々な波長域で観測された画像を組み合わせると、地表の「色」、正確にはスペクトルが分かります。
スペクトルは、物質の成分や状態によって異なるので、表面の組成が推定できるわけです。

また、異なる方向から撮影された画像を組み合わせることによって、天体の立体的な形が明らかになります。
時間をずらして撮影された画像を組み合わせれば、自転等の天体の動きを知ることもできます。

次章からは、実際にシュテインスの画像の分析からどのようなことが分かってきたかを紹介していきます。


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