ここでは、恒星の進化や、太陽系外の惑星系等についてのニュースを広く取り上げます。
1月に続き、太陽系外惑星をめぐる研究成果にも注目が集まりますが、それ以外に注目したいのはIa型超新星の起源についてのニュースです。
Ia型超新星は宇宙の膨張速度を測定する指標とされ、そこから宇宙論の根幹を成す重要なパラメータが与えられるので、その研究は非常に重要です。
★超新星残骸W44のγ線観測
Gamma-Ray Emission from the Shell of Supernova Remnant W44 Revealed by the Fermi LAT
NASAのγ線観測衛星フェルミによって、超新星残骸W44を観測した結果、シェル構造に一致したγ線放射が捉えられました。
この領域で加速された粒子によってγ線が放射されていることが分かりました。
また、γ線のスペクトルから、陽子や核子から放射されていると推定されます。
★
WASP-12b as a prolate, inflated and disrupting planet from tidal dissipation
WASP-12bは、スーパーWASP計画で発見された太陽系外惑星の一つです。
恒星WASP-12は太陽に似た恒星ですが、手前を惑星が通過したとき(トランジット)に暗くなる現象を利用して発見されました。
WASP-12bは木星質量の1.4±0.1倍の質量を持つ巨大ガス惑星ですが、木星と異なり恒星のすぐ近くを公転するホット・ジュピターと呼ばれる惑星です。
軌道長半径は0.0229±0.0008AUで、太陽系の水星よりもはるかに恒星に近く、恒星半径のわずか3.1倍しかないところを、1.1日で一周しています。
そのため、WASP-12bは恒星の強い潮汐力を受けていると考えられています。
詳しい分析の結果、WASP-12bは扁平な形状をしており、惑星大気が1年間に約1000万分の1木星質量(≒地球質量の数万分の1)のスピードで恒星へと流れ出し、恒星周囲にガス円盤を形成していると推定されます。
また、通常強い潮汐力によって円軌道(離心率が0)となるはずですが、軌道離心率が0.049±0.015であり、惑星の軌道を乱す別の惑星が内側に存在する可能性が指摘されています。
★ケプラー宇宙望遠鏡で5つの太陽系外惑星を発見(続報)
Kepler Planet-Detection Mission: Introduction and First Results
アメリカの科学雑誌サイエンスにも、NASAのケプラー望遠鏡により発見された太陽系外惑星に関する論文が掲載されました。
★Ia型超新星のほとんどが白色矮星同士の衝突で起こる
An upper limit on the contribution of accreting white dwarfs to the type Ia supernova rate
NASA's Chandra Reveals Origin of Key Cosmic Explosions
Ia型超新星の正体は白色矮星で起こる熱核爆発と考えられていますが、伴星から流入する物質が白色矮星に降り積もってチャンドラセカール限界を超えて始まるか、白色矮星同士の衝突によって起こるか、何れかの経路で発生します。
前者の降着シナリオでは、爆発の1000万年前から大量のX線を放射すると考えられています。
近傍の6つの銀河でKバンドの明るさから銀河内で超新星爆発が起こる確率を推定することができますが、仮に全てのIa型超新星が降着シナリオで生じるとした場合に予想されるX線の明るさを算出したところ、実際のX線での明るさはそれよりも30~50倍低いことが分かりました。
このことは、Ia型超新星のうち降着シナリオによって生じるものの割合が5%以下であることを示しています。
★ガンマ線天文衛星「アジレ」がベラ・パルサー星雲からのガンマ線を捉えた
Detection of Gamma-Ray Emission from the Vela Pulsar Wind Nebula with AGILE
ガンマ線天文衛星AGILEの観測によって、ベラ・パルサー星雲から100Mev~3GeVの放射が検出されました。
銀河系内にある未確認のガンマ線源のいくつかは、このようなパルサー星雲からの放射である可能性があります。
★太陽系外惑星大気のスペクトル(続報)
A ground-based near-infrared emission spectrum of the exoplanet HD?189733b
Extrasolar planets: Fluorescent methane spotted
太陽系外惑星HD 189733bのスペクトルは過去にハッブル宇宙望遠鏡やスピッツァー宇宙望遠鏡の分光器を使った観測で得られ、水やメタン、二酸化炭素、一酸化炭素等の成分が検出されました。
しかしこれら宇宙望遠鏡の分光観測では2.4~5.2 μmの波長域がカバーされておらず、今回2.0~2.4 μmと3.1~4.1 μmの間で地上の望遠鏡による赤外線観測が行われました。
その結果は意外なもので、3.25 μmにおける非常に明るいピークが発見されました。
このような輝線の存在は局所的な熱力学的平衡を仮定したモデルでは説明できず、メタンからの非平衡熱力学的放射と考えられます。
また、スピッツァー宇宙望遠鏡で3.6 μm前後の波長域での赤外線カメラによる撮影が行われていましたが、分光能が低いため上のようなスペクトル特性を捉えることはできなかったようです。
1月に続き、太陽系外惑星をめぐる研究成果にも注目が集まりますが、それ以外に注目したいのはIa型超新星の起源についてのニュースです。
Ia型超新星は宇宙の膨張速度を測定する指標とされ、そこから宇宙論の根幹を成す重要なパラメータが与えられるので、その研究は非常に重要です。
★超新星残骸W44のγ線観測
Gamma-Ray Emission from the Shell of Supernova Remnant W44 Revealed by the Fermi LAT
NASAのγ線観測衛星フェルミによって、超新星残骸W44を観測した結果、シェル構造に一致したγ線放射が捉えられました。
この領域で加速された粒子によってγ線が放射されていることが分かりました。
また、γ線のスペクトルから、陽子や核子から放射されていると推定されます。
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WASP-12b as a prolate, inflated and disrupting planet from tidal dissipation
WASP-12bは、スーパーWASP計画で発見された太陽系外惑星の一つです。
恒星WASP-12は太陽に似た恒星ですが、手前を惑星が通過したとき(トランジット)に暗くなる現象を利用して発見されました。
WASP-12bは木星質量の1.4±0.1倍の質量を持つ巨大ガス惑星ですが、木星と異なり恒星のすぐ近くを公転するホット・ジュピターと呼ばれる惑星です。
軌道長半径は0.0229±0.0008AUで、太陽系の水星よりもはるかに恒星に近く、恒星半径のわずか3.1倍しかないところを、1.1日で一周しています。
そのため、WASP-12bは恒星の強い潮汐力を受けていると考えられています。
詳しい分析の結果、WASP-12bは扁平な形状をしており、惑星大気が1年間に約1000万分の1木星質量(≒地球質量の数万分の1)のスピードで恒星へと流れ出し、恒星周囲にガス円盤を形成していると推定されます。
また、通常強い潮汐力によって円軌道(離心率が0)となるはずですが、軌道離心率が0.049±0.015であり、惑星の軌道を乱す別の惑星が内側に存在する可能性が指摘されています。
★ケプラー宇宙望遠鏡で5つの太陽系外惑星を発見(続報)
Kepler Planet-Detection Mission: Introduction and First Results
アメリカの科学雑誌サイエンスにも、NASAのケプラー望遠鏡により発見された太陽系外惑星に関する論文が掲載されました。
★Ia型超新星のほとんどが白色矮星同士の衝突で起こる
An upper limit on the contribution of accreting white dwarfs to the type Ia supernova rate
NASA's Chandra Reveals Origin of Key Cosmic Explosions
Ia型超新星の正体は白色矮星で起こる熱核爆発と考えられていますが、伴星から流入する物質が白色矮星に降り積もってチャンドラセカール限界を超えて始まるか、白色矮星同士の衝突によって起こるか、何れかの経路で発生します。
前者の降着シナリオでは、爆発の1000万年前から大量のX線を放射すると考えられています。
近傍の6つの銀河でKバンドの明るさから銀河内で超新星爆発が起こる確率を推定することができますが、仮に全てのIa型超新星が降着シナリオで生じるとした場合に予想されるX線の明るさを算出したところ、実際のX線での明るさはそれよりも30~50倍低いことが分かりました。
このことは、Ia型超新星のうち降着シナリオによって生じるものの割合が5%以下であることを示しています。
★ガンマ線天文衛星「アジレ」がベラ・パルサー星雲からのガンマ線を捉えた
Detection of Gamma-Ray Emission from the Vela Pulsar Wind Nebula with AGILE
ガンマ線天文衛星AGILEの観測によって、ベラ・パルサー星雲から100Mev~3GeVの放射が検出されました。
銀河系内にある未確認のガンマ線源のいくつかは、このようなパルサー星雲からの放射である可能性があります。
★太陽系外惑星大気のスペクトル(続報)
A ground-based near-infrared emission spectrum of the exoplanet HD?189733b
Extrasolar planets: Fluorescent methane spotted
太陽系外惑星HD 189733bのスペクトルは過去にハッブル宇宙望遠鏡やスピッツァー宇宙望遠鏡の分光器を使った観測で得られ、水やメタン、二酸化炭素、一酸化炭素等の成分が検出されました。
しかしこれら宇宙望遠鏡の分光観測では2.4~5.2 μmの波長域がカバーされておらず、今回2.0~2.4 μmと3.1~4.1 μmの間で地上の望遠鏡による赤外線観測が行われました。
その結果は意外なもので、3.25 μmにおける非常に明るいピークが発見されました。
このような輝線の存在は局所的な熱力学的平衡を仮定したモデルでは説明できず、メタンからの非平衡熱力学的放射と考えられます。
また、スピッツァー宇宙望遠鏡で3.6 μm前後の波長域での赤外線カメラによる撮影が行われていましたが、分光能が低いため上のようなスペクトル特性を捉えることはできなかったようです。
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