航空券の手配は終わったが、次に必要なのは南大東島で泊まるホテルの予約であった。前回泊まった「ホテルよしざと」に電話して予約を試みたところ、全館満室であった。4年振りの豊年祭で、しかも、島への訪問が緩和されたことから、親戚、知人などが久しぶりの親睦のため大挙して予約したらしい。ホテルよしざとは、本館、別館、民宿と複数の建物があり、部屋数も一番多いのであるが、そこが満杯であった。島内にある宿泊施設は限られている。「コテージKIRAKU」というリゾート風戸建てのホテルもあるが、歓楽街から離れていて不便であり、宿泊費も高いのでここは最初から対象外である。前回は泊まらなかったが、在所集落に近いホテルに「プチホテルサザンクロス」がある。電話で予約しようとしたところ、「暫く休業していて、お祭の最中は宿泊を受付ておりません」との回答であった。
すると、残ったホテルは飛行場に近い「月桃ムーンピーチ」となる。このホテルは、以前は「ピットイン新城」という民宿に近い宿泊施設であったが、経営者の高齢化により2017年に廃業した。その後、民宿の施設は、島外から移住してきた若手の経営者に全て貸し出し、リニューアルして月桃ムーンピーチという名称のホテルを再開した経過がある。前回の旅行で、特産の月桃を利用して制作した日用品を見るためにピットイン新城を訪問したことがあった。このため、このホテルについての土地勘はあった。在所集落とは島の反対側に位置し、歓楽街に出掛けるには車やバイクを使って15分程度がかかる。三食とも外食となれば、その都度ホテルと在所集落を往復しなければならず、不便なことはこの上もない。まして、歓楽街で飲酒してから車やバイクを運転することはできず、夜の楽しみが無くなってしまう。周囲は砂糖きび畑で、「ポツンと一軒屋」の表現にほぼ近い環境である。
環境は把握していたが、念のために電話して宿泊費、条件などを問い合わせてみた。宿泊費は格安であったが、食事の面倒は見られないので自炊か外食して欲しいとのことであった。交通手段が無いので在所集落で飲酒ができない、と質問すると「午後11時までなら無料で送迎いたします」と説明してくれた。しかし、不便なことは間違いないので保留することにした。なお、この「月桃ムーンピーチ」の設備については後の章で詳しく説明します。
2、3日後、もしかしたら宿泊できる可能性があるのではないかと期待して、再度「サザンクロス」に電話してみた。電話口からは、「本来は休業するはずでしたが、仕事のため来島する馴染み客から宿泊を依頼されたので、営業することにしました。ホテルを開くと宿泊者が一名でも二名でも同じなので、予約を承ります」という有り難い返事を貰った。これでやっと泊まる場所を確保することができた。
私は3日間サザンクロスにお世話になったが、その間ホテルに同宿していたのは、沖縄本島から来島した60歳代の電気工事の職人が一人だけであった。
元々この「サザンクロス」は地元の土木会社により運営されていたもので、素泊まり専門のホテルであった。前回、ホテルの反対側にはヤードがあり、建設機械やトラックが並んでいたのを見たことがある。ホテルは従業員や短期の季節労働者のための宿舎として運営していたのではないか、と思われた。ホテルに空き室があれば観光客にも部屋を提供していたのでしょうか。親会社の土木会社は2023年7月に閉鎖し、現在元社長は砂糖きびを栽培する農業に転業したとのことです。このため、ホテルは個人名義に切り替えて運営しているのではないかと推定された。
島内にはタクシー、バスなどの公共交通機関が無いため、到着する飛行機の時間に合わせて飛行場まで社長婦人がお迎えしてくれました。
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