新・南大東島・沖縄の旅情・離島での生活・絶海の孤島では 2023年

2023年、11年振りに南大東島を再訪しました。その間、島の社会・生活がどのように変わっていったかを観察しました。

島の住宅事情

2023-09-08 19:30:02 | 旅行

 

 人が住むところには雨露をしのぐための住宅が必ずあります。南大東島にも住宅がありますが、正確な戸数は不明です(工場、事業所、官公庁を除く)。1世帯が複数の住宅を所有していたり、一戸建ての長屋に2世帯が居住していることもあることから、実際の戸数を計数することは不可能でしょう。2022年4月末での総世帯数が672世帯であることから、島の住宅は700戸弱ではないかと推測される。
 島の住宅をその用途から分類してみると下記のようになる。
  1 、自己所有住宅
 土地、建物共に自己所有の住宅である。日本の農村部では「家は自分のもの」というほぼ共通した認識がある。南大東島でも同様で、居住用住宅の大部分が自己所有と思われる。ただ、建物は自己所有だが、土地は借地の場合もあると考えられるが、借地の住宅については調べる方法が無いので不明である。
 2、賃借した住宅
 いわゆる借家のことです。島のあちこちには空家が見かけられるので、それを借りて住むという人が出てもおかしなことではない。しかし、島で戸建ての住宅を賃借する需要があるのかどうかが疑問である。企業からの派遣で、1週間や1か月程度の間島に居住するのであればホテルを利用すれば足りることである。長期に転勤することになれば、その企業が所有する社宅に入居すれば良いことである。実際に、地元で大きな工事を請け負っている土木会社、建築会社では、派遣した社員を住まわせる社宅を島に保有している。転勤してきた地方公務員や教員であれば官舎が用意されているので、住宅を借りる必要性はない。
 すると、戸建ての住宅を1年間とか2年間賃借するのはどんな人物と想定できるだろうか。生活のために独立した台所、浴室などが必要となる家族連れが該当する。また、長期にわたり島に住まなければならない理由が必要となる。例えば、島の風物を写生しようとする画家、珍しい昆虫や蝶を採取しようとするマニアなどが当てはまる。同じ離島の宮古島や石垣島では、定年退職した高齢者が移住している。しかし、観光地や名所もない狭い南大東島で老後を過ごそうという高齢者はいないであろう。こうしたことから推測して、島には賃貸住宅の需要は無いと考えられる。
 もし、住宅を賃借するとなればどのようにしたら良いだろうか。島には不動産屋が無いため仲介を依頼する方法は無い。口コミで借家の情報を入手するしかないであろう。ただ、島に自宅を所有している親戚から管理を任され、賃借して居住している人はいるかもしれない。
 3、店舗兼用住宅
 居住用の住宅であっても、商売に利用している場合もある。商店、飲食店などが該当し、建物の前半分は店舗で後半分が居宅である。このような店舗兼用住宅は島の中心部の在所集落と池之沢集落にしか見かけられない。他の集落は農業地域であるため、商売が成り立たないからある。
 4、店舗兼用住宅の賃借
 先ほど、島では住宅の賃貸はあり得ないと説明したが、店舗兼用住宅を賃借している例があるらしい。島で飲食店や飲み屋を営業するとなれば、在所集落にある歓楽街でなければ集客が見込めない。しかし、島の歓楽街は狭いため、店舗兼用住宅が売り出されることはないらしい。例えば、スナックを経営していて一時的に休業しても、将来は再開するかもしれない。また、一時休業していても子息にスナックを開業させるかもしれない。狭い歓楽街では、一旦店舗を売却してしまうと二度と入手することはできない。こうした事情から、店舗付き住宅の家主は売り渡すことは絶対にせず、休業している間だけ第三者に賃貸することがあるらしい。
 一段目、二段目の写真は在所集落にある典型的な住宅である。昔は木造の住宅が多かったが、最近ではブロック積みの住宅に変わってきている。三段目の写真はブロック積み住宅の建築途中を写したものである。四方の壁をブロックで積み、柱と梁を鉄筋コンクリートにし、屋根を木造のしてある。台風が多いためこのような設計になっているらしい。四段目、五段目の写真は農村地域の住宅である。

 

 


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