久しぶりに夫婦で歌舞伎座に正月歌舞伎を見に行き、播磨屋や玉三郎の
舞台を見ると、やはり歌舞伎は良いな~、と気持ちが新たになりました。
特にお正月の歌舞伎は気分が華やかで鷹揚とした空気が場内に流れて
いて何ともいえません。和服でも着て来れば良かったな、と思います。
明治生まれの親の影響もあり若い頃は歌舞伎をずいぶん見たものです。
国立や歌舞伎座を行ったり来たりで、松本白鸚、尾上梅幸、紀尾井町の
大松緑、それにまだ若くして亡くなった息子の辰之助が共に元気に活躍
していた頃でした。
当時の歌舞伎界で主役の脇を固める役者の方々も良い俳優さんたちが
そろっていましたね、今やほとんど鬼籍に入られています。30年も
経ちゃあね。
ずいぶん前ですがNHKで放送した松緑の「花の生涯」なんて良かったよ。
この翌年が長谷川一夫の「赤穂浪士」でね、確か。歌舞伎役者も結構
出ていたんだよ。良かったな、これも。懐かしい。
そういえば国立で「七つ面」を見たのも正月だった。昭和58年だった。
ついこないだ、だと思ったら32年も前のことになる。
そりゃ名優たちもいなくなっちゃうよね。月日の経つのはあって間です。
でもね、今思うとホント渋くて良い役者さんたちが多かったな。
實川延若なんて実に渋くてね、好みの役者さんでしたね。それから立役で
侍なんかやらせると立ち姿が綺麗な市村羽左衛門とか踊りの名手富十郎
とかね。市川中車とか守田勘彌とか実に良かったな。こういうひとがいない
と歌舞伎は困っちゃうんだよね。
歌舞伎座で玉三郎の「女暫」を見たら、妙にもっと玉三郎を見たくなった
ので、カミサンと一緒に東劇のシネマ歌舞伎の玉三郎を見に行って
来ました。ついでに踊りの好きな姉も誘い三人一緒で観劇と相成りました。
去年3月歌舞伎座の杮落し公演で話題になった七之助と共演した
「二人藤娘」と勘九郎との共演の八岐大蛇の大蛇退治の「日本振袖始」
の二本立てです。
東劇に向かう前に、新橋演舞場の「石川五右衛門」に長唄で三味線を
弾いている身内がいるので地下の楽屋に寄って三越で買ったチョコレート
の差し入れをする。誕生日だからね、何かしてあげないと。
以前は近くの料亭へ行くのかこの辺りは人力車が走っていたものですが、
現在はどうなんでしょうね。夕方なんぞ良い雰囲気があったものですが。
演舞場から歩いても5分とかからない東劇へ。
ずっと昔に東劇だかこの反対側にあった松竹セントラルだかでジョン
ウエインの戦争映画「史上最大の作戦」を見たのを思い出した。
アメリカ軍を主とするノルマンディー上陸作戦を描いた戦争巨編で
ずいぶんと話題になった大作映画だった。
僕は子供の頃から映画好きだったし、高校が中央区だったから映画を
しょうっちゅう見ていた。みゆき座、有楽座、東劇あまり知られてないが
東京駅の八重洲口にも映画館があった。都電の走っていたころで、
鍛冶橋にも鍛冶橋座という洋画の二本立ての映画館があったがみんな
無くなってしまった。
いまや三原橋の映画館も無くなってしまい、当時を知っている人間と
しては何だか淋しい気持ちになる。都電は何だかムードがありましたね。
どこ行くのでも都電でね、今で言うJRは国鉄で省線って言ったものです。
あのころはのんびりしていて良かったな。
さて、肝心のシネマ歌舞伎ですがさすがに映画でなければ出来ない
カットや描写があって、裏方さんやら役者の幕の裏側の動きなどが
見られて舞台とは違った趣があり、何より映像が綺麗なのが良い。
玉三郎の藤娘のまあ綺麗なこと。それで二本目の演目の大蛇になると
これがまた同じひとかと思うほどのすさまじさ。勘九郎相手に
大立ち回り。大スペクタクルです。イヤー、付け打ちでもやりたい
気分になりますぞ。
以前ここで玉三郎のシネマ歌舞伎「降るあめりかに袖はぬらさじ」
を見たのを思い出す。そういえばあの時は勘三郎も出ていたんだね。
やはり玉三郎は所作が綺麗で何より立ち姿が美しい。これからは
これほどの役者さんはもう出て来ないのではないかと思ってしまう。
映画とは言えもうゾクゾクしながら見ておりました。
今や歌舞伎や踊りの世界ばかりではなくその芸域は広く世界的な
レベルで海外での評価が非常に高い。稀有な存在の役者さんだ。
もう本当に「鷺娘」は踊らないのかしらん。松嶋屋仁左衛門の
「女殺油地獄」も演らない演目となると無いものねだりで見たい、
見たいとなってしまう。一世一代って言ってたから最後だったんだろう。
守田勘彌の見る目は鋭かったというべきか。新派には二代目
水谷八重子(良重)、歌舞伎には坂東玉三郎。 この縁の絡みと
深さは何と表すべきか。芸が縁の糸車、とでも言っておきましょう。
守田勘弥をリアルタイムで見たひとももう少なくなってきたかも
知れない。話がずれるが、新派なら個人的には初代の水谷八重子が
断然いい。こういうのは書き出すとキリがないからここで止めとく
けどね。
帰りは銀座で今風なイタリア料理を食べワインを飲んで良い気分で
帰宅しました。
大和屋ア!
舞台を見ると、やはり歌舞伎は良いな~、と気持ちが新たになりました。
特にお正月の歌舞伎は気分が華やかで鷹揚とした空気が場内に流れて
いて何ともいえません。和服でも着て来れば良かったな、と思います。
明治生まれの親の影響もあり若い頃は歌舞伎をずいぶん見たものです。
国立や歌舞伎座を行ったり来たりで、松本白鸚、尾上梅幸、紀尾井町の
大松緑、それにまだ若くして亡くなった息子の辰之助が共に元気に活躍
していた頃でした。
当時の歌舞伎界で主役の脇を固める役者の方々も良い俳優さんたちが
そろっていましたね、今やほとんど鬼籍に入られています。30年も
経ちゃあね。
ずいぶん前ですがNHKで放送した松緑の「花の生涯」なんて良かったよ。
この翌年が長谷川一夫の「赤穂浪士」でね、確か。歌舞伎役者も結構
出ていたんだよ。良かったな、これも。懐かしい。
そういえば国立で「七つ面」を見たのも正月だった。昭和58年だった。
ついこないだ、だと思ったら32年も前のことになる。
そりゃ名優たちもいなくなっちゃうよね。月日の経つのはあって間です。
でもね、今思うとホント渋くて良い役者さんたちが多かったな。
實川延若なんて実に渋くてね、好みの役者さんでしたね。それから立役で
侍なんかやらせると立ち姿が綺麗な市村羽左衛門とか踊りの名手富十郎
とかね。市川中車とか守田勘彌とか実に良かったな。こういうひとがいない
と歌舞伎は困っちゃうんだよね。
歌舞伎座で玉三郎の「女暫」を見たら、妙にもっと玉三郎を見たくなった
ので、カミサンと一緒に東劇のシネマ歌舞伎の玉三郎を見に行って
来ました。ついでに踊りの好きな姉も誘い三人一緒で観劇と相成りました。
去年3月歌舞伎座の杮落し公演で話題になった七之助と共演した
「二人藤娘」と勘九郎との共演の八岐大蛇の大蛇退治の「日本振袖始」
の二本立てです。
東劇に向かう前に、新橋演舞場の「石川五右衛門」に長唄で三味線を
弾いている身内がいるので地下の楽屋に寄って三越で買ったチョコレート
の差し入れをする。誕生日だからね、何かしてあげないと。
以前は近くの料亭へ行くのかこの辺りは人力車が走っていたものですが、
現在はどうなんでしょうね。夕方なんぞ良い雰囲気があったものですが。
演舞場から歩いても5分とかからない東劇へ。
ずっと昔に東劇だかこの反対側にあった松竹セントラルだかでジョン
ウエインの戦争映画「史上最大の作戦」を見たのを思い出した。
アメリカ軍を主とするノルマンディー上陸作戦を描いた戦争巨編で
ずいぶんと話題になった大作映画だった。
僕は子供の頃から映画好きだったし、高校が中央区だったから映画を
しょうっちゅう見ていた。みゆき座、有楽座、東劇あまり知られてないが
東京駅の八重洲口にも映画館があった。都電の走っていたころで、
鍛冶橋にも鍛冶橋座という洋画の二本立ての映画館があったがみんな
無くなってしまった。
いまや三原橋の映画館も無くなってしまい、当時を知っている人間と
しては何だか淋しい気持ちになる。都電は何だかムードがありましたね。
どこ行くのでも都電でね、今で言うJRは国鉄で省線って言ったものです。
あのころはのんびりしていて良かったな。
さて、肝心のシネマ歌舞伎ですがさすがに映画でなければ出来ない
カットや描写があって、裏方さんやら役者の幕の裏側の動きなどが
見られて舞台とは違った趣があり、何より映像が綺麗なのが良い。
玉三郎の藤娘のまあ綺麗なこと。それで二本目の演目の大蛇になると
これがまた同じひとかと思うほどのすさまじさ。勘九郎相手に
大立ち回り。大スペクタクルです。イヤー、付け打ちでもやりたい
気分になりますぞ。
以前ここで玉三郎のシネマ歌舞伎「降るあめりかに袖はぬらさじ」
を見たのを思い出す。そういえばあの時は勘三郎も出ていたんだね。
やはり玉三郎は所作が綺麗で何より立ち姿が美しい。これからは
これほどの役者さんはもう出て来ないのではないかと思ってしまう。
映画とは言えもうゾクゾクしながら見ておりました。
今や歌舞伎や踊りの世界ばかりではなくその芸域は広く世界的な
レベルで海外での評価が非常に高い。稀有な存在の役者さんだ。
もう本当に「鷺娘」は踊らないのかしらん。松嶋屋仁左衛門の
「女殺油地獄」も演らない演目となると無いものねだりで見たい、
見たいとなってしまう。一世一代って言ってたから最後だったんだろう。
守田勘彌の見る目は鋭かったというべきか。新派には二代目
水谷八重子(良重)、歌舞伎には坂東玉三郎。 この縁の絡みと
深さは何と表すべきか。芸が縁の糸車、とでも言っておきましょう。
守田勘弥をリアルタイムで見たひとももう少なくなってきたかも
知れない。話がずれるが、新派なら個人的には初代の水谷八重子が
断然いい。こういうのは書き出すとキリがないからここで止めとく
けどね。
帰りは銀座で今風なイタリア料理を食べワインを飲んで良い気分で
帰宅しました。
大和屋ア!
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