「線」だけ足す

2020-04-29 | 野良サイン
「野良サイン」というとなにかしらの文字情報や図版を書き起こして掲示したもの、みたいなイメージが真っ先に浮かぶのだが、そうでないものもある。

例えば、既にある案内表示に対してなにかを「つけたし」しただけもの。

つけたし系のなかでも、「文字」でも「図版」でもなく、「線」を足すだけという手法をまれに見かける。

八王子駅・2011年1月
赤いテープで重要っぽい情報がハイライトされている

「京王線」「エレベーター」等の情報の周辺に赤いビニールテープを貼ってハイライトさせている例。赤色の注意喚起感も相まって「ここを見て!」と叫んでいるような見た目だが、とにかく手数が少なく済んでいる。やっつけ感……ともとれるが、高コスト・パフォーマンスとも言える。

1枚目の「京王線」、写真でみるとなんだか画像を加工して赤い線を引いたみたいに見えてしまう……。




高田馬場駅・2015年10月
3色のテープを使い分けている

八王子駅のミニマルな対処に反して、手がかかっているように見えるのが高田馬場駅の事例。カラフルでかわいい!……のですが、文字やピクトグラムの部分だけでなく、筐体の輪郭をなぞるようにフチ部分にまでテープが貼られていてちょっと異様。サインをつくる側の人やもじ鉄(鉄道のサインシステムを愛でるファンのことです)趣味の人や見たら卒倒しそう。

この場所はJRの改札の中で、
  • ←左 「出口(改札外に東西線)
  • ↑直進 「西武線のりかえ改札」
という、2方向に分岐している地点。

のりかえ専用改札というのは往々にして混乱が生まれやすい場所で、野良・公式問わず案内表示が多くなりがち。ここでは3色のテープで線を引いて目立たせようと試みていいる。
  • [黄] 西武線のカラー
  • [ピンク] 単に目立つ色として選んだ感じでしょうか……
  • [青] 東京メトロ東西線のカラー
テープが貼られる前のサインデザインがJR東日本の旧世代のフォーマットなので、今はもうベースのサインごと新しいものに差し替えられているかもしれません。現状がどうなっているのか、書いているうちに気になってきました……。



最後は、これまで紹介した「ハイライトするための線」とは違って、「区切りのための線」。



新橋駅・2010年12月
グリーンのテープを「区切り線」として追加

「どこまでが『出口4』に属する情報かわかりづらい」という声が上がったのでしょうか……。余白だけで情報を分けて見せることの難しさを感じる。


新橋駅・2016年8月

その後サイン自体が更新されていたのだが、そこにまた新しくテープが貼られてしまっていた。

新橋駅ではもう「出口サインにはテープを貼って境界を明示する」というのがローカルルールになっているのかもしれない。でも前より粘着力が弱そうなテープを使ってるようにも見え、サインへの配慮を感じる……。