ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

祭りの夜に

2014-08-05 00:26:09 | 日記
きのう、おとといと、施設の目の前の公園で盆踊り大会が開催された。

風流人の私は、盆踊りが大好きである。
小さいころから東京音頭や炭坑節が流れると胸が高鳴り
当時子供たちに大人気だったオバQ音頭に酔い痺れたものだった。
しかし、人一倍恥ずかしがり屋であった私。
心とは裏腹に
踊りの輪の中に入っていくことが
どうしてもできなかったのだけれど…。

さて、施設のおじいちゃま、おばあちゃまたちも
盆踊りや夏祭りが大好きらしい。

ちょっと物忘れが激しくなってきた程度の元気な高齢者はおろか
一人では行動が困難なM三郎さんや
ほとんど寝たきりのS子さんまで
盆踊りだ、盆踊りだ!と前日からはしゃいでいる。

動けないとはいえ、油断はできない。
転倒事故を繰り返しながら
これまで幾度も車椅子で“脱出”を謀ったM三郎さんなど
おとぼけジイチャンは特に要注意だ。
スタッフは密かに包囲網を張り
夕食後の彼らの行動に目を光らせたのだった。

しかし、予期せぬところにダークホースが―。

祭りも終わろうとする9時ころ
ウチの住人であるHさん(80代後半・男性)が
お祭りのボランティアに手を引かれて帰ってきた。

「もしかして、こちらの方ではありませんか?
さっきからずっとお祭り会場で“徘徊”されていたんですよね」

無口なHさん。
しかしサービスを利用するほど介護度は高くない。
完璧!とは言えないが
身の回りのことはほとんどご自身でこなしている。
おそらく、他の方々と同じように楽しげな音頭に魅了されて
ふらっと夕食後のお散歩を楽しんでいただけなのだろう。

なのに
口数が少なく、足元が少々危なっかしい高齢者であるというだけで
徘徊老人として送還されしてしまったのである。

わかるけど
顛末を聞いて思わず笑ってしまったけど
老人が夜ぶらぶら歩いていたら“徘徊”と決め付けてしまうのは
そりゃ、失礼だわよねえ。