ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

わがまま言うな~!

2017-10-19 00:40:34 | 日記
ウチで一番ヘビーな利用者といったら
間違いなく、サガワさん(72歳・男性)だろう。

パーキンソン症状があると、彼のアセスメント・シートにはある。
しかし、実のところ病名は不明。
だって、病院や薬が嫌いで
ちゃんと診察してもらったことがない、というのだから。

3年前の入居時に比べて
サガワさんの機能は格段に落ちた。
並外れた腕力によってなんとかバーをつかむことはできるが
立ち上がりも歩行も、自力では不可能。
喋るのだって口から息が漏れている程度だから
聞き取るのが大変だ。

介護はもはやギリギリ状態。

それでもどうしても週3回は入浴したい!
それもキカイ浴じゃなく、居室の風呂で湯船に浸かりたい!
それを譲らない彼の意思を尊重し
2人介助でどうにかこうにかやっているといった現状だ。

こんなサガワさんの援助をとってくれるヘルパーは少ない。
オープン当時から働いているベテランヘルパー数名は
彼の機能が低下してきても愚痴をこぼすことなく
援助に当たってくれているが
彼女たちが休みをとろうものなら
その穴を埋めてくれるヘルパーは皆無。
この間「もう無理です!」と断ってきたヘルパーの代わりも見つからず
私たち常勤職員がその穴を埋めている。

困ったぞお。
誰かサガワさんの援助をとってくれる人が現れないものか!?

そんな中、新しいヘルパーが入ってきた。
経験は数年あるという。
やった~!彼女にサガワさんのお世話をお願いしよう。

不安を抱えてスタートした彼女の仕事を
私たちは全力でフォローする。

大変だけど、慣れれば大丈夫!
そう励まし、励まし、1ヶ月が過ぎた。

さて、事件はとうとう4日前に起きた。
その新人ヘルパーが、サガワさんを転倒させてしまったのだ。

後頭部にコブをつくってしまったサガワさんは怒る。
あのヘルパーはもう来させないでくれ!
ベテランヘルパーを来させてくれ!
息が漏れているとしか思えない声で
彼は怒りをぶつけてきたのである。

はい。サガワさん、ごめんなさい。
転倒させられて、さぞかし怖かったことでしょう。

でもね、代わりがすぐに手配できるほど
ヘルパーはたくさんいないのよ。

いやそれどころか
職員の不足が原因で
全国の介護施設がバッタバッタと倒産してるのよ。

アナタはこれまで何度もクレームを突きつけてきた。
ヘルパーを代えろ!
経験の豊富なヘルパーをつけろ!
もっと勉強して自分の介護に当たれ!
と…。

バカですか~?
ヘルパーを選べる状況じゃあないんですよ~。

10年後、20年後
つまり私自身が高齢者となったら
介護保険そのものだってどうなるかわからない。
それを考えたら
介護サービスが受けられるってことだけでも
幸せなことなんじゃないですか~?

知らない人はこの意見を聞いて
なんてひどい介護職員なんだ?と思うかもしれない。

しかし、介護保険という天下の宝刀のもとで
わがままを押し通そうとする利用者には
腹が立って仕方ないのです。




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