よーく喋る認知症のミチコ。
最近、彼女との会話が楽しい。
「あなたはいつも、私が来てほしいと思う時に
タイミングよく来てくれるわ」
移動や排泄援助のたびにそう言う彼女。
他の職員にも同じことを言っているのだろうが
きのうはそれにこう応えてみた。
私にはなぜかミチコさんの願いが伝わるの。
もしかしたら私たち
前世では親子だったのかもね。
すると
「えー? どっちが親よ!?」
そ、そりゃ、ミチコさんが母親で私が娘でしょ。
「えー? ひどいわ、そんなのイヤよ。
せめてお兄さんか叔父さんにして!」
はぁ? 性別の問題だったのか!?
言っておくが、ミチコは大真面目である。
かと思えば、こんな気の利いたことも言う。
「あなたは若くてキレイよ」
だなんて真顔でお世辞を言ってくれるから
いやいや、ミチコさんだってとってもチャーミングよ、と
私はお返しの褒め言葉を送る。
すると彼女はフフンと鼻で笑ったあとに言った。
「チャーミングってのは
褒めるところがない女に言う言葉よ」
舐めていたが
認知症のミチコ、たまに鋭いことを言う。
こりゃ一本、取られたわい。
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