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栄養士より#15 日本人の主食・お米の力



10月に「日本人の主食・お米」のテーマで日本人の米離れの記事をご紹介しました。そこで今回は米食の意義を考え、主食の大切さを見直してみたいと思います。
 私たちが主食とするのがお米などの「穀類=炭水化物」。昨今は“炭水化物は太る”といったイメージのせいか、ダイエットのためにご飯を減らしたり、食べなかったりとお米を敬遠される方もいるのでは。ただ、痩せるために炭水化物を抜く食生活が身体にとって良いかどうかは考えないといけません。
そこで炭水化物の働きを知ることが大事になります。

「炭水化物は身体のエネルギー源」
体に必要な栄養素にはいろいろありますが、なかでも体を動かすエネルギーを生み出すのに大事なのが炭水化物、たんぱく質、脂質の三大栄養素です。このうち体温を保ち、体を動かすエネルギーとして最初に使われるのが炭水化物です。炭水化物が足りない場合は脂質やたんぱく質がエネルギー源として使われますが、脂質はホルモンの原料に、たんぱく質は血液や筋肉を作る原料でもあるので、効率的でかつメインのエネルギー源としては炭水化物が重量な役割を果たします。また脳の働きにも炭水化物が欠かせません。炭水化物が減ると体重減少しスマートにはなりますが、細胞の活力がなくなり元気を失うとともに体温調節ができずに冷えが生じます。不足すると疲労感が増し、基礎体力が落ちてしまいます。

「ビタミンB1と一緒に摂ると効果的」
炭水化物は糖質と食物繊維でできており、体のエネルギー源となるのは糖質です。ビタミンB1には糖質を分解する酵素を助ける働きがあります。一緒に摂ると効率よく体内でエネルギーに作りかえられます。ビタミンB1は豚肉やうなぎ、魚介類、豆類など、そして穀物の胚芽に存在しており、米の場合は玄米や胚芽米でいただくと糖質と一緒にビタミンB1も摂ることができ効果的です。ビタミンB1が不足すると糖質の代謝が悪くなり、疲れやすくなったり、イライラしやすくなります。

「炭水化物の適正量」
日本人は昔からお米を食べてきた民族であり、炭水化物のエネルギー効率が他の民族に比べて良い(炭水化物が体内に吸収されると何カロリーになるかというエネルギー換算率が高い)というデータもあります。
歴史的にも「穀物=お米」を主食とした食事形態ができあがり、一汁二菜や一汁三菜といった食事が定着しました。日本人の食の根底を作っているのはたんぱく質でも脂質でもなく炭水化物であるということです。日本人は穀物エネルギーを多くとり食事全体に占める炭水化物の割合は50~70%にするのが理想的です。
健康な体をつくるためにも適正量の炭水化物を摂るように心がけましょう。

最後に、穀物と一口にいっても最近は米離れで、パンやパスタを好んで食べる人も多いようです。ご飯もパンも炭水化物としての役割は同じですが、パンの方が少ない量でもエネルギーを多く発生します。また付け合わせるおかずの違いで栄養バランスも大きく変わります。一般的にはパンが主食になると脂質を摂りすぎる傾向があります。パンは手軽で便利な反面、市販品の多くが砂糖、油脂、食品添加物なども含むため、主食の質でみてもご飯とは大きく異なります。これらのことをふまえ、いま一度日々の主食を見直してみてください。
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