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凍結受精卵の融解について

みなさま、こんにちは

今回のラボ通信は『凍結受精卵の融解(ゆうかい)』についてお話させて頂きます
受精卵の凍結に関しては『ラボ通信#19:受精卵の凍結保存について』をご覧ください。

凍結した受精卵は、いつとかすの
子宮内膜が、受精卵を迎えられる準備が整ってからとかします
採卵する周期は卵子が入っている袋(卵胞)を育てるのがメインですが、凍結受精卵を移植する周期(凍結融解胚移植周期)は、内膜を育てることがメインです。そのため、採卵周期よりも注射やお薬の量が少なくなります 内膜に十分厚みが出てきたら、仮想排卵日(Day0)を設定します。例えば、初期胚(Day3)の移植は仮想排卵日から3日後、胚盤胞(Day5)の移植は5日後となります。凍結受精卵は移植する約3時間前にとかして準備をしています

凍結受精卵はどうやってとかすの
胚培養士が特殊な融解液を使ってとかします。受精卵はマイナス196℃の液体窒素中に凍結保存されていますが、そこから37℃の融解液に浸して加温します。そして徐々に溶液を変えながら、凍結時に使用した凍結保護剤を浸透圧を利用して除去し、細胞内に水分を入れていきます(加水)。

加温中の状態です。中央のうっすらみえる丸いものが受精卵です。
スティック上にある加温中の受精卵です。

水分が戻っている途中です。

凍結前の状態に戻りました。
生存率はどのくらい
90%以上です まれに、グレードが悪い受精卵は融解後に生存していない場合がありますが、その確率は低いです。

日本の凍結保存技術は世界トップレベルと言われています。10年間凍結保存していた受精卵を移植して、健常な赤ちゃんを出産されたという報告もあるんですよ

以上が、凍結受精卵の融解についてのお話でした
ご意見・ご質問がございましたら、いつでも胚培養士にお声かけ下さい
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