第3話-6

　「情報部はパソコンの導入と同時に多くの社員が配置換えになり、データを分析してそれを伝達する機能が弱ってしまっています」と発言したのは戦略部長だ。
　「この際、情報部と我が戦略部を合併して、情報戦略部としてはいかがでしょうか。そしてまず手始めにザイト団を調査して、何らかの戦略を立てる」

　自分は部長の座を失うと直感した情報部長は、また下を向いた。だいたい、先日の作戦の失敗はひとえに単なる思い付きでザイト団を派遣した社長のせいだ。自分も思い付きでスパイ説を口にしたが、社長が突発的に命令を出すのはいつものことだ。

　だが、そんなことを言っても仕方ない。自分には３人の家族がぶら下がっている。暴言を吐きそうになるのをこらえて、情報部長は敢えておめおめと情報戦略部情報課長に収まる決意をした。
　情報課長の最初の仕事は敵に捕まったザイト団の前職や経歴の洗い出しだ。テーブルに割り当てられたパソコンで、警察や自衛隊を経歴に持つ男を探した。柔道部出身の男がヒットしたが、高校卒業後陸上自衛隊を２年間で除隊。就職浪人のようなものだ。こいつは関係ないと言っていいだろう。