仏教には対機説法という言葉がある。或いは往病与薬といういい方でもよかろうかと思う。願興寺の本尊は伝教大師(最澄上人)自刻の薬師如来像であることは、願興寺公式サイトでもお伝えしてある。また、本ブログにも取り上げてきた。
仏教には八万四千の法門があるとされている。多種多様な人間が存在すれば、その多種多様な人間に対処すべき法門が必要というわけである。願興寺本尊の薬師如来の眷属に十二神将がある。この十二神将にはそれぞれに7千の眷属が存在し、その数は八万四千に上る。
ここでいう八万四千という数は、実数としての84000ではないが、多種多様な人間が存在するというがその数が多数という意味になろうか。願興寺には本尊薬師如来があらせられ、日光・月光菩薩の両脇侍が、四天王、十二神将があらせられる。また、その十二神将に眷属がそれぞれ7千あらせられるのである。その総勢は8万4千になる。
また、薬師如来とその眷属群は往病与薬にも通じられており、人の苦を見究められ、その原因を理され、原因を滅するば苦は取り除かれることになり、薬師如来とその眷属群はその術(すべ)を施されるとされる。これは最近の医学である「原因療法」と呼ばれるものに通じるもので、症状に応じて治療を施してきた、「対処療法」とは一線を画すものである。こんな考えが2500年も前の釈迦牟尼仏によって説かれていたのは驚きとさえいえるではなかろうか。
最上の仏さまは如来さまである。確かに仏教ではそう教えてきた。しかしながら、願興寺公式サイトでもお伝えしてきているように薬師如来、両脇侍、四天王、十二神将で構成される「薬師如来の世界」の仏像群は八万四千の法門にとってその対処には、どの一体が欠けても成し得ないものである。願興寺の薬師如来の世界は願興寺内にその世界構造のまま再現してある。多くの方々にご拝顔いただき、複雑な現代を生きる術を知っていただきたいものである。添付写真は願興寺薬師如来世界図である。
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