もんく [とある南端港街の住人になった人]

完成形なし

月曜日。

2日間の休みを終えて仕事に復帰する日である。すべきことがいくつかある。

それにしても、その先にいったい何があるのか?と、つい考えてしまう。完成形はあるのか?、と。ここではいつでも形ある物だけを求める。機械、プロセスの中の数字。ただ、それを実現する手段については何も考えない。必要だとも思っていない。

機械は投資、プロセスはアイデア、そうした物理的なものであれば金を出せば買える。金を出せば買えると言うことは、それは投資であってインプットである。そこからアウトプットを引っ張り出すには形の無いノウハウが必要なのだ。それが実際のプロダクションの仕事である。

誰が何をいつどうするか、それがいつでもできるようになっているかどうか。実際問題、プロダクションのその部分、つまりノウハウしか工場には財産としては残らない。機械は仕様が変われば使えなくなる。古くなってもダメ。メンテナンスも部品交換も必要であって生産のためのツールであると同時にリスクそのものである。プロセスはそれが確実に実行できないものであれば何も意味がない。

ここには化学を専攻して入ってきた人間がかなり多い。製品の性質上化学課程から出てきた者を中心に採用しているのだ。ドクターレベルもいる。マレーシアでも有名な企業であるので優秀な人を採用するのは楽だろう。日本でも有名企業には学業優秀者が集まりやすいが、それと同じだ。

彼らは日々プロセスを研究している。あの薬品とこの材料の比率をこうしたらこうなった、と言うような事を。比率を0.5%変更したらどうだったとか、1%変更したらこうなったとかである。ただ、困ったことにそこからプロダクションに行く間のオペレーションでの実現性に関しては誰も考えていない。0.5%の違いがオペレーターによって安定的に作り出せるか、識別可能であるか、ミスがあった場合に検出可能かがわからないままに放置され毎日変更されてしまう。

その繰り返しはノウハウにならず、製品不良は減らず、つまりは完成にはどうしても近づく事がない。
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