見出し画像

もんく [とある南端港街の住人になった人]

彼は詐欺師なのか?

突然、マレーシア界隈でこの動画が話題に上っていた。


日本語で読めるコメントのほぼ100%が、仲介人(マレーシアに31年いる人)が詐欺まがいの事をしているという解釈をしている。この動画のコメントもX(twitter)もだ。

だが、これは全くもって片側からの解釈であって全く的を射ていない。まず第一に、マレーシアでは日本 (日本でも実際のところは特別なところを除けばそうだが) と違ってビルオーナーはテナントに場所を貸すか売るかしてお金が入ってくればそれで商売としては終わりだ。テナントが何をしようが、客が集まらなくて倒産や撤退しようが知った事ではない。そういうビジネスなのだ。

そして、資金が潤沢にあるとか銀行が面倒みてくれて心配無いいうところで商売を始めるのでもない。お金が無くなれば建設途中でも止めてしまったり放棄したり売ったりもする。そしてそれは既に入っているテナントには関係ない。テナントはオーナーが突然変わって入居条件が当初の契約と変えられてしまう事はいつでもある。場合によってはテナントの入居しているところに続く通路が閉じられて商売が成り立たなくななるという理不尽もある。それはそういう商売なのだ。

逆に言えば、自分がテナントとして入る時、オーナーに事業計画をどの程度詳細に伝えて入る条件として金額以外にビル自体の広告や宣伝を条件付けただろうか? 全く新規の場所で商売を始めるのにビルオーナーや仲介人がどれだけの規模のどういった種類の顧客リストを持ってやろうとしているかを確認しただろうか? それが無いとしたら開業前にどうやって顧客リストを集めるつもりだったのか? 想定する顧客に対してどのメディアを使って事前に広告を打っていただろうか? どうしてそう言うかというと、マレーシアには幽霊が出るのではと思ってしまうようなショッピングモールは山ほどある。(そんなものについてどこも取材に来ないだろう) そんな場所でも予約が取れないほどお客が来る美容室を経営している人だっている。ガランとした寂しいフロアにそこだけ灯りが付いていて客が来るレストランだってある。

マレーシアは事が上手く運んでやっと客が来ているなと見えるまでに何年もかかるのが普通だ。それまでテナントはいくつも出来ては撤退している。そんなものだ。

そんなわけで、動画の仲介人を、確かに苦し紛れの言い訳じみた事を言ってはいるが、詐欺師呼ばわりするのは間違っている。たまたまそれが日本人で、そして仲介しながら日本企業を集めようというアイデアを実行していたに過ぎない。悪意とは考えられないのだ。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日本でニャー2023」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事