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もんく [とある南端港街の住人になった人]

マレーシア6万円の神話

マレーシアに来て住もうと思うある種の人々にとって"6万円"と言う額面は神話に近い響きがある。

マレーシア・マイ・セカンドホームプログラムと言うのがあって、要は一定額以上の預金をマレーシアの銀行に入れると10年間マレーシアに居られるビザが発行されると言うもの。(リタイアメント・ビザと言うことだけれども今は年齢制限は撤廃されたと聞いている。) このビザ取得を勧める説明会が日本で時々行われているし(参考に聞きに行ったことがある)それを紹介する本も出版されている。

そうした中でよく聞く話が"マレーシアは物価が安いので月6万円で暮らせる"と言う話。


昨日、KLCC紀伊国屋に行ったらちょうど退職後にマレーシアで過ごすことを勧める本が目立つところに出ていた。中を見ると確かに"月6万円で暮らせる"と書いてあった。ただ、気になるのが「家賃 500リンギット(現在のレートで14000円)」となっていたこと。

この前も書いたけれど、うちのアパートは家具、洗濯機と冷蔵庫が付いているだけでその2倍の1000リンギット。ここに住むことを決める前にいくつか見て歩いた中では7~800リンギットでもちょっとどうかなと思うようなあまりキレイとは言えないキッチンやトイレの部屋になってしまう。マレーシアの場合、貸される部屋はあくまで部屋だけであって、オーナーさんは壁塗りをしたり水道が出るようにしておく。それるだけ。調理台やクローゼット、エアコンなどは住む人が用意することになっている。だから基本は壁に囲まれた部屋だけが借りる対象になる。

そう考えるとKL近郊で500リンギットで借りる部屋と言うのは日本人にとって現実的な選択の対象とは、とても言えない。

まして、セカンドホームで来られる方々にはちゃんと"コンドミニアム"に住むことがバッチリすり込まれているし、サポートする人(業者)もいるわけだから500リンギットなど有り得ない選択のはず。サポートしている業者さんに500リンギットの部屋を紹介してくれと言っても多分出てこないのではないだろうか。その10倍の値段の部屋を勧めてくれることはあるだろう。6万円の宣伝文句とコンドミニアムの不整合を説明できる人がいるのだろうか?


6万円の内訳の家賃以外の部分は言わずもがなで、どうみても初めて海外に暮らす人が6万円で"快適に"と言うのは非現実的と考えざるを得ない。



昨日、キャサリンさんがマレーシア在住者のよく知っている掲示板を見て面白がって読んでいた。その書き込みの方もマレーシアにセカンドホームで来ることにして、ある高層コンドミニアムを借りることに決めたそうだ。その人が心配して書き込んだのがマレーシアのエレベーターは大丈夫かと言う質問。

エレベーターが大丈夫かどうかはいろいろ意見が分かれると思うけれども、問題なのは、と言うより面白いのは"そんな事を来る前から心配して、リタイア後にいったい何しにマレーシアに来るのか"と言うこと。

上に書いた6万円の本ではがんばってやってきた人に定年後の"ご褒美"としての快適な生活を勧めている。それでマレーシアに決めてもエレベーターが心配、犯罪が心配、お金の心配、食事の心配、ほしい物が手に入るか心配、言葉の心配、暑いのが心配、交通手段が心配、知り合いができるかどうか心配といろいろ心配しなければならないし、うまく言ってもそれを克服しなければならないと思うのであれば本当に何をしにマレーシアに来るのかよくわからない。それに対して心配しなくても良いことは何なんだろう。どうして心配なコンドミニアムに住まなければならないのかすらよくわからない。KLなんて東京とそれほど変わるわけでもないし、その不便な郊外にセキュリティに守られたコンドミニアムを借りて東京以上に何か楽しい事があると思うのだろうか?


ビザが下りたら田舎の海岸沿いの一軒家でも借りて本でも読みながら海を眺めて暮らしていてはいけないのかなあ? それならきっと6万円は現実的だと思うし、心配しなければならない事は6万円でもエレベーターのことなどではなくて、何をどうすれば自分が快適に生きられるかと言うもっと根本の問題じゃないかと思うのだけれど。
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