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もんく [とある南端港街の住人になった人]

ムーミンは皆が思ってるより100倍凄い小説です

今日は嬉しい事が1つありました。
以前に台湾で仕事をしていた時に一緒にやっていたUさんの家に電話したところ、お元気そうでした。しかも、しかも、ですよ、しかも、奥様がこのブログを時々見てくれているとの事。驚きました。ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。

ところでですが、このブログの存在は私の事をリアルに知ってくれている方々に教えてあります。全員ではありませんが。弟にも教えています。でも、ほとんどの人にとってあまり興味の無い話題ばかり書いていますし、そもそも自分が誰に教えたかさえ覚えていなくて、要するに誰に読まれているかを無視して書いているので、リアクションをもらう事が全くありません。その点がFacebook等とは違います。あっちはお互いにちょっと書いてちょっとリアクションがありますが、ブログは書く人と読む人に分かれていますから。

でも、こうしてほとんど毎日書いているのには意味があると思っています。それは人間にはアウトプットが必要だと考えるからです。例えば本を読んだり、映画を観たり、テレビでも良いのですが、そのインプットをそのままにしておくとそれはただの消費になってしまいます。消費には何の責任もありません。穿った見方をすれば、それはコンテンツを出す側の思う壺ですし、時間の無駄です。ディズニーランドの入場券を払って遊ばせてもらって終わりです。また楽しむには同じお金を再度払わないといけません。インプットをアウトプットに変換できれば誰に評価されるとかでなく、ある程度以上は自分のものになります。そしてそういう習慣は一生続けられます。誰に遊ばせてもらわなくても自分自身で遊び続けられるわけです。時間を誰かに奪われる事はないわけです。それに、こうして毎日書いていると一時的に見栄え良く書いてカッコ良く見せていてもいつかバレます。でもそれはある意味自分のブランドイメージになるのでどんな意味でも信頼できるものになると考えます。

というわけで、アウトプットしましょう。


今日、ムーミンのこの本を図書館で借りました。マレーシアで電子書籍版のサンプルを読んでいたのですが、これでまともに全部読めるというわけです。お金使わずに。

なぜこの本かと言いますと、もちろん面白いからなのですが、この面白さを感じるには障害があるかもしれません。というのはムーミンをアニメで知っている、ムーミンをキャラクター商品等で知っているとなると、多くの場合、カワイイとか、読んでいる人でもスナフキンが言った教訓がどうのこうの的な事にとらわれてしまうので小説として鑑賞できないかもしれないからです。そこで、ちょっとだけ紹介します。

この本の最初に出てくるお話、「春のしらべ」をまず読んでみてください。短いです。スナフキンが歌を作ろうとするところから始まって、はい虫に会っていろいろ・・・最後に歌を完成します。この面白さは、多くの場合、スナフキンの挙動とはい虫の掛け合い、そしてスナフキンがはい虫にどう影響を与えたかという事で解説されます。つまりスナフキンのキャラクターに依存します。はい、そこで終わっては絶対にいけません。もっとよく読みましょう。

どこを? ええ、それは文章全体の構造を読みましょうという意味です。答えを言います。スナフキンが最後に完成する歌の構造はこのお話全体の構造と1対1で対応しているのです。内容と形が同じなのです。ビックリです。これはもうただのファンタジーじゃなくて、物語の構造のマジックです。という事に、ほとんど誰も気付けないのです。だってムーミンかわいいし、スナフキンがクールに教訓を垂れるってとこで終わってしまうから。ヤンソンさん、すごい小説家なのです。

はい、2つ目の「ぞっとする話」に行きましょう。これもすごい構造を持っています。主人公のハラワタがベーっと曝け出されていて、ファンタジー・イン・ファンタジーになっているのです。それが後のところでウソとして処理されます。さらにそれが同種のファンタジーによって上書きされていて、その事によってウソに還元されて終わります。構造としては夢野久作の「ドグラマグラ」級と言えます。それをヤンソンさんはショートショートで言葉少なくやってしまっています。びっくらコッコでしょ?というわけで、ムーミンは(前期後期で作風は変わりますが)皆さんが思っているより100倍凄い小説なのです。

読みなさい!
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