
すいとん
すいとん(水団)などと言っても、若い世代には良くわからないだろう。
水遁(すいとん)とは違う。水遁は水遁の術とも呼ばれ、仙人が行なう術。または仙人になるための仙術の五遁(ごとん)の一つを指す。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば……
水団(すいとん)とは、小麦粉に水を加えて練り混ぜたものを適当な大きさに加工して汁に入れて煮た食品、または小麦粉でできた具を指す。
敗戦直後の食糧事情の悪い時期に簡単に作れ、暖がとれ、空腹を満たす目的で野菜等の入っていない汁または湯に水団を入れたものが炊き出された。敗戦記念日に質素な水団を食べ、過去を偲ぶ習慣が一部の家庭で残っている。
現在、縁日などの屋台で売っている水団は旨すぎる。あれは敗戦後、我々が食べた水団とは最早同じものとは言いがたい。ダシもシッカリとられており、具も贅沢だ。
上記の説明にあるとおり、戦後の食料欠乏時に食した水団は、具など全く入っていない貧しいものだった。野菜など切れ端でも入っていれば、大喜びだった。
小麦粉も水を可能な限りたくさん入れて伸ばしてあるから、シャビシャビの鼻水みたいであり、団子状態を辛うじて保っているという代物に過ぎなかった。まあ、生命を維持するための餌といっても良いだろう。
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敗戦記念日ではないが、水団を急に食べたくなっった。しかしいくらなんでも、戦後と同じ水準の不味い水団を喰う気にはならない。
そこでダシを効かせ具を入れて、腕を振るった。以下、奮闘記。
1.水団の小麦粉を練る。30分ほど寝かせておいてから一口大に千切り、ある程度火を通した2.の鍋に入れて煮る。
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2.ダシをとった鍋に具を入れる。
具 :1.の水団、人参、紅芯大根、里芋、牛筋肉、油揚げ。
出 汁:鰹だしの素(粉末)、昆布茶。
調味料:醤油、塩、日本酒
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3.水がこれくらいに減るまで煮る。
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4.出来上がり
出来上がりのスープが濁っているのは、牛筋肉から出るゼラチン質によるもの。
楕円内:水団 四角内:里芋・人参・牛筋肉