炭酸飲料を振ってキャップを外す
泡が吹き出すその様子は
記憶が引き出されるのに似ている
「死」の間際に引き出される記憶というのは
楽しいことより悲しいことのほうが多いのではないだろうか
いや、その殆どが悲しいことだけのような気がしてならない
食堂で定食を食べています
最近、仏教の勉強を始めたという彼女とお昼を食べるようになりました
定食は職員割引きで食べれるので売り切れることも多く
確実に食べれるように彼女が予約してくれます
彼女とわたしに共通するものはまだひとつも見つかっていないけど
一緒に定食を食べることに違和感を感じていません
先週 勉強したばかりだという「「相対幸福と絶対幸福」について
目の前にあるコップの水を例えに話してくれるのだが、よーわからない
知ってしまったからには間違って覚えるのは罰当たりな気もするので
帰ってから調べてみた
彼女は核心には触れていなかったけど
それでも、勉強したばかりのことを話してくれて嬉しく思う
不規則なリズムを刻む足音が聞こえた
その音の距離は近づくことはなく
消えそうなくらいに微かな音となってゆく
それでも完全に消えない足音に振り返った
お船でここに来たと話す足音の主は
「だちかん」という言葉をよく使う
耳を近づけて一語一語丁寧に拾ってみるが
やっぱり「だちかん」としか聞こえてこない
話の内容からすると「ダメだ」のような意味を持つようだ
心が「ざわっ」と揺れ
胸の奥が「ズキン」と痛みました
昼も夜もわからなくなるそのひとは
毛布を掛け直してあげると
いつも『おやすみ』と言う
どこか懐かしい『おやすみ』の言葉は
毛布を掛けるわたしの手を
いつも止めにけり
Carnation
ひとりではできないことは
「力を貸してください」とお願いします
仕事だから当然のようですが
それ以上にこの言葉には「力」があると思います