仕事を終えたあたしは
卵をどこで買おうか駐車場まで考えながら歩いた
どうでもよさそうなことを真剣に考えた
A店に行くには右側の車線
B店に行くには真ん中の車線
C店に行くには左側の車線
左折のみ信号機のない一般道への割り込みは
運が悪けりゃ流れに乗れない
それを承知の上で一番遠いA店で卵を買うことを決めた
今日は特売の卵を買いに行くのではなく、そこそこ卵を買おうと思っている
それなら余計にどこでもいいはずなのに
たまにだけど難儀というか無駄な選択をしてしまう
車の流れが切れないことから
あっさりC店に変更し左側の車線に割り込んだというか左折した
なにを思ったか車線変更なんかしてしまい
結局、一番近いB店でそこそこ卵を買い、しょんぼり家に帰った
計画と行動と結果がなにひとつうまくゆかなかったけど
目的だけは果たした
B店で買ったそこそこ卵でロールケーキを作ったのでした
突風が枯葉を巻き上げる様は「転落の人生」とシンクロする
こんなこと思うのはあたしだけですかねぇ(笑)
突風が吹いて枯葉が舞い上がり
絵に描いたようにくるくる螺旋を描き
ひらりひらり着地したと思えばころころ転がってゆく
赤信号で停車中にその一部始終を見た
県内にはふた株しかない薔薇と聞きました
ナイト・ウォンの「いろ」に魅せられてしまいました
しかし、いろんなことが影響しているようで
なかなかこの「いろ」で咲いてはくれません
花の数を気にしながら育てることはあっても
「いろ」を気にかけるのは初めてのことです
明るめに咲くことが多く、深い「いろ」は簡単にはゆきません
どんな気持ちが作用しているのかわかりませんが
花びらに手が伸びることはありません
触れてはいけないような気がして
ナイト・ウォンの前に立って
ただただ見ているだけなんです
「愛が叫んでる」
夜に車を走らせた
そのとき聴こえてきた、このうた
今のあたしは
車を走らせるときのように
まっすぐ前を向けているのだろうか
いやいや、もう考えるのはよそう
よそう
「巨人のおはなし」
そのひとのためなら、自分を犠牲にしてもかまわない
そのひとのためなら、どんな嘘でもつける
そのひとのためなら、なんでもできる
そのひとのためなら、人殺しにもなれる
あのとき、大切なひとのことだけ考えた
大切なひとが、いちばん傷つかない方法を考えた
後悔なんかしていない
どんなことだってやる
起こったことのすべてを
わたしは
受け入れる
書店の入口で大量に平積みされていた「Nのために」
読んでみようと決心させたのは
「告白」を思い出したからに違いない
余計なことをつけ足してしまうが
カバーのないまっ白なハードカバーの本が出現して
二度と触れることのできないものに触れることができるような
錯覚を起こしたのだろう
このひとの作品は読まないルールにしていたのに
逆に働いてしまったようだ