石積と素数
「ピラミッドの堅固な石積みの技術には“素数”が関わっているらしい。」という話を
聞いたことがあります。評判のいい建築家の方の話だったのですが、その信憑性は分かりません。とにかく、それ以来妙に気になっていました。
そんな折、現代物理学と数学のトップレベルの先生が名古屋で素数についてお話される講座があると聞き及び、大胆にも参加してみました。
その先生は世界的に高名な理論物理学者であり数学者でもある大栗博司先生(現カリフォルニア工科大学教授)です。ご専門は素粒子論・宇宙論ですが、中でもトポロジカルな
超弦理論(超ひも理論)の展開では数々の業績を挙げておられます。
今回の講義内容はご自身の研究を進める為にも不可欠な高等数学を一般人でも分かりやすく、しかも楽しみながら学べるという、いわゆる啓蒙活動的な講座です。
先生の卓越した理論構成力に加えてその巧みな話術が相まって、知らぬ間にチューリング・マシーン(パソコンの仕組みの基を築いた)の話題からゲーデルの不完全性定理(数学、論理学の根本に潜む“あいまいさ?”)にまで発展していきました。その過程で、難解な不完全性定理をギリシャ時代のゼノンのパラドックスから始めてほんの数分間で解説してしまう離れ業までご披露されました。あっけにとられながらも深遠なる真理の一端を垣間見られたような気がします。
講義は佳境に入って、素数にまつわる様々なエピソードや歴史に及ぶ訳ですが、長くなりましたので後は次回に致します。