大島康紀☆雪月花

Artist COKY.OSHIMA
Painting,Drawing
Arts & Essay

花の絵

2015-08-21 | Essay
花を描く。
描かれた花は枯れなくていいというコレクターがいた。
確かに頒布会の個展で花の絵は成績がよい。
花が嫌いな人もそういないだろう。
四季折々に咲くさまざまな花に誰もが心を和ませる。

美しい花の生命観に魅せられて「花の絵」がモチーフに加わり、スケッチにも余念がない。
アトリエの庭では山野草を育て、バラは2階の屋根まで届くまでに大きくなった。
花の絵は誰が描いても同じだから描かないよなんていっていたのに。

自然と対峙して制作に打ち込もうと東京からアトリエを浅間山麓の山中に移した頃、
頻繁に出かけていた高原でそれまで見たことのなかった高山植物に出会う。
高山植物の花は画家の心を大いに感動させてくれた。
切ることも折ることもできない花たちに会うため画材を担いで通う日々が続いた。
マツムシソウ、ヒメシャジン、ヤナギラン・・・
やがて、これらのスケッチは12枚セットのポストカードとなった。

花の絵というと静物画として花瓶に挿した卓上の花を描く。
植物画というボタニカルアートの画家もいる。
花瓶の薔薇のモチーフで一世を風靡した画家もいる。

誰が描いても同じとは思っていないが
切り花は描かない。描かないつもり。描かないだろう。
花の命を故意に断ち切りたくはないので・・・。