今日はだちょうさんの柵に犬が入り込み、犬かだちょうさんか牛さんがあわや大けがをする事件がありました。
だちょう牧場に見学の際には必ず犬にリードをつけてください。
昔、どこかから入り込んだ、放し飼いをしていた犬に牧場のだちょうさんが殺されたと聞いたことがありました。
今日、牧場に来たお客さんの犬がだちょうさんを追い回している姿を見て、その話を思い出して、怖い思いをしました。
飼い主さんも大切な犬がケガしてしまうかもしれないと怖い思いをしたことでしょう。
私はだちょうさんの命を奪うことがある立場なのですが、無益な殺生は絶対にしたくありません。
防ぐことができた事故でだちょうさんの命が無くなってしまうことは本当に悲しいです。
昔、選挙の車が夕方遅くに選挙演説をしてはいけないのに、演説しながら通り過ぎ、若いだちょうさんが大けがをしたことがありました。
すぐに選挙委員会や候補者の事務所すべてに電話をして再発防止をお願いしました。
けれど立てなくなったその子はと畜してお肉にするしかありませんでした。
とてもやるせなかったです。
その後、お客さんに美味しかったと言ってもらえたことが唯一の幸いでした。
ある時、ある方が私にダチョウが一羽いくらなのか聞いてきました。
金額を聞いた後、実は自分がその時の選挙演説をしていたのだと言われました。
その方にとってはダチョウ一羽が取るに足らない金額だったので、正直に告白する気になったのだろうと思いました。
私はとても残念な気持ちになりましたが、人間とはそういうものだと良く分かった経験です。
家畜として命を育てているのだから、その命に値段が付くのは当たり前のことですし、死んでしまったとしてもそれはお金で解決できることだと考えるのが普通です。
私の悲しみが分かる方は少ないでしょう。
ただし、私は変わり者なので、たとえ家畜であっても命が尽きるその時までの過程に意味があると思っていますし、その死に敬意を払うことが大切だと思います。
私個人の考え方なので、今までその方に何かを言ったこともないです。
そういう悲しい思いを実は今まで、何回もしていて、分からない方に分かってもらえるとはもう思いません。
たとえば、誰かが死のふちにあって、何もなす術がなくなっても、隣にいてあげたいと思う方がいたら、その感覚に近いと思います。
だちょうさん達は、何かの縁でこの牧場にやってきたり、生まれてきたりしています。
私が彼らと関わるようになったのも何かの縁なのだと思います。
誰かに看取られることなく、何の感傷を覚えてもらうこともなく死んでいく命はこの世にたくさんあることでしょう。
ですが、私が関わった命にはそういったことがないようにしたいというわがままな思いがあります。
柵の中で追い回されて、怖い思いをさせてしまっただちょうさん達は、夕方にはケロッと何事もなかったように餌のもとへ走ってきました。
私は本当にこの子たちに救われているなあと日々感謝しています。
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