ニセコのダチョウ牧場(第2有島だちょう牧場)

ダチョウの孵化から解体まで行い、命を頂く事、牧場を営む事で得た、学びや気づきを記録しています。

ダチョウの美しさについての考察

2021年03月23日 | 日記
ダチョウという生物が家畜化された背景は他の家畜動物とは違います。
今回はその点についてと美しいと感じられる点との関係についての私見を述べます。

ダチョウの家畜化のきっかけはヨーロッパの貴婦人達がダチョウの羽に美術的価値を見出し、その繁殖をアフリカで始めたことです。
アフリカンブラックという品種を作り、美しい羽を多く得るための品種改良がおこなわれました。
一時期は羽御殿がアフリカのオーツホーンという主産地に幾つも建ったそうです。

家畜動物はいくつかの目的で品種改良されてきた歴史があります。
人間に従順にするため、お肉を多くとるため、ミルクを多くとるため、早く走るため、毛を大量に取るため、愛玩性を増すため。
品種改良の過程で、だいたいの家畜動物は脆弱性ともいえる性質を特化させることになり、野生で生きていくことは難しくなります。

例えば、ホルスタインは乳が出過ぎるため、必ず人間が搾らなくてはならず、カルシウムが不足して、立てなくなりやすいです。その他の愛玩動物やサラブレッドには、美しさや可愛さの奥に、人間が作り出した繊細にすぎる性質を含みます。

ダチョウはどちらかというと繁殖能力と羽の量、個体の飼いやすさを目指したようですが、血統を管理して商業化される前に羽の需要が収まり、良くも悪くも原種の形質を色濃く残しています。
むしろ、羽質が向上し、量が増えたことで寒さに強くなり、適応できる環境が増えた可能性がありますね。

牧場でだちょうさん達の様子が楽しめるのは、そういった歴史的背景が影響しているのかもしれないと思うと感慨深いものです。

追い掛けられて肝が冷える経験が何度もありますが、私はこの野性的な魅力に惹かれているのだとしみじみ思いますね。

もちろん、美しいと感じるかどうかは個人の感性ですが。

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