ワールドカップのベルギー戦で決勝点を側で入れられた昌子選手、「あのシーンが流れてくる。見たくないのに。頭の中でずっとあのシーンが流れている。失点のシーンが。見たくないのに。しんどい。ほんまにしんどい。…」
胸を引き裂くようなコメントだ。
悪夢のようなシーンは繰り返し頭の中に何度も出てくる。
古い話なんですが、お付き合いください。
2001年の福岡世界水泳、悠子が200mバタフライ3番で決勝進出し、翌日に決勝を控えていた。
私の頭の中は『メダルが獲れるかもしれない。』と変に浮かれていたことを覚えている。
結果は4位。最後の25mでドイツのアニカ・メルホーン選手に差された。
現実を受け止める準備をしていなかった私は悠子に簡単な労いの言葉をかけただけで呆然自失だった。
そしてその夜、昌子選手と同じように「悠子が抜かれて4位に下がっていくシーンがぐるぐる回って連続再生されていた」
私はコーチなのでまだいい。選手はたまったもんじゃない。大切なのは的確なアドバイスとレース後のフォロー。
結局は選手自身がそれを消化し、自分の中に入れて糧とできるかどうかなんですが。
でも、
選手には2度とこんな思いをさせない。
それがコーチだと思った。未熟だった。
もっと勉強しようと思った。
その後、悠子は世界選手権で2度、オリンピックで1度メダルを獲ったので私のことは怒っていないと思う(笑)