2023年2月に、ブラジルのリオデジャネイロで毎年開催される世界最大規模のカーニバルを観覧してきました。とにかく“豪華絢爛で桁違いに凄すぎる”と圧倒されました。日本の旅行代理店経由で購入した、ホテルと会場との往復送迎バス代込みの1日観覧チケット代は五輪やW杯並みの6万円でしたが、高すぎるとは感じさせない凄さでした。(個人的感想ですが)青森のねぶたと徳島の阿波踊りと高知のよさこいを全部足してもまだその規模に及ばないと思わせるほどの豪華絢爛で熱気に満ちたイベントです。
リオのカーニバルの歴史は19世紀初頭にさかのぼり、当時は白人主体の上流階級がキリスト教の催事として楽しむイベントでした。その後、奴隷として連れてこられたアフリカ系の黒人や地元で生まれた混血の人々が参加するようになっていきます。打楽器を打ち鳴らすサンバの歌と踊りを生み出し、彼らの貧しく過酷な日々の生活を一時だけ忘れ去る、生きる糧のような大衆的なイベントに発展しました。今や人口2億1千万人を超え多民族国家であるブラジルの陽気で明るいパワーの源は、サンバに込められたアフリカ系住民の歴史と彼らが現実の差別や偏見と闘い続けていることの裏返しとも思えます。
カーニバルを彩るのは地域の老若男女誰でも参加できるコミュニティによって組織されるサンバスクールです。その数は100を超え、その内優れた12チームがそれぞれテーマを掲げ、ほぼ裸のプロダンサーも含めて1チーム3~4千人のダンサーや演奏者が色鮮やかな衣装をまとい、複数の巨大な山車等とともにパレードを行います(写真①参照)。パレードは、ダンスや演奏、衣装等のパフォーマンスや山車の装飾等を審査対象として地域コミュニティ対抗のコンテスト形式で2日間にわたり、地元の名誉と誇りをかけて夜10時から朝まで夜通しで行われました。テレビでも生中継されます。過去のパレードはYouTubeで視聴できます。
1年間をかけて準備するカーニバルに関わるスタッフの給料や設備・施設等の費用は、市からの助成金、TV放映権料、チケット収入、スポンサー協賛金等でまかなわれるとのことで、収支決算は毎年黒字だそうです。
そんな豪華絢爛なカーニバルですが、さらに驚いたのは、リオの市内各地の公園や道路で一般市民が、夏の太陽の下で自分たち独自でパーティやパレードを行う小さなサンバカーニバルを開催していることです(写真②参照)。まさにリオの市政府と企業と一般市民が一体となってカーニバルを盛り上げ、世界中から観光客を招き入れているのです。カーニバル期間中は、公共施設や多数の店舗がお休みとなり、市民が皆カーニバルに参加しているのです。
日本の祭りの多くが「伝統」を重んじて、毎年同じように神輿を担ぎ、山車を引っ張り、踊りや演奏を繰り返しています。それに対し、リオのカーニバルはサンバのリズムとダンスは同じでも、毎年各チームがそれぞれ独自にテーマを決め、趣向を凝らして斬新なパレードの衣装や山車の装飾を変えて楽しんでいます。「祭り」の意義を改めて考えさせられたカーニバルでした。
写真①ダンサーや演奏者と山車が続くパレード
写真②街中の各地で行われている小さなカーニバル(サンバのリズムが鳴り響く)※ブラジル女性は多くがグラマーでお尻の大きい人が多いのはサンバの踊りと関係があるのかな?
以上
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