その日の夕方、何かに気付いたようにコロが吠え始めました。
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『やけに、コロがうるさいけどなんかあったのか?』
祖母は、縁側に腰をかけながら庭先につないでいるコロの方に目をやりました。
庭先に出て、辺りを見回しても別に何も変った様子もなく、ニワトリ小屋にも異変はありませんでした。
『コロ、もう分かったから何もいないから・・・』
祖母は、コロの頭を優しく撫でながら言い含めていました。
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そして数日後。
この頃、アカは随分ときれいにご飯を食べるね~。
今まで大好きな煮干しだって最後まで綺麗に食べた事ないのに、今日も煮干しのお代わりくれって戸棚の前で何度も催促されたよ。
そう言いながら、母は不思議そうにアカの茶碗をのぞき込んでいました。
(私が知ってる限りでは、ネコはよっぽどお腹が空いて無い限り、量の多い少ないは別として一度に全部食べ切ると言う事はありません。必ずと言っていいほど少し残します)
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そして、その原因が分かる日が来ました。
その日、父は仕事が休日だった為、上の弟を連れて釣りに出かけました。
昼食時になり、一番下の弟は、父たちが持って出たおにぎりの残りを頬張り始めました。
それまでアカは、弟がおにぎりを食べるのを横でじーっと見つめていました。
別に欲しがる様子もなく、元々アカは魚以外のご飯にはあまり興味がありませんでした。
でも、その日は違っていました。弟の手からおにぎりが転げ落ちた瞬間、それまでじっとしていたアカがあっという間におにぎりをくわえて何処かへ持ち去って行きました。
今まで、この様な事は有りませんでしたので、そばにいた家族はいったい何が起こったのかと呆然とするばかり。肝心の弟はと言うと、おにぎりを持ち去ったアカの方を指さしながら鬼瓦のように真っ赤な顔で泣き始めました。
そして、不思議に思いアカを追いかけて行った母が目にしたものは・・・
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『物置にネコがいる。それも親子で・・・』
え~ッ!!、そこにいた全員が物置に駆けつけたみると、危険を察した母ネコが子ネコを一匹づつくわえ何処かへ連れていこうとしていました。
生まれてあまり時間が経っていないようで、子ネコたちはまだ目も空いておらず、へその緒も付いたままでした。
『あ~大丈夫だよ。何もしないからそのままそこにいなさい』
母は慌てて、母ネコをなだめると、とりあえず何でもいいから古布を持ってくるよう私と妹に言いつけました。
そして近くに置いてあったリンゴ箱に敷き詰めると子猫を一匹づつそっと入れはじめました。
その間、母ネコは子ネコを守るように『シャーシャ―』と母の手を払いのけるように威嚇しておりましたが、最後は諦めたように自分もリンゴ箱の中に入りはじめました。
子ネコたちは、母ネコのお腹に顔を埋めるようにしてお乳を飲み始めました。
でも、母ネコだけは私たちから目を離すことなく、警戒するようにじーっと私たちを見上げていました。
子ネコは、全部で三匹いました。ピンクの地肌にふぁふぁとした産毛が生えていました。ぼやっとですが毛色ははっきり確認できました。
そしてその中にアカとそっくりな毛色の子ネコが一匹いたのです。
そばで様子を見守っていた明治生まれの祖母は、母ネコの頭をそーっと撫でながら、たった一言『このネコは、アカの側室だな・・・間違いない』
実は、アカには既に正室がおりました。
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※この続きは次回投稿させて頂きます。
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『やけに、コロがうるさいけどなんかあったのか?』
祖母は、縁側に腰をかけながら庭先につないでいるコロの方に目をやりました。
庭先に出て、辺りを見回しても別に何も変った様子もなく、ニワトリ小屋にも異変はありませんでした。
『コロ、もう分かったから何もいないから・・・』
祖母は、コロの頭を優しく撫でながら言い含めていました。
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そして数日後。
この頃、アカは随分ときれいにご飯を食べるね~。
今まで大好きな煮干しだって最後まで綺麗に食べた事ないのに、今日も煮干しのお代わりくれって戸棚の前で何度も催促されたよ。
そう言いながら、母は不思議そうにアカの茶碗をのぞき込んでいました。
(私が知ってる限りでは、ネコはよっぽどお腹が空いて無い限り、量の多い少ないは別として一度に全部食べ切ると言う事はありません。必ずと言っていいほど少し残します)
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そして、その原因が分かる日が来ました。
その日、父は仕事が休日だった為、上の弟を連れて釣りに出かけました。
昼食時になり、一番下の弟は、父たちが持って出たおにぎりの残りを頬張り始めました。
それまでアカは、弟がおにぎりを食べるのを横でじーっと見つめていました。
別に欲しがる様子もなく、元々アカは魚以外のご飯にはあまり興味がありませんでした。
でも、その日は違っていました。弟の手からおにぎりが転げ落ちた瞬間、それまでじっとしていたアカがあっという間におにぎりをくわえて何処かへ持ち去って行きました。
今まで、この様な事は有りませんでしたので、そばにいた家族はいったい何が起こったのかと呆然とするばかり。肝心の弟はと言うと、おにぎりを持ち去ったアカの方を指さしながら鬼瓦のように真っ赤な顔で泣き始めました。
そして、不思議に思いアカを追いかけて行った母が目にしたものは・・・
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『物置にネコがいる。それも親子で・・・』
え~ッ!!、そこにいた全員が物置に駆けつけたみると、危険を察した母ネコが子ネコを一匹づつくわえ何処かへ連れていこうとしていました。
生まれてあまり時間が経っていないようで、子ネコたちはまだ目も空いておらず、へその緒も付いたままでした。
『あ~大丈夫だよ。何もしないからそのままそこにいなさい』
母は慌てて、母ネコをなだめると、とりあえず何でもいいから古布を持ってくるよう私と妹に言いつけました。
そして近くに置いてあったリンゴ箱に敷き詰めると子猫を一匹づつそっと入れはじめました。
その間、母ネコは子ネコを守るように『シャーシャ―』と母の手を払いのけるように威嚇しておりましたが、最後は諦めたように自分もリンゴ箱の中に入りはじめました。
子ネコたちは、母ネコのお腹に顔を埋めるようにしてお乳を飲み始めました。
でも、母ネコだけは私たちから目を離すことなく、警戒するようにじーっと私たちを見上げていました。
子ネコは、全部で三匹いました。ピンクの地肌にふぁふぁとした産毛が生えていました。ぼやっとですが毛色ははっきり確認できました。
そしてその中にアカとそっくりな毛色の子ネコが一匹いたのです。
そばで様子を見守っていた明治生まれの祖母は、母ネコの頭をそーっと撫でながら、たった一言『このネコは、アカの側室だな・・・間違いない』
実は、アカには既に正室がおりました。
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※この続きは次回投稿させて頂きます。