
お願いだからお山のてっぺんで泣くのだけはやめてね。
先日は、有ろうことか、ワンコを抱いて登って来た青年に、母ちゃんは泣いてる姿を
見られてしまったと言う。
若い娘が、ハラリと流す一筋の涙は悲劇のヒロインのようで美しいと思うけど。
ヨレヨレのリュックを背負ったおばさんが、鼻水を垂らしながらオイオイ泣いてる姿など
誰も見たくないはずです。


道に迷ったのかい? それとも、嫁さんと喧嘩して家出してきたの?』って、
お節介を焼いてくるでしょう。
今回は見られたのが青年で運が良かったと母ちゃんは言っていました。

鬼瓦のような泣き顔を見せられ、何と運が悪かった事でしょう。
そのような記憶は、早く頭から消し去ってほしいと心から願いました。
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もし、あの時、その青年に『おばさんどうしたの?』って優しく声をかけられてたら
なんて答えたの?

こう言います『実は、わたくしの家にはチビと言う白文鳥の女の子がいるのですが、
このコは女の子なのに気の強い子で、機嫌が悪いと鋭いクチバシで飼い主の私を
容赦なく突っつくんです。それで…お山の神様にお願いしに来ました。
何とか素直な優しい子になりますように…て、』っと言います。





母ちゃんは、老体に鞭打ちながら、えっちらおっちら山道を登って行きました。
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お山も梅の花がチラホラと咲き始めました。春の陽射しが待ち遠しいですね。


遠くでカー太の声が…ヒヨドリの声も…
スズメ達の声は…まだしばらく時間が掛りそうです。気長に待ちましょう。