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2021.3.14未読【石合力|響きをみがく_音響設計家豊田泰久の仕事/朝日新聞出版2021.3.5

2021年03月14日 | おはら野の日記(ブログ版)since:2018-02-23
2021.3.14未読【石合力|響きをみがく_音響設計家豊田泰久の仕事/朝日新聞出版2021.3.5
午後4:24 · 2021年3月14日
 
午前0:27 · 2021年3月12日


*カテゴリーをかえるかも
by龍隆2021.3.14

石合力|響きをみがく_音響設計家豊田泰久の仕事/朝日新聞出版2021.3.5   未
朝日新聞出版:紹介 https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=22750
~クラシック界の巨匠たちが頼った"耳"がある。東京・サントリーホールからハンブルク・エルプフィルハーモニーの音響設計まで。世界有数のコンサートホールの「響き」を手掛ける日本人トヨタは、いかにして究極の音を実現させたのか。その謎に迫る。



評判:ニューズウイーク日本(2014年07月25日(金)12時01分; 
自分を創る音の風景 vol.5 音響設計家 豊田泰久さん
https://www.newsweekjapan.jp/sounds_view/2014/07/vol-5_1.php
~Supported by PHILIPS Fidelio
 世界各地のコンサートホールでは音響設計家と呼ばれる<音のプロフェッショナル>が重要な役割を果たしている。特にクラシックの場合は基本的にマイクやスピーカーを使用しない分、コンサートホールの建築そのものを音響面から検討する音響設計家の存在が極めて大切になってくる。
 そんな音響設計の世界で国際的に活躍しているのが豊田泰久さんだ。これまでに数多くのコンサートホールを手がけてきた豊田さんだが、なかでも86年にオープンした東京で最初のコンサート専用ホール<サントリーホール>やアメリカの<ウォルト・ディズニー・コンサートホール>は世界的にも高い評価を得ている。そんな彼の原点を探るべく、豊田さんの<音の原風景>と音楽への情熱について話を伺った。

──ご出身は広島県福山市ですよね?
「そうですね、高校まで福山です。僕が育った50~60年代の福山は普通の中核都市という感じでしたね」

──豊田さんにとってもっとも古い<音の記憶>とは何でしょうか。
「両親が音楽が好きで、父親は尺八を、母親は琴をやっていたんです。父はレコードも収集していて、家にあったモノラルの電蓄でクラシックのSP版を聴いていました。それが1950年代末、ちょうどSP版からLP版に変わったぐらいの時期。あるとき興味を持って一枚のレコードを聴いてみたんですけど、それがあまりにも衝撃的で。<音楽ってこんなにいいものなの?>っていう感動があったんですね」

──それは何のレコードだったんでしょうか。
「たまたま手に取ったレコードがシューベルトの"未完成交響曲"だったんですよ。それまでシンフォニーなんて聴いたことがなかったから、ものすごく感動しました。そのときのことは今でもはっきりと覚えていますよ」

──それからクラシックの世界にのめり込んでいくわけですね。
「そうですね。中学に入ってからは吹奏楽部でサクソフォンを吹いていました。高校でも吹奏楽部に入るんだけど、ときどき弦楽部と合同でオーケストラを編成して演奏する機会があったんですね。オーケストラにはサクソフォンのパートがなかったから、オーボエを演奏するようになるんです」

──高校卒業後、なぜ音楽演奏家ではなく音響設計家を志すようになったのでしょうか。
「どう考えてもプロの音楽家としてやっていくのは無理だろうと分かっていたし、やっぱり音楽に近い職業に就きたいとは思っていましたから。もともと理数系なところもあったので、そのあたりを兼ね備えた職業として浮かんできたのが音響設計家という仕事だったんです。ただ、ホールの音響設計は今以上にマイナーな仕事で、僕自身どんな仕事なのか分かってなかったんだけど(笑)」
p2
──では、音響設計家とは具体的にどのようなお仕事なんでしょうか。
「大きく分けて3つあるんですよ。ひとつはコンサートホールの音の響きを設計する、室内音響設計の仕事。クラシックのコンサートホールの場合はマイクもスピーカーも使わないので、建築家とともにホールの形であったり寸法、材料を考えていくわけです。もうひとつは騒音制御、遮音。いくらいい音を作っても、外部騒音や空調などの設備騒音が聞こえたら駄目なんですね。もうひとつは電気音響設備。これはマイクロフォンやスピーカーのことですね。クラシックのコンサートホールでは使わないわけだけど、ポップスやロックなどクラシック以外のものではほとんど必要になってくる。この3つが仕事になってくるわけですね」

豊田泰久さん──いろんな職業の方とコミュニケーションを取りながら、ひとつの空間を作り上げていくわけですね。
「そうですね。電気設備の人と話をする必要も出てくるし、空調設備の設計者とサイレンサーについて話をすることもあります」

──コンサートホール専属のオーケストラと話し合いながら作っていくこともあるわけですか。
「ありますね。ヨーロッパやアメリカではオーケストラがそのホールを作り、運営することがあるんですね。日本の場合は県や市がクライアントになるケースが多いんだけど、オーケストラがクライアントになると、話が全然違うわけです。そのホールで自分たちが演奏するので、必然的に要求は厳しくなってきますよね」

──ヨーロッパなどではクラシック音楽の歴史そのものが違いますよね。
「ヨーロッパの人たちはクラシックのことを<ウエスタン・ミュージック>と呼ぶんですね。彼らにとってみると、<自分たちの音楽>なんです。だから、よくこう聞かれるんですよ。<あなたはなんでウエスタン・ミュージックのコンサートホールを作っているんですか? なぜ日本の音楽をやらないの?>と」

──そう聞かれた場合、どうお答えになるんですか。
「最初にそう聞かれたときは僕もドキッとしました。ポップスも含めた西洋音楽というのはロジカルにできているんです。楽譜が存在し、それによって教育することができる。誰もが同じ音を出せるようになるわけですよ。もちろん、その先には音楽家の表現があるわけですけど、その前の話として、ロジカルに作られていることが重要な意味を持つんです。でも、日本の音楽はシステマティックにできていない。システマティックにできていないぶん、教育が難しいんですね。例えば口伝で伝えられていくような場合、お師匠さんと1対1で30年習ってようやく一人前という世界になってくるわけですよね。そうなると、広がっていかない。これは優劣とは関係のない話で、西洋音楽のほうがシステマティックにできている分、広がりやすいんです。日本の音楽教育がいまだに西洋音楽が中心というのも、教育のシステムとして成り立ちやすいからなんです」

──システムとロジックを学べば、西洋人ではなくてもウエスタン・ミュージックはできる、と。
「そういうことです。だから、僕がクラシックの音響設計家をやっていてもおかしくないんですよ。そう答えると、大抵の人は<なるほど>と言いますね(笑)」
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──ところで、豊田さんにとって<いい音>の定義とはどのようなものなんでしょうか。
「<いい音>というのはあくまでも主観的なものなので、万人に対して共通する定義はないと思うんです。料理やお酒と一緒で、塩加減や砂糖の文量の好みもあるだろうし、体調や気分によって好みも変わってくる。そういう感覚的なものはかように捕まえどころがないものだと思うんですよ。ただ、だからこそおもしろいとも言えるんじゃないかと思います」

──そのなかで万人に受け入れられる<いい音>を追求していくというのは、答えのない問いに向かい合い続けるようなものでもありますね。
「いや、そこはある意味で簡単なんですよ。万人に向けた音を作っていくということは、特定のターゲットを想定して作るわけじゃないということですね。ということは、自分の好みで作るしかないわけです」

──なるほど(笑)。
「個人のリスニングルームを作るほうが大変なんですよ。いくら僕が<いい音>だと思っても、その人の趣味に合わなかったら駄目。見た目だって重要だし、その基準も人によって違ってきますから」

──では、豊田さんにとって音響設計家を続ける原動力となっているのは何でしょうか。
「やっぱり音楽が好きだからじゃないですか。音楽に近いところで仕事をできているから頑張れる。胃潰瘍になりそうなこともありますけど(笑)」

──今後、時代の移り変わりと共に音響設計家の役割はどのように変わっていくと思われますか?
「音楽の楽しみ方も多様化してきているし、デジタル・メディアが氾濫している今の時代のコンサートはどうあるべきかということを考えないといけない。僕の父親が電蓄で音楽を聴いていた時代とは違うわけ(笑)。でも、そのなかでコンサートがなくなってほしくないし、なくなることはないと思う。誰もが楽しめるコンサートのあり方を世界中で探っているんですね。たとえば、マイマミのニュー・ワールド・シンフォニーは、オーケストラの演奏と壁面に写し出した映像とのコラボレーションを試みたりしています。これまでにない表現方法が出てくると思いますし、そのなかで音響設計の仕事も多様化していくんじゃないかと思いますね」

──最後に余談としてお聞きしたいんですが、プライヴェートではどのような環境で音楽を楽しんでいらっしゃるのでしょうか。
「仕事柄出張が多いので、家でゆっくり音楽を聴く時間がなかなかなくて。悲しいかな、一番時間を使えるのが飛行機の中なんですね。そうなると、いいヘッドフォンが必要になってくるんです。個人的にはインナー・タイプのほうが好みなんですけどね」

PROFILE
豊田泰久(とよたやすひさ)歌手
豊田泰久さんポートレイト1952年広島生まれ。72年九州芸術工科大学音響設計学科に入学し、77年株式会社永田音響設計に入社。現在はロサンゼルス事務所の代表を務める。代表的なプロジェクトは、86年「サントリーホール」、2003年「ウォルト・ディズニー・コンサートホール」。現在まで50以上のプロジェクトを手掛けた。

永田音響設計| https://www.nagata.co.jp/


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by龍隆2021.3.14
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