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2020.5.28COVID-19【内田樹・岩田健太郎|アエラ2020年4月20日号より抜粋/大越裕2020.4.15: 岩田健太郎×内田樹 日本のコロナ対応の遅さは「“最悪の事態”想定しないから」

2020年05月28日 | おはら野の日記(ブログ版)since:2018-02-23
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この北海道新聞の【新型コロナと文明】危機管理と日本人_最悪を想定しない国民性/思想家内田樹/北海道新聞5月26日付けを探しているが
午前10:30 · 2020年5月26日


**広告や本文と関係のないイメージ画像などに、病的なまでに気が散ってしまう。ゆっくり読みたい記事を、全文をコピペして引用してる(引用元URLを書いて)
by龍隆2020.5.28

内田樹岩田健太郎アエラ2020年4月20日号より抜粋/大越裕2020.4.15 08:00: 岩田健太郎×内田樹 日本のコロナ対応の遅さは「“最悪の事態”想定しないから」
https://dot.asahi.com/aera/2020041400029.html?page=1
 前例なき緊急事態宣言が打ち出された長い夜。ウイルスとの闘いは次なるフェーズへと移った。宣言から遡ること4日前──神戸大学病院感染症内科の岩田健太郎教授が、本誌コラムニストの思想家・内田樹氏とAERA2020年4月20日号で緊急対談した。その中から、ここでは「外出自粛の要請」までに時間がかかった政府の対応について論じる。

―─緊急事態宣言が発令されたのは4月7日のこと。対談が行われた3日は、政府が発出をためらっている段階だった。一方で、医師などからは一刻も早い「宣言」を望む声があった。

内田樹(以下、内田):行政が決断を下すのにこれほど時間がかかるのは、どういう理由によるのでしょうか?

岩田健太郎(以下、岩田):いちばん考えられる原因は、「プランB」を用意していなかったことです。日本政府や厚生労働省は伝統的に、事前の予測に基づく計画を予定通り実行することに関しては極めて有能です。今回でいえば、感染症を抑え込むために病院に何床ベッドが必要か、治療にあたる医師や医療スタッフが何人どこに必要か、綿密な計画を優秀な官僚が立てていたはずです。

 問題は、事態がそのレールから外れたときです。当初のプランAが軌道に乗っているうちは安心ですが、それが崩れた時の想定をしていない。予想していた患者数を大幅に超えてプランが破綻したときに、方向転換のタイミングが極めて遅いんです。

内田:シナリオが複数用意されていないわけですね。

岩田:はい、政治家も官僚も路線変更に抵抗して、「まだ上手く進んでいる」と現状のプランにしがみつき、ひどい場合には「このプラン以外はありえない」と言い出します。典型的なのが東京五輪です。「来年の7月にオリンピック開催して大丈夫ですか?」と複数のメディアに聞かれましたが、生物学的に来年7月までにウイルスが日本から根絶される保証は一つもありません。ですので「ダメかもしれません」と答えました。しかし政治家たちは「日本にはワクチンや薬を開発する力があるし、できるはずだ。それ以外にない」と言うわけです。

内田:日本政府がコロナに対して3月半ばまで真剣な対応をとらなかったのは、「東京五輪を中止したくない」という強い願望があったからだと思いますが。
2p
岩田:誰も決断を下さず「オリンピックの開催は無理だよね」という空気を徐々に醸成していって、ようやく延期に踏み切った感じがしますね。東京のロックダウンのような制限が遅れているのも、経済的損失を恐れて「封鎖やむなし」の空気の醸成を待っている感じがします。しかし、手術せずに痛み止めを飲み続けていても、いずれ必ず手遅れになります。一刻も早い、「大手術」の決断が必要です。

内田:僕もそう思います。

岩田:私たち医者は予言者ではありません。治療にあたっては常に複数のシナリオを作ります。今回の新型コロナも1月に武漢で発生したときに、八つほど想定シナリオを作りました。残念ながらその中で最悪のシナリオが現実になりつつありますが、基本的にどのシナリオになっても対応できるよう準備しておくことが大切なんです。内田先生がお詳しい武道でいえば、「相手はこう来る」と決め打ちするのではなく、どう攻撃してきても対処できるようにしておくという感じでしょうか。

内田:よくわかります。プランAがダメだったときのためにプランB、プランCを用意しておくという発想そのものが日本社会にはありません。どこでもそうです。僕は何ごとによらずとりあえず「最悪の事態」を想定しておくという、日本社会では少数派なんですけれども、大学在職中はそれでよく叱られました。「最悪の事態を想定すると、それが現実になるんだ」と。

岩田:そんなことが(笑)。

内田:ほんとにそうなんです。人口減で18歳人口が減ってゆくのだから、大学の教育水準を維持するためには定員を減らし、ダウンサイジングすることが必要だと僕は思ったんですけれど、それは絶対ダメだと怒鳴られました。予算が減り、人員が減りという環境に置かれたら、研究も教育もやる気がなくなるのだ、と。人間というのは「右肩上がり」の話をしていないと生きる力が出ない生き物なんだ。内田君は人間というものがわかっていないと説教されました。

岩田:そこまで、ですか。

内田:でも今思い返すと、その説教には一理ありました。たしかに日本人はそうなのかもしれない。「最悪の事態」を想定して、うっかりそれを口に出すと、集団のパフォーマンスが下がるということが日本の場合は経験的事実としてあるんじゃないでしょうか。かつて帝国陸軍の戦争指導部も、皇軍大勝利というシナリオを起案する参謀だけが出世して、後退戦での被害を最小限に食い止める方法を考える現実主義者は冷遇された。今回、日露戦争以来の「プランBを考えることをしない国民性」が際立ったように思います。

(文・構成/大越裕)

(引用終わり)
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