※排泄系の話題あり。注意!
弥七を我が家に連れ帰り、一夜明けて今日。
昨夜はずっと洗濯機脇に怯えてうずくまっていたので、
洗濯機前にエサと水の皿を置き、私の存在を気にせずあちこち探索出来るように
いつもは開け放っている襖をしっかり閉じて就寝した。
今朝見てみたら、相変わらず洗濯機脇でうずくまってはいたが
エサと水がかなり減っていたのでまずはひと安心。
即席トイレも洗濯機近くに設置。
そのままそっとしておいたが、午後になっても用を足した形跡が無い。
水をかなりたくさん飲んでいたのに大丈夫なのだろうか?
と少々心配になる私。
とは言え、頻繁に覗きに行っては出るもんも出ないだろう。
我慢出来なかったらするだろうと旦那に任せて外出。
夕方帰宅し様子を見に行くと、何やらトイレの砂が乱れている。
これは!と思い砂を揺すってみると、
きっちりと律儀に埋められていたと思しきブツが。
さすが元飼い猫(推定)。
初めてのトイレでもバッチリ用を足せるなんて、何てお利巧ちゃん!
と早くも脳内は親バカ全開状態。
その後ブツの確認を兼ねて始末をしていると、
小柄な体からどうやってこんなものが。。。
と驚愕するような立派なものがいくつもいくつも見つかるではないか。
緊張のあまり我慢しまくっていたのかもしれないが、
そのモリモリぶりにかなり驚いた私であった。
何はともあれ、大小取り混ぜて無事に出来ているようで良かった事だ。
体調も崩していないようなので、それにも安心した。
まだ短い付き合いであるが、ちょっとだけ弥七についてわかった事。
・かなりのビビりである。
・性格は温和でおとなしい。怯えても威嚇したりしない。
・鶏ささみが好きらしい。
・生活音(シャワーやドライヤー音、テレビ音声など)には全く怯えない。
・トイレはしっかり念入りに埋めないと気が済まないようだ。几帳面。
・またたびが効かない。
そして、黒猫であるが頭のてっぺんあたりにうっすらシマシマが見える。
尻尾はほんのり程度のカギ尻尾だが、ある程度の長さがあり全体が同じ太さ。
目と顔が丸くて童顔。
今日も一日ずっと洗濯機脇だが(気に入ったらしい)、
自分で閉める事を覚えたらしく、開け放していた洗面所のドアが閉められていた。
トイレの事といい、もしかしたら結構お利巧ちゃん?
とにかく、とっても手のかからないにゃんこである。
さっきそっと様子を見に行ったら、
安心したのか腹をチラ見せポーズでぐっすり寝入っていた。
このままちょっとずつでいいから我が家に慣れていって欲しい。
← ちなみに、正式トイレとしてこれを購入。
今も念入り過ぎるほど念入りにザッザッと砂を掘っているモリ造の為に、
ちょっとでも落ち着いて用を足せそうな物を選びました。
気に入ってくれるだろうか。
そんな感じで、弥七との共同生活がスタートした。
正式名称は「弥七」であるが、あだ名として「おやびん」とも呼ばれている事を
補足してこの作戦記を終わろうと思う。
早く一緒にぐーすか寝たいものだ。
無事、弥七を保護しました。
前回の記事をアップした後に、意を決してまたたび片手に部屋を出て
保護まで実に数分。
弥七が、昼間のクソガキから逃げる際にやってしまったのか
後ろ足を微かに引きずっていたのを見て、
「絶対、何があっても今夜は連れて帰る」
と心を決めてまたたび開封。
手のひらに乗せて弥七に嗅がせてみると、またたび粉をキレイに舐める弥七。
その後変化を待って様子を伺うも何も変化なし。
拍子抜けするほど、何もなし。
恐らく昼間の興奮状態が冷め切れていなかったのだと思うが
またたびが効かないと理解した瞬間、弥七を抱き上げ二階へ。
今まで抵抗を感じると無理強いしなかったので油断していた弥七、
非常扉前で本気で抵抗を始めるも無言で抱きしめ、そのまま扉内へ。
少々顔を引っかかれるも、気にせず扉を閉めた後弥七を開放。
恐怖で気が動転している弥七、私が無言で玄関ドアを大きく開けると
自分から走って部屋の中へ。
玄関ドアを閉め、鍵とチェーンをかけた途端に大きな脱力感が。
達成感よりも、数日ロクに眠れなかった事も相まって疲労が大きい気がした。
弥七は台所→居間の入り口へ移動し、コタツを見てなぜかしばらく呆然。
その後洗濯物を干すだけに使っている洋間へ移動。
もしかしたらスプレー行為があるかもしれないので、洋室から出してドアを閉めると
今度は洗面所と浴室のあるドアの中へ。
現在は洗濯機横の隙間で篭城中。
怖い思いをさせてしまったのは申し訳ないが、
これで夜中の物音にビクッとして起きたり、子供の声に神経質に外を確かめたりと
胃が痛くなるような心配をしなくてもよくなったんだと思うと、本当に嬉しい。
まずはゆっくり休ませて、落ち着いてきたら獣医へ連れて行こう。
猫グッズも揃えなければ。
かくして、大騒ぎして迷い猫保護作戦は無事完遂した。
引き続き迷い猫情報はチェックしていくが、もし探している人がいないのならば
このまま我が家の家族として迎え入れようと思う。
昼間、旦那と捕獲についての作戦を練っている際に
以前に買い置いてしばらく忘れていた焼酎を旦那が飲もうと引っ張り出した瞬間に
「あっ!」と大声を上げたので何かと思ったら、
く、黒猫!
偶然にも、その焼酎は「さつまくろねこ」というのであった。
まだ弥七の存在を全く知らない頃に購入したものである。
何やら不思議な縁を感じた事であった。
もう一匹の黒猫ちゃんは今も警戒バリバリで篭城中であるが、
ここなら怖い人間もいないし、エサもあるし、寒くないし雨も降らないよ。
つらかった日にちの分だけ、ゆっくりくつろいで欲しいと願う私なのであった。
~ミッション コンプリート!~
その後、迷い猫・弥七と私の間に進展はあったかと言うと
「エサをくれる人」認定の偉大さと言うべきか、
モフモフはもちろんの事、シッポにぎにぎOK、しかも弥七からのスリスリありと
なかなかのラブラブ具合へと発展した。
昨晩など、怒涛のスリスリ攻撃に「これはイケる!」と踏んだ私が抱っこを敢行。
おとなしく抱っこされ、そのまま移動を始めても抵抗が無かったので
そのまま我が家へGO☆とばかりに階段を駆け上った私であったが、
二階に着くなり弥七が異常な怯え方をし、弱弱しく抵抗を続けるので
このまま激しく暴れられて階段を転がり落ちたりしたら危険、
と判断し下に降ろしてやった。
そんな状況でも、弥七は決してツメを立てたりしなかったので
本当は優しい性格のにゃんこなのだろうな。。。と切なくなった事である。
そして今朝。
いつも通りに外に出たが、昨日の朝も二階で待っていてくれたのに
弥七のお出迎えが無い。
雨が降ったせいで、どこかいつもとは違う場所に隠れているのか?
と思いつつ、エサをいつもの場所に補充してやり部屋に戻った。
しばらくして旦那が帰るよと連絡を寄越したので、
上がって来る時に弥七がいるかどうか確認して欲しいと頼み
私も窓から下を覗いていたところ、旦那が階段に近づいた瞬間飛び出してくる猫影が。
弥七?と思ったがよく見ると弥七よりも二回り以上でかい巨漢猫。
立派なトラ模様と体格の猫である。毛並みも美しく、明らかに飼い猫な風情。
どうやらそのトラ吉(仮名)は、私が弥七の為にせっせとあげていた高級カリカリを
隠れてガツガツ喰らっていたようなのである。
外であげているものだし、そういう事もあろうとは思っていたが
以前に弥七が異様にお腹を空かしている事が度々あり、
エサの減りも早かったので「体の割によく食べるなあ」と感心していたのだが
コイツに横取りされて食べていなかったのではあるまいか。
旦那も、急に飛び出してきた巨漢猫にビックリかつ慄いていた。
帰宅した旦那と入れ違いに下に降り、
弥七を呼んでみると離れた所から泣き声が聞こえる。
どうやら隠れていたらしい。
お腹を空かせている様子で、情けない調子で鳴いている。
あのトラ吉(仮名)がいたので、怖くて逃げてしまったのだろう。
改めてエサをやり、弥七を呼び寄せようとその場をちょっと離れたら
また先程のトラ吉(仮名)がエサに突進しているではないか。
猫は皆可愛いし差別するのは本意では無いが、人間で言えば力士並みのトラ吉(仮名)。
更に、毛づやも見事な明らかな飼い猫。
「自分ちで食え~!!コラー!!」
とトラ吉(仮名)に向かっていく私。
「ヤベッ☆」
といった風に舐めた調子でのたのたと逃げるトラ吉(仮名)。
しかも腹が立つ事に、動くのがかったるいのか逃げるのもフリだけで
「こんなもんでいいだろ」的な表情で少し離れたところからまだエサを狙っている。
猫相手に大人気無いが、カチーンときた私。
「お前のメシは他にあるだろうー!コラー!」
と本気で追っかけたところ、ギョッとした顔で逃げるトラ吉(仮名)。
おデブちゃんの癖に身のこなしが軽い。さすが猫。サモハンみたいな奴だ。
トラ吉はマンション隣の、これまた猫飼いのおばあちゃん宅へ
門の隙間をすり抜け入っていった。
トラ吉を追い回している最中、通勤中と思しきおっちゃんにはビビられるは
当の弥七にまで「こいつ、KOEEEEE!」的なリアクションをされるはで
今日は朝からグッタリだったのである。
さて、そんな私&弥七の災難はそれだけでは終わらなかった。
私が夕飯の買い物を済ませ帰宅すると、何やら外が騒がしい。
ベランダから覗いてみると、何と三人のクソガキが弥七を追い回しているではないか。
弥七は怯えきって無茶な逃げ方をし、危うく車道に飛び出し轢かれる所だった。
怒りが一気に燃え上がった私は、そのまま階段を駆け下り
まだ大騒ぎして弥七を追い回しているガキの背後に立ち
「猫追い回してんのアンタ達?」
を腕組みをし声をかけ、
車道に飛び出して猫が轢かれて死んだらどうするのか?
生き物はお前らのおもちゃじゃねえんだ、
二度とこんな事をしたら許さないから覚えておけ、
と三人が怯えながら「わかりました」と答えるまで睨みつけながら叱った。
ガキがその場を立ち去るまで見届け、
部屋に戻り買って来た物の整理をしているとまたガキの歓声が。
窓から下を見ると、またさっきのクソガキだ。
今度はトラ吉(仮名)を追い回している。
奴ら、今度こそ泣くまで〆ないとダメだ、
すぐ近くに地域猫がたくさんいる大きな公園もあるのになぜここに来るのか、
と下に降りようとしたところ、
いつも空気な存在で全く役に立たないと思っていた管理人のおババちゃんが
何事か叱って子供を追い返しているではないか。
いつも挨拶や軽い世間話はするものの、
知人らしきバアちゃんと私の噂をしているのを聞いて以来
距離をおいていたおババであったが、たまにはいい事するじゃないかGJ!
と好感を持った事である。
そして、トラ吉(仮名)はガキに追い回されてもメゲずに
弥七のカリカリをガフガフ喰らっているのであった。。。
そんな事があり、私の中で弥七を外に置いておく不安が一気にMAXに達した。
もうこのまま置いてはおけない。一日も早く保護しなくては!
その思いに駆られ、ひとっ走りして帰ってきた私の手にはひとつの箱が。
そう、猫を魅惑の世界へといざなう禁断のブツ・またたびである。
とりあえず現時点ではこれしか思いつかない。
コイツを弥七にかまし、ご機嫌になったところを一気に捕獲するつもりである。
ただ体質によっては効かない場合もある事と、必ずしもダラ~ンやアハハウフフな状態に
なるとは限らない事(凶暴化するパターンもあるらしい)、
そして私自身が猫にまたたびを使った経験が皆無という点が不安である。
旦那が実家にいた頃に多頭飼いをしており、すべての猫にまたたびを使ったところ
ひたすらじゃれ続ける者、とろーんとする者、だら~んと弛緩し失禁するものと
色々いたらしい。
果たして弥七はどのタイプなのだろうか。
そして私は、無事に弥七を連れて来れるのだろうか。
もう少ししたら決行しようと思っているのだが、とても不安である。
今夜私が熟睡出来るか否かは、今夜の作戦結果にかかっているのであった。
今朝、エサをやりに行こうと非常扉を開けたら何と弥七がいた。
扉が開いたのに驚き一目散に階段を駆け下りて行ってしまったが、
確かに二階まで上がってきていた。
私は寝ぼけが一気に吹っ飛ぶくらい驚いた事である。
その後、弥七はドキドキが治まらないのか寄って来てくれないので
仕方なく昨晩しかけたエサ皿を取り出してみるとまだ残っていた。
という事は、空腹のあまりに二階まで来てしまった訳ではないのか?
私がその階段を降りてエサを持ってくる事、更に階段を上った先にいる事は
理解していると考えていいのだろうか。
私が懸命にこっち(二階:我が家)においでと呼びかけている事は
理解しているという事だろうか。
本当のところは弥七にしかわからないが、少し希望が見えた気がした朝であった。
現在、肌寒いのに弥七は道路脇の植え込み奥に潜んでいる。
階段~植え込みに行き来する際に、私が見ただけでも数回
通行する自転車に轢かれそうになっている事や
何かに驚いて車道に飛び出す危険性を思うとヒヤヒヤするのだが、
無理に捕まえようとして警戒心を強められるよりも
少しずつ歩み寄る方が「急がば回れ」でいいのだろうか。。。と悩ましい。
今日の猫と私。
朝、植え込みの中にいる猫を確認。カリカリをあげる。
私を見て(というよりエサを見て?)「にゃお~ん」と寄って来てくれ、
頭を撫でさせてくれる。いい兆候。
その後、仕事を終え帰宅した旦那がマンション下から私に電話。
何かと思ったら「猫が階段の所にいるよ!」との事。
どうも来て欲しいみたいなので、パジャマにダウンコートという
恐ろしい民族衣装で猫の相手に向かう。
しかし、旦那に怯えて猫出てこない。
猫好きの旦那、少々ショックそうに離れた所へ移動。
すると寄ってくる猫。
近くに来たのでモフる。
頭や背中・腹をモフっていたら、何とちょっとお腹を見せてくれた。
これは高ポイントだ。
しかし、明るくなると恐怖心が増すのかそれ以上の進展はナシ。
昨晩の事があるせいか、階段を上る気配見られず。
部屋に戻り、旦那と今後の対策を考える。
・キャリーバッグ内にエサを置き誘導
・またたびを盛る
・私が根気良く二階へ誘導、二階到達後は旦那と協力して我が家へ誘導
などいくつか案が出るも、決め手となる手段は見つからず。
キャリーバッグ → 飼い猫であったなら抵抗感がある可能性あり。イマイチ。
またたび → ダウナータイプならびろーん状態で運び込めるが、凶暴化する場合は危険。
二階へ誘導後タッグ → 旦那を怖がって二階に来ない可能性あり。
というように、なかなか難しい。
当初考えていたように、いっその事捕獲器を借りて使用するかとも考えたが
せっかく少しずつでも仲良くなってきている今、
信頼関係を粉砕する恐怖を猫に与えるのはいかがなものか?と躊躇してしまう。
気は焦るが、季節はこれから暖かくなる方向へ進んでいるので
食べるのに困らなければ多少時間をかけても平気かもしれないのは幸いだ。
それに今朝発見したのだが、私以外に毎日猫にエサを与えている人がいるようだ。
そばにある獣医のスタッフではないかと睨んでいるのだが、
同じマンション内の猫飼い住人さんかもしれない。
誰であるにせよ、ありがたい事である。
いずれにしろ心強い。一人ぼっちで夜に猫捕獲に挑むのは、
近所の目もあるし酔っ払いに絡まれそうになったりするしで心細いものなのだ。
そして夜は、風が強くて寒い上に雨も降り出したので
無理やり狭い隙間に体を押し入れ、手を目いっぱい伸ばして
エサの皿を階段裏に隠すように置いてやった。
これで、今夜は雨風を凌ぎながらゆっくり食べられると思う。
皿は翌朝早くに回収予定。
そんな感じの、今日であった。
さて。猫とも顔見知りになってきたと思うので、勝手に名前をつけた。
黒猫でオスなのと、常に用心深く身を低くして移動する様子から連想して
「弥七」と呼ぶ事にした。←水戸黄門の大ファン。
今後は「猫」ではなく「弥七」と書こう。
今夜は、エサをあげに行った際に頭~背中を
モフらせて貰う事に成功。
しかも、私の気のせいでなければ
ほんのちょっとだけスリッとしてくれたのである。
やっと少し心を開いてくれた!と私は浮かれてしまった。
その浮かれが焦りを呼び、
結果的にせっかくの成果をおじゃんにしてしまったのである。
そんな訳で、今私は猛烈に凹んでいる。
せっかく、せっかくあと一歩まで漕ぎ着けたのに。。。
モフ&スリッの後、しばらく親密な空気を共有した後に
私はそろそろ部屋に戻るか、と空の皿を持って階段へ向かったのだが
すると猫が「にゃお~ん」と寂しそうに鳴くではないか。
これは恐怖が邪魔しているだけで、うまくやれば部屋に連れて帰れるかも?
と欲をかいた私は、階段を上った所から猫においでと呼びかけてみた。
猫はかなり葛藤し、うろうろしたり毛づくろいをしたりと躊躇っていた。
数分が経過し、「やっぱり無理か。急にそんなうまく事が運ぶ筈ないもんね」
と私があきらめて去ろうとすると、階段の影からちょこっと顔を出して
私の事を見つめているではないか。
もう少し粘るか、と私は階段に腰掛けて根気良く猫に呼びかけてみた。
十数分くらい粘ったところで、意を決した風で猫が階段を上がってきた。
私はもう有頂天である。
寒さで腰が冷えるのも構わず、恐る恐る近寄ってくる猫をガン見していた。
猫は警戒気味に私の横をすり抜け、三階へ続く階段を上って行ってしまった。
しばらく待ってみたが現れないので、他の住人に脅かされない内に下に戻さねば
。。。と腰を浮かした時、物音に反応して猫がひょこっと顔を出した。
そのまま、階段の影から顔だけ出してこちらを覗いている。
私は、もう少し待つか、と猫を脅かさないように不自然な姿勢のまま静止した。
更に十数分ほど経った。
猫はやっと警戒を解いて、私が住む二階のエレベーター前に続く
非常ドアに近づいてきた。
猫が完全に入ったら、非常扉を閉めて今度は我が家のドア内へ
誘導しようと考えていた私は、非常扉を半開きにして中腰という
キツい姿勢で耐えていた。
それから更に十数分くらいで、やっと猫が恐る恐る階段を降りて
非常ドアへ近づいてきた。
あと少し。。。と思った瞬間、
チン!と大きな音を立ててエレベータが止まり中から新聞屋が出てきた。
当然、猫は怯えて一気に階段を駆け下り、階段の影に隠れてしまった。
新聞屋は「こんばんは」と挨拶をし、私もそれに答えたが、
恐らくその時の私は鬼のような形相をしていたと思う。
しかも訪ねた先の住人は不在だったらしく、すぐにあきらめて帰っていった。
もう今日は無理だ、ここら辺にしておこう。。。
と冷えによる腰の痛みを感じながら思った私だが、階下を何気なく見たら
階段の影から猫がちょこっと顔を出して私を見ていた。
本当は寂しくて一緒にいて欲しいのかもしれない。
とじわっときた私は、こんなんでメゲてたまるか!と二回戦突入。
三十分ほどかけて、先ほどと同じ状況まで持ってきた。
そして、めいっぱい躊躇った後に猫が非常扉の中に!
完全に体が中に入ったのを確かめて、私は急いで非常扉を閉めようとした。
しかし、非常扉なので当たり前だが扉は閉まり方がえらいスローモーな為
閉じ込められる!と気づいた猫が咄嗟にドアの隙間から飛び出して
一目散に逃げて行ってしまったのだ。
私は今度こそ完全に落胆した。
これで、怖い思いをしたこの場所にまた来てくれるまで時間がかかるだろう。
焦った私がバカだった。
もっと猫が辺りを探索して、ある程度扉から離れるまで待てば良かったのだ。
恐怖感を抱いた猫は、更に警戒心を強くするだろう。迂闊だった。
その後、未練たらしく下に降りると、猫が「にゃおーん」と鳴いて近寄ってきた。
しかし、ちょっとでも私が動くと怯えて隠れてしまう。
それでも、隠れた後に顔だけ覗かせてこちらを見ているのだった。
しばらく粘ったものの、腰が本格的に痛み出してきたので
私はガックリと肩を落として部屋に戻った。
戻ってから窓を開け下を覗くと、猫が階段の影から私が来るのを待っている風に
顔だけ覗かせているのを見て切なくなった。
もう少し相手をしてあげたかったが、他の階段を使う住人が帰宅する時間帯に
差し掛かってきたので断念した。
いつも階段を使う足音しか知らないが、
猫がエサを食べている間も頻繁かつ異常に階段の上方に怯えるので
もしかしたら猫を脅かすような人物かもしれない。
猫に怖い思いをさせたくないし、私もいらぬ悶着を起こす事になるかもしれない。
後ろ髪をひかれるが、また明日もあるのだし今夜は反省しつつ
次の手を考える事にした。
そして、もう一度窓から下を覗いてみると猫はいなかった。
旦那が、朝帰宅した際に階段裏から出てくる猫を見たと言ってたので、
雨風が凌げる場所を見つけてそこで寝ているのだろう。
大きな車道に面した植え込みの奥よりは安心だが、
一日も早く我が家でぐっすり眠らせてあげたいと思う私なのであった。
昨日、仕事の面接に向かおうとマンションを出た所で
マンション前のゴミ集積所でカリカリを食べている猫を見つけた。
集積所と言っても、マンション前の歩道脇に植え込みがあり
その切れ目にちょっとスペースを作った程度のものなのであるが
我が家のマンションやその並びには交通量の多い大きな道路沿いという事もあり
車で乗りつける客が多い店や施設があるので、歩道も車道も広めである。
その為、集積所があるとは言え
歩行者の通行には影響しないくらいのスペースが確保されている。
どうやら、猫はゴミ集積所脇の植え込み奥に潜んでいたようだ。
私は常に近所の猫チェックをしながら歩いているので、
その猫が以前からここらにいる野良猫でない事はひと目でわかった。
体の大きさから見て、まだ一才になっていないくらいではないかと思われた。
毛はあまり汚れていないが、ひどく怯えており片目に目やにが出かかっている。
我が家のすぐそばに結構流行っている獣医さんがあるので、
カリカリはそこの人かそこに来た人があげたのかもしれなかった。
気になったが、面接に遅れそうだった事と自分が知らない野良猫の
可能性もあるのでその場は立ち去った。
さて、面接から帰ってくると猫はまだ植え込みに隠れていた。
舌打ちで呼びかけると大きな声で何度も鳴く。
「これは飼い猫だ」
と思い、辺りが完全に暗くなるのを待って
鶏肉をボイルして細かくした物と水を入れた容器を持って
植え込みの猫を呼んでみた。
猫はかなり警戒しており、私がちょっとでも身じろぎすると
あっという間に走って植え込みに逃げ込んでしまう。
よほど怖い目に遭ったのだろうと悲しくなった。
しかし空腹には勝てなかったと見え、
エサにつられて私のそばに寄って来て目の前でエサを食べ始めた。
食べながらも、何かされないか?と警戒した様子で何度も私の顔を見る。
私は「ゆっくり食べな」とか「お前、おうちはどこなの?」などと
優しく話しかけながら食べるのを見守っていた。
全部食べてしまうと、猫は落ち着かない様子で私の周りをうろうろする。
試しにそっと手をさしのべてみると、フンフンとにおいを嗅いだりする。
しばらく話しかけながらそばにいる内に、背中をちょっとだけなでさせてくれた。
猫はそれでも恐怖が先にたつようで、そばを離れないものの
自分から近くには寄って来ようとしない。
それにしても、この猫はどこの猫だろうか。
そばで観察させてくれないので、去勢の有無などが確認出来ず
盛りがついて自分のテリトリー外に来てしまい戻れなくなった飼い猫なのか、
それとも逃げ出して迷子になった室内飼い猫なのか、
考えたくないが飼いきれず捨てられてしまったのか判断がつきかねる。
私の住んでいる辺りは
ペット可のマンションがかたまっている地域なので
(何気に我が家もそうだ)室内飼いされている猫は結構いる筈だ。
戻れなくなった&逃げ出した飼い猫ならば、今頃飼い主は必死に探しているだろう。
とりあえず猫探しの掲示板をいくつか調べてみたが、
それらしき投稿は見当たらなかった。
だが私の脳裏には、少し前に越していった上階の住人が浮かんでいた。
猫が頑なにマンション前からいなくならない事と出没時期を
併せて考えると、可能性は高いように思われた。
昨今のペットブームでペット可のマンションは増えたが、
それでもまだダメな物件の方が圧倒的に多いし(特に「猫はダメ」物件は多い)
家賃も初期費用も割高である。
無責任が飼い主が。。。という事も容易に想像出来る。
エサを持って出る前に、まだいるかどうかベランダから確認した時
空腹に耐えかねて集積所に転がっていた人参を齧っているのを見て
哀れでたまらなくなり、
「とりあえずうちで保護しよう」
と決めた。
しかし、警戒が解けないので部屋に連れ帰る事が出来ない。
以前、逃げ出した室内飼いの猫を数日ぶりに見つけて連れ帰ろうとした際
怯えきった猫の死に物狂いの抵抗でケガをし、大出血した思い出がある。
小柄なメス猫だったが、旦那と二人がかりでもキャリーケースに入れるのに
血をボタボタ滴らせて辺りが血塗れ、という大騒ぎとなった。
今回はそのメス猫よりも大きいし、無理に連れ帰るのは難しそうだ。
大きな道路沿いなので、気が動転した猫に飛び出されたりしたら
それこそ危ない。
一体どうしたものか。
やはり、気長にエサを与えて警戒心を解くしか無いのだろうか。
一応ペット可物件なので、極端な動物嫌いは住んでいないとは思うが
ペット解禁になってまだ二年弱なので、昔からの住人がどうかはわからない。
更に「犬は好きだが猫は嫌い」という住人もいるかもしれないし、
猫がゴミを漁ってしまったりしたら苦情が出る事も考えられる。
物騒な人間もいるし、出来るだけ早い時期に保護したい。
旦那も保護に賛成してくれているので、
今後対策を練ってあの猫を助けたいと思う。