爽やかな秋晴れの週末。
兵庫陶芸美術館で開催中の『恋する古伊万里 ~かたちとデザインの魅力~』展へ行ってきました*
丹波立杭焼(丹波焼)の郷である兵庫県丹波市にあるこの美術館は、里山に囲まれた丘の上にあります。
蔵をいくつも繋げたような建物で、内装には木材が多用されていてとてもぬくもりがあり、落ち着ける場所。
エントランスから外を望めば、山が近くて、空も近い!
気温も私が住む場所よりも数度低くて、ほんとうに気持ちのよいところです*
――さて。
展覧会は題名のとおり『古伊万里』に関するもので、佐賀県立九州陶磁文化館所蔵のコレクションが展示されていました。
うつわに目がない私と家族には、垂涎の品ばかりで(笑)
古伊万里なんてこういう機会でもないとなかなかお目にかかれないので、ひとつひとつしっかりと鑑賞してきました。
写真撮影可とのことでしたので、気に入ったもの(ほぼすべてだけど)をスマホにも記録。
その中からいくつかをこちらにも*
極彩色の小鉢です。
内側も外側の色彩と図案の洪水で、「The 古伊万里☆」って感じ! (美しすぎて語彙喪失)
私…菊のかたちをした器に弱いんです。
この赤、この意匠。 まさに柿右衛門様式。
寸分の狂いもない、まるでプリントしたかのような図柄。
さすが鍋島。
〈側面〉
高台にまでみっちりと模様。
なんてモダン…!
野菜づくしのお皿。
野菜って絵になりますよね。 あー、かわいい*
このお皿…復刻してくれたら絶対に買うのに!
〈側面〉
古典柄なんだけど、モダン。
折り紙モチーフの小皿。
二枚は同じ型、同じ桜の絵柄の色違いですが、よく見ると手前の花はしべが見えていて裏側から見た桜、奥は花の表側から。
「気づく人だけ気づいてね」と言わんばかりで、悪戯っぽくておもしろい。
こんなの、もうたまらない…!
「可愛い」以外の言葉が見つからない。
今回の展示品の中で、私が最も惹かれたもの。
これを「可愛い」以外の言葉でなんと表せばいいのか。 (またまた語彙喪失)
江戸時代の人の感性って、なんてお洒落!
この絵柄、なんだと思います?
雷雲と雷鳴なんですって!
引き算のある色彩を含めたデザイン力に、そしてそれを器のデザインに用いちゃうセンスに、脱帽。
竹に雀…間違いなく可愛いモチーフ。
このちょっぴりおまぬけな雀ちゃんがツボ。
この大鉢、見れば見るほど驚きがあって、10分以上この周りをぐるぐると。
だってほら、なぜだか知らないけれど(解説にもなかった)、背面にボタンのような意匠があるんですよ?
それに、内側に描かれた干支の動物たちは、これまたなぜだかそのほとんどが後ろ姿。
寅の後頭部とか申の後ろ姿とかの図案なんて、初めて見た。
『ハレの日の古伊万里』と題された、染付のうつわを使ってのお祝いテーブルのデモンストレーション。
…まさかの染付×ショッキングピンク。
まさかの熱帯植物(ブーゲンビレアとモンステラ)とのコラボレーション。
ちょっと暑苦しいけど…すごく合う!
おみやげは図録。
自宅での反芻用に(笑)
珍しいハンディサイズで、表紙もやわらかくて軽くておサイフにも優しい価格で、気楽に見られるタイプ。
(でも図録なので当然写真はきれいだし、解説もみっちり)
そして古伊万里のあとは、この美術館のコレクションであるイギリス陶器も鑑賞。
大好きなルーシー・リーや、憧れのバーナード・リーチの名品がずらりと。
(こちらの展示室は撮影不可)
初めて目にする作品もあって、こちらもうっとり釘付けになりながら、じっくりと見てきました。
そしてそして。
眼福の後は口福も…ということで(笑)、美術館に併設されたイタリアンレストラン『虚空蔵』へ。
前菜
生パスタ。 もちもち食感で、絶品!
デザート
丹波焼に盛られた料理の数々は、うつわ遣いの参考にもなって、最後まで楽しく美味しくいただきました*
おなかいっぱい!
美術館を出た後は、時間の許す限り立杭の里を散策。
家族はお目当ての花瓶を見つけて、ホクホク顔で購入(笑)
秋の丹波路は黄金色。
…でも、楽しみにしていた彼岸花はほとんど咲いていなくて、犬の散歩中に声をかけてくださった地元のかたによれば「今年は遅いねぇ、これからかねぇ」とのこと。
ほんのりと色づいた桜の木の向こうに見えるのは、丹波焼の窯元群。
毎年10月に陶器まつりがあって、例年ならば私もそれに合わせて訪れるのですけれど。
今年は甥の幼稚園の運動会と日にちが重なり、そちらにお呼ばれしてしまったので、陶器まつりは諦めざるを得ず。
秋の丹波は、これで見納め。
丸一日、好きな場所で好きなものだけ見て、食べて、歩いて。
なんとも贅沢で豊かな時間でした。
あー、よく遊んだ!