セグメントゲームズ

元ゲームプランナーという、しがない肩書きだけが取り柄のゲームブログ。生ラジオの告知が中心で、たまにテキスト対談を更新中!

Wii U『ボールポイントユニバース:インフィニット』 インプレッション

2014年10月19日 18時15分03秒 | 【旧】購入・レビュー話
「論理信奉者(ろんりしんぽうしゃ)」。
今作のカギを握る存在ですが、この言葉から何を感じますか?




ボールポイントユニバース:インフィニット
対応ゲーム機 ―→ Wii U(ダウンロード専用)
発売日 ―→ 2014/10/15
価格 ―→ 463円(税別)
ジャンル ―→ シューティング/アドベンチャー
プレイ人数 ―→ 1人
CERO ―→ A(全年齢対象)

※パソコン向けサービス「Steam(スチーム)」でも配信中です。





■====== 簡単なご紹介 ======■

アメリカで設立したばかりの開発スタジオがインディーズゲームとして手掛けた、アクション&アドベンチャーゲームです。
ボールペンで描いたラクガキを、そのままグラフィックとして採用しているのが特徴。今作のグラフィックは全て、1人のデザイナーによって描かれたそうです。また、響く音を多めに使った幻想的な曲や、シューティングで使用する自機をカスタマイズできるのも特徴です。
※インディーズゲームとは?…法人(会社)に属さない、個人もしくは団体が開発したゲーム全般を差します。


公式サイトだけではピンと来ない人も多いと思いますので。ざっくりとゲーム内容を紹介します。



|== ゲームの流れ ==|
このゲームは「アドベンチャーパート」と「シューティングパート」があります。

「アドベンチャーパート」は、2Dスクロール型のアクションゲームでラクガキの世界を渡り歩いていき、アクションゲーム時は、橋を渡って奥や手前のエリアに移動したり、住人に話しかけたりして物語の流れを知っていきます。
プロペラのようなものに触れるとセーブ。落とし穴があったりして、落ちるとセーブポイントからやり直しです。残機という概念はありませんし、ペナルティもありません。

また、ラクガキの世界には、至るところに色々な「ゴールデンスケッチ」が隠されています。文字通り、黄金色のラクガキですね。
どこかに落ちていたりするほか、ミッションで好成績を出すと獲得できます。

|== シューティングパートについて ==|
アドベンチャーパートで特定の住人に話しかけるなどすると、ミッションが発生。このミッションが、シューティングパートとなっています。

内容は、わりとベーシックな2D横スクロール型のシューティングゲームです。
残機は全ミッション共通で、5つ。ボスを倒す前に残機がゼロになると、ミッション失敗です。いわゆる”ライフ制”になっており、ちょっとやそっとでは撃墜されません。体当たりは一撃のようですけど(苦笑)
残機を多く残してミッションクリアするほど、好成績となります。

で、ミッション開始前に、自機のカスタマイズ画面へ移動します。
2種類の武器・特殊攻撃・ボディをここで設定。持っていない武器を新しく入手したり、持っている武器を強化したりできます。購入や強化には、敵を倒したりして入手する”インク”が必要になります。
あと、特殊攻撃というのは、プレイ中に敵を倒すことで星マークがたまっていき、Aボタンを押すことで星を消費して繰り出せる必殺技のことを言います。

武器のタイプにも2種類あります。いわゆる「射撃」と「近接攻撃」です。
射撃は、Bボタンで発射するタイプ。近接攻撃は、敵に近づくと自動で攻撃してくれるタイプです。
射撃を2つ付けたり、近接武器を2つ付けたりすることもできますよ。

|== ホームガーデンについて ==|
主人公の拠点みたいな感じのところです。ゲーム開始時は、必ずここから始まります。
集めたゴールデンスケッチが飾られているほか、インクと引き換えにルーレットに挑戦させてくれる、ウサンくさい人もいます(笑)
ホームガーデンにある扉から出ると、前回、最後に訪れたエリアへ瞬間移動します。また、+ボタンでメニュー画面を開いて、いつでもホームガーデンに戻ることができます。

あと、ここでは、永遠に終わらないエンドレスモードみたいなミッションに挑戦することもできますよ。ここでインクを稼ぐのも良いでしょう。



■====== partygameの感想 ======■

=良い  =まあまあ or ちょっと気になる  ×=悪い


◆=== 参考データ ===◆
 プレイ内容 ―→ シナリオクリア
 シナリオクリアまでにかかったプレイ時間の目安 ―→ ●○○○○
   ●○○○○ = 10時間未満
  ●●○○○ = 10~20時間
  ●●●○○ = 20~30時間
  ●●●●○ = 30~50時間
  ●●●●● = 50時間以上


○ ―→ 飛び出す絵本のような世界観が、印象的です。
橋で奥や手前のエリアに移動したりするので、平べったい世界が何層にも重なっている感じなんですよね。あ~、これ立体視で見たいな~。
1人のデザイナーが描いているってことで、統一感があるのも良いですし、要所要所で出てくる住人もひとクセある容姿ばかり。いわゆる”子供の頃に描いたラクガキの世界”って感じです。
ストーリーはそれに相反して妙にシリアスですけど、内容は秘密です。


○ ―→ 幻想的で、頭に残る曲調もまた印象的。
この世界観には合っていると思います。
元々は”捨てられたラクガキたちの世界”という設定なので、悲壮感漂う曲が多いかな。でも、最終ミッションはなかなか勇敢というか、クライマックスな展開を盛り上げてくれました。


○ ―→ それなりのやり込み要素があります。
至るところにあるゴールデンイラストを集めるというやり込み要素はありますし、装備も色々。そこまで強力な装備を揃えなくてもエンディングまでクリアすることはできるので、そこから先はもうロマンでしょうね。
それこそ、エンドレスモードみたいなものもありますし。強力な装備を揃えて、エンドレスモードにとことん挑むのも良いでしょう。


○ ―→ 難易度バランスも、個人的には良かったです。
単にクリアするだけを目指すだけであれば、そこまでは難しくないです。5機+ライフ制ですからね。うかつに体当たりを食らったりしなければ、なんとかなるものです。まあ、多少の腕前は必要ですけどね。
ただ、好成績でクリア。ましてやゴールデンイラストを手に入れるためには、原則「ノーミスクリア」を目指すことになります。ノーミスといっても、ノーダメージではなく、残機が減ってはいけないって意味ですけど。それでもなかなか、それを目指そうと思うと、厳しいですよ。わりと。


△ ―→ 画面が揺れすぎて、酔う人もいるかも。
シューティングパートで、敵を倒すと、爆発とともに画面がけっこう大きく揺れるんですよね。ザコ敵を連続で倒した時なんかも揺れるので、場合によっては酔いを感じる人もいるかもしれません。
シューティングゲームですから、一転を集中して見つめるのではなく、画面全体をなんとなく把握できるよう広い視点で見るとよいでしょう。そうするとたぶん、酔いにくいハズです。


△ ―→ セーブされているタイミングが、よく分かりません。
新しい場所へ訪れて、そこにあるプロペラに触れてセーブ。で、ゲームをいったん終了して、翌日に再開…したら、なぜか1つ前の場所から再開。しかも、最後にクリアしたミッションが、クリアしていないことになっていました。
…なんか、せーブのタイミングがあいまいなのって、困りますね。


△ ―→ 全体的に、操作感覚や動きがぎこちないです。
アドベンチャーパートでは、ジャンプの挙動が少し違和感あります。
空中での制御が効きやすい時と効きにくい時があったりしますし、一番気になったのは、壁際でのジャンプ。ちょっとした段差を超えようと思って、その段差のある壁に向かって移動しながらジャンプしようとすると、そのまま段差を飛び越える…のではなく、なぜか段差とは反対型のほうに少し移動しながらジャンプするのです。しかも、空中制御が効きません。
なので、壁にぶつからないように段差を飛び越える必要があります。ちょっと面倒くさいでしょ?

あと、シューティングパートについては、敵がこちらの攻撃範囲外に出てしまうことがありました。
シューティングでは、特定の場合を除いて、基本は画面に出てきた敵が全滅もしくは画面外にいなくなったら、次の敵集団が襲ってくる…みたいな流れになります。つまり、敵が画面内に残り続けていたら、いつまでたっても次へ進みません。
しかし、攻撃した敵が画面の隅っこから少し顔を出しているくらいのところに行ってしまったことがありまして。その敵は自分から移動しない。攻撃してくる。しかもこちらは、近接武器しかないので攻撃できない。で、詰み、みたいな(苦笑)

インディーズゲームなので、仕方ないのかな…と思うところはありますけど、詰んでしまうのだけは勘弁してほしいです。


△ ―→ 「射撃武器が使えないミッション」の区別がハッキリしません。

なんか、どこかの住人が「○○では射撃が使えないぜ」的なことを言っていたと思うのですが、いまいちハッキリしないんですよね。なので、射撃武器を試してみる→弾が出ない→ミッション中止→近接武器だけにして再開、なんてことが多いです。
しかも、けっこうあるんですよね。射撃武器が使えないミッション。こんなに多いと、射撃武器の活躍の場が少なくて、なんか寂しいです。”シューティング”ゲームなのに…。


△ ―→ ゲームパッド単体でのプレイには対応していません。
対応していないことの問題というよりは、二画面で遊ぶというプレイスタイルが必要ないでしょ?ということへの問題ですね。
アドベンチャーパートの場合、ゲームパッドの画面にはテレビ画面よりも少し広い範囲を映し出してくれています。ただそれだけ。音は出ていません。+ボタンを押してメニュー画面を開くと、ゲームパッドの画面にだけ出てきます。
シューティングパートの場合、基本はゲームパッドにもテレビ画面と同じものが表示されていますが、なぜかパラメータ(残機やインク数)などは表示無し。こちらも、音は出ていません。

この中途半端な違い、必要あったんでしょうか?私は結局、メニュー画面を利用する時以外は、ゲームパッドの画面を見ていません。
それなら、普通にゲームパッド単体でプレイできるようにしたほうが、需要がありましたし、開発者としてもわざわざゲームパッドの画面構成を考えなくて良いのでラクだと思うのです。
二画面あるからって、無理に活用しようとしたら逆効果。これは、DSの時代から同じですし、Wii Uではますます、逆効果につながる傾向が高いでしょうからね。


× ―→ フリーズ(画面停止)のバグに2回遭遇。
たいして長いことプレイしていないなかで、2回も止まっちゃいました。

1回目は、メニュー画面を開いて色々試していた時ですね。
メニュー画面からは、すでに挑戦したことのあるミッションを選択して再挑戦できるのです。そこで、再挑戦→途中でミッション中止→アドベンチャーパートに戻ってくると、会話ウインドウがおかしな感じで表示され、しかもボタン操作を受け付けなくなり、そして最後にはヘンな音を出してフリーズ。
なんか、元ゲームクリエーターとしては、ヘンに懐かしく感じました(苦笑)

しかも運の悪いことに、2回目はラスボスを倒してエンディングのデモが流れている最中。これがなぜ運が悪いか?というと…この後再開したら、一番最初の場所に元されていたのです。しかも、ストーリー進行に必要な仕掛けは、全てリセット。最後のミッションは、挑戦していないことになっていました。
おそらく、デモが流れた時点で「エンディングを見た」的な判定になっていたけど、「最後のミッションをクリアした」という判定にはなっていなくて、そこらへんのチグハグなフラグにより、おかしなことになったんじゃないかと思っています。

インディーズゲームって、ここが最大の弱点だと思っているんです。人数も期間もコストも抑えて、無限のアイデアを形にする。でも、それゆえにデバッグにさける期間や人数はかなり限りがあり、当然、デバッグ用メーカーにお願いするようなお金も少ないでしょうね。で、結果としてわりと多くのバグを逃すことになります。
大企業のタイトルですらバグに悩まされることがあるご時世なのに、インディーズゲームとなると…ますます、悩まされることになりそうですね。



■====== まとめ ======■
●●●●●○○○○○ … 5点(10点満点)


ボールペンで描かれた世界は一見の価値ありですし、シューティングゲームとしても充分に楽しめるものになっていましたが、一方でインディーズゲームならではの弱みも露呈しているように思いました。

かつてDSの時代にも、色々とアイデアあふれる作品が生まれては、完成度の低さゆえにその魅力を出し切れなかったなんてことがあったものです。素晴らしいアイデアがあるし、無理にボリュームを詰め込もうとする必要もない。そこにインディーズゲームの可能性があるわけですが、だからといって、簡単な操作でフリーズを起こすようなゲームを世に出していいわけではありません。
結局、世に発売して多くの人がお金を出して遊ぶことになる以上、商品としての最低限のノルマを超えている必要はあるわけで。「インディーズゲームだから」なんて理由で許してくれる人なんて、ほとんどいません。だからこそ、作ってハイおしまいではなく、やはり、それを安全に楽しんでもらえるデバッグ作業には、ある程度の注力をしないといけないとは思います。バグの出づらいプログラムを組むか?デバッグ期間を長く設けるか?ここをどう攻略するかが、インディーズゲームにとっての壁になりそうです。

とはいえ、たくさんのラクガキを貼り合わせたかのうような独自性あるグラフィックは不思議な魅力がありましたし、基本的なゲームシステムは悪くないと思いました。500円ということを考えると、コストパフォーマンスは中々のものです。ただし、バグに遭遇しなければの話ですが。


日本にはまだほとんど浸透していない、インディーズゲーム。
開発費の高騰などに悩まされているゲーム業界にとって、新たな口火になることはおそらく間違いないのですが、そのためにはまだまだ、いくつかの壁を越えていかなければいけないように感じます。ガンバレ!

万人向け ← ○○●○○○○○○○ → 熟練者向け
手軽に ← ○○○●○○○○○○ → じっくり
思考タイプ ← ○○○○○○○○○● → 感覚タイプ
 爽快感重視 ← ○○○○○○○○●○ → 達成感重視 


その他のタイトルのインプレッション記事は、こちらからどうぞ

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今週発売・配信される主なゲ... | トップ | ワンクリックアンケート集計... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

【旧】購入・レビュー話」カテゴリの最新記事