チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「Good-bye Mr.O'toole/ピーター・オトゥールの死にあたって」

2013年12月25日 18時17分07秒 | 寝苦リジェ夜はネマキで観るキネマ
去る14日に、アイルランド出身の英俳優、
Peter O'Toole(ピーター・オトゥール、1932-2013)が死んだ。
「アラビアのロレンス」も「何かいいことないか子猫チャン」も
「おしゃれ泥棒」も「チップス先生さようなら」も
「冬のライオン」も、映画館では観たことがない。
ジェイムズ・ディーンと同様に、あの
エクセントリックな顔がまず虫が好かなかった。
本当はいい顔をしてたのだが。そんなまだ二枚目だった
若い頃なら「大岡越前」を加藤剛とダブル・キャストで演じれば
それも一興だったかもしれない。
オトゥール主演の映画を劇場で初めて観たのは、
「ラ・マンチャの男」だった。果たして、
マーイヤ・プリセーツカヤ女史とヘレン・ミレン女史の顔を
瞬時には判別できない拙脳なる私には
退屈きわまりなかった。が、
同人が名優だということは解った。
何しろあれだけ"異彩を放つ"のだから。まあ、
クセが強い舞台向きの俳優だったということかもしれない。
そんなオトゥールの主演作品の中では、上記の
「チップス先生さようなら」のときのが好きである。

そんなキャラをかわれてか、
グラナダTVの「プライム・サスペクト(第一容疑者)」スィリーズの
テニスン警視役を経て熟してから世界的女優となった
ヘレン・ミレン女史とともに、
正真正銘のポルノ映画「カリギュラ」にキャスティングされ、
出演したのである。
俳優の鑑である。
オトゥールをそれで少し好きになった。
老いてさらに異様な風貌となったオトゥールは、
TVドラマ「THE TUDORS 背徳の王冠」で、
常人を超えた風貌の教皇パウルス3世役で
"大物感"を醸しだしてた。

が、
おそらく、私だけでなく、日本人にとって、
この怪優の"インパクト"は、
平成4年に開業した佐世保の
「長崎ハウステンボス」のTVCMの、
大仰な演奏のチェロに乗って運河を行く
死に化粧のようなメイクの不審人物だったろうと思う。
そんなキモさハウス百テン万点の初老人を、
道端の美少女が大好きなおじさまに会えたのが
心からうれしいというように、
手を振ってゴンドラの行方を追うという、
奇妙奇天烈な絵は、まさに、
バブル崩壊ジャパンを象徴してるものだった。
CFの最後に怪人は園の名を口にする。
「ハウス・テン・ボーース」
なぜボを異様に伸ばすのか、よく解らないところがまた、
ミステリアスでキモよかったのである。
南無・アムステルダム、である。

(そのCMで使われてた大バッハのいわゆる
「無伴奏チェロ組曲第1番」のプレリュード(ト長調)を、
ピッコロ、フルート、オーボエ、イングリッシュホルン、
クラリネット、バス・クラリネット、ファゴット、コントラファゴット、
という「木管8重奏」にアレンジしたものを
こちらにアップしました。
https://soundcloud.com/kamomenoiwao-1/bach-js-kamomeni-iwao-cello )
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