[Il retrouve l'aimee dans un bal au milieu d'une fete brillante.]
父が医者だったベルリオーズは心ならずも医学校に進んだ。が、
いやいやながらの勉強などできるはずもない性格で、結局、
26歳という高齢でパリ音楽院に入るのである。そんな中、
英国からやってきたシェイクスピア劇団一座の
「ハムレット」を観たベルリオーズは、その看板女優、
ハリエット・スミッスンそのものに魅せられてしまった。が、
いかに不美人でも売れっ子女優が、
音楽院の学生、しかも、けっこうブサイク顔な男の求愛に
ベルリ応ずるわけがない。はたして、
ベルリオーズはスミッスン女史へのストーカーとなったのである。が、
こういう男の「ただひとりの女性」という認識は、
通常の男のとに齟齬がある。先日、
千葉市の団地で、出会い系サイトで知り合い、同棲してたが、
暴力を振るったことで逃げられた女性の母親を切り殺した
仲田容疑者も、あんなキモいツラしてても、他に
いわゆる「女」が何人もいて、実は妻も子もいる、
というありさまである。際限なく女性を求めるのである。
「ただひとりの女性」なんて、こういう手合いにとっては、
その場そのばでの「ただひとりの女性」なのであって、
見境がない。ただし、このような男に
コロっと参る女性の一群があるのも事実である。
サガミオリジナルをうれしそうに手にして
カメラに収まる日テレの夏目三久アナウンサーも、
特定の男性に首ったけ、「強い男」に
一途になるタイプなんだろう。まぁ、
"Dr.House"のHugh Laurieが、ともに1930年生まれの
Clint EastwoodとSteve McQueenのかけ合わせ、
みたいに見えてしまう拙脳な私の感じることにすぎない。
♪ヒュー・ローリーーー、ヒュー・ローリーー・ララーー♪
聞き分けのない野郎です。ブサイクの極みみたいな私など、
マーラーの「交響曲第5番」の第4楽章「アダージェット」を
自分でピアノ用にアレインジしたものを
あるまま弾いてみせても、未だに、それで
落ちてくれた女性は皆無である。それはどうでも、
ベルリオーズはそのうち、ローマ大賞を勝ち取って、
マリー・モークというピアニストといい仲になり、
婚約するのである。が、この女性の母親は、
ベルリオーズの危うさを敏感に察知したのか、
ベルリオーズがイタリア留学の身となってる間に、
娘をやや年は食ってるが他の男……ピアノ製造業者
プレイエル家の御曹司とめあわせてしまったのである。となると、
ストーカー気質で支配欲が旺盛なベルリオーズのような男が
黙ってるはずがない。怒り狂って、
母娘をマジ殺す計画を立て、ピストルを用意して、
ローマからパリへの大返しを計る。が、
その作曲の芸風とおなじで、行きとどかない、
ヌケたとこがある。殺害時に女中にバケる変装服を
ジェノヴァで紛失してしまうのである。
暗殺→女中に化けるというのは、マラー殺害とか、
ひと世代前の恐怖政治の頃の話であるのも、
おまぬけな話ではある。しかも、
マラーを刺したのは由緒正しい家柄の女性だが、
ベルリオーズは野郎である。女中に化けてもすぐに
女装魔と見とがめられてしまう。ともあれ、そんな
挙動不審なベルリオーズをジェノヴァの官憲は見逃さず、
トリノからの大返しを許可しなかった。しかたなく、
ベルリオーズはニース経由の道を選ぶ。が、
ニースで煮えくりかえってた頭が冷めたのか、
ニース名物Soccaでも食って、ああソッカと悟ったのか、
Ailloliソースをつけて食って、
アイヨリ大事なものがある……音楽が、
などと目覚めたか、急に
いずれアヤメるか掻っ切るつばたか、
やる気が失せるのである。
ジェノヴァの警察に感謝である。なぜなら、
ニースは当時イタリアだったのである。だから、
まだ、国境を越えてなかったので、
ローマ大賞の資格をまだ失ってない、という
対象だったからである。ベルリオーズはローマに引き返す。
ここが、なんの才能もないのに、
ただ女を追いかけるただのストーカーとは違うとこである。
スミッスン女史への思いが「幻想交響曲」となり、
モーク母娘への怨念が「レリオ」となるのである。
ベルリオーズの「幻想交響曲」、正式名称
"Episode de la vie d'un artiste,
symphonie fantastique en cinq parties"
(エピソード・ドゥ・ラ・ヴィ・ダナルティスト、
サンフォニ・ファンタスティク・アン・サンク・パルティ)
「ある芸術家の生涯の出来事、5部から成る幻想交響曲」
の第2楽章のタイトルは"Un bal(アン・バル舞踏会)"、
「valseヴァルス」である。ところで、
この「交響曲」は1830年に作曲され、同年に初演された。いっぽう、
オケのスコアが出版されたのは1845年のことである。そこには、
作曲者自身の「プログラム」が添えられてた。が、
それも含め、何度か改訂されたようである。
1855年版に添えられた第2楽章へのプログラムは、
"Il retrouve l'aimee dans un bal au milieu d'une fete brillante."
(イル彼は・ルトルヴ見いだす・レメ(la女性定冠詞+aimee)愛する女性を・
ドン~で・アン男性不定冠詞・バル舞踏会・オ(aア~に+le男性定冠詞)・ミリュー中・
ドュヌ(de~の+uneユヌ女性不定冠詞)・フェットざわめき・ブリヤント華やかな)
となってる。
「ある舞踏会の絢爛たるざわめきの中に、
彼は思い焦がれてる女性を再び見いだす」
のである。まず、この楽章は、
「イ短調からイ長調の序」
→「イ長調のヴァルス」→「ヘ長調のイデー・フィクス」
→「イ長調のヴァルス」→「ニ長調からイ長調へのイデー・フィクス」
→「イ長調の結」
という、展開部を欠いたソナータ形式である。
[ヴァルス、アッレーグロ・ノン・トロッポ(附点8分音符=60)、3/8、3♯(イ長調)]
「序」
高中弦による実質イ短調のトレモロに導かれて、低弦がやはりトレモロで、
***♪ラ<ド<ミ│<ラ<ド>ラ♪
と、クレッシェンド→ディミヌエンドを奏する。続く
│>ファーー│ー♪
はトレモロではない。そして、そこにはハープのアルペッジョが被される。
その後は第1ハープと第2ハープが交互に爪弾く。が、
イ長調が確立されるに及んで、2台がいっしょに
下降スケイルを重ねる。ここで、
A管のピストン附きコルネットが加わる(版を採るものもある)。ちなみに、
ベルリオーズは作曲だけでなく、物書きも多くしてた。そんな中で、
ピストン附きコルネットの下卑た音色を毛嫌いしてることを表してる。が、
1844年、5月の「ある晩」の公演の際、コンセルヴァトワールの光の星である
コルネットの使い手学生のために書き足されたという。
「ヴァルス」
ドルチェ・エ・テヌートと指示されたvnプリーモがワルツを弾く。
****♪ミ、>レ、│>ド>シ<ド<レ<ミ、<ファ、│<ソーー<♯ソ<ラ、<シ、│
<ドーー>シ<レ、>ド、│>シーーー>ラ●│
ラーーー>(ポルタメント)>ファ、>ミ、│ミ>レ、レ、>ド>シ<ド、│
<レ>♯ド<レ、<ソ>♯ファ<ソ、│>ミー●<ファ>ミ>レ、│
>ド>シ<ド<レ<ミ、<ファ、│<ソ>♯ファ<ソ<♯ソ<ラ、<シ、│
(ラレンタンド=次第に遅く)
<ド>シ<ド<ミ、>レッ>ドッ│>シーーー>ラ●│
(ア・テンポ=もとの速さで)
ラーーー>(ポルタメント)>ファ、>ミ、│ミ>レ、レ、>ド>シ<ド、│
<レ>♯ド<レ、<ソ>♯ファ<ソ、│>ドーーー♪
実に洒脱なワルツである。このワルツのテンポの揺らしかたに、
凡人ながらもベルリオーズの秀でた音楽センスがうかがえる。ときに、
スフォルツァンドのラからポルタメントでファに降りる指示を、
巷の指揮者らはポルタメントさせてないのがほとんどである。また、
指示を無視してテンポを揺らさないむきもある。
音楽センスが微塵もうかがえない輩どもである。さて、
ワルツ提示部の終い近くになって、また、
ピストン附きコルネットは登場する。
「イデー・フィクス=ハリエット・スミッスン女史の幻影」
曲はイ長調からヘ長調に転じ、ほとんど聞こえないくらいな
高中弦によるppppのトレモロに乗って、
フルート1管+オーボエ1管によるユニゾンのソリが、エスプレッスィーヴォの指示で、
****♪ソー│ソーーーーー│<ドー>ソー<ミー│ミーーー<ファー│ーーーー>ミー│
ミーーー>レー│ーーーー>ドー│ドーーーーー│>シー●●♪
という、3拍子化されたイデー・フィクスを吹く。が、続く、
****♪>レー│レーーーーー│<ソー>レー<シー│>ソーーー<レー│ーーーー<♯ファー│
<ソーーーソー│ーーーー>ファー│>ミー●●♪
からは、フルート1管+クラリネット1管によるユニゾンのソリに替わる。
「ヴァルス」
が再現されると、
「イデー・フィクス=ハリエット・スミッスン女史の幻影」
は、今度は[un peu retenu(アン・プ・ルトニュ)=ややリテヌートして]
クラリネット1管が寂しく奏でる。ニ長調からイ長調となり、
「結」
は、テンポを戻して(かつ、コン・フオコ)、
****♪ドドドー<ミー│ミー<ソーソー│<ラー>ファーファー│>レー>シーシー♪
ピストン附きコルネットも、この結尾部ではほとんど参加する。
そして、テンポは[animez]……日本の漫画ブームが
勢いよくやってくるのである。弦が渦巻く中、
クラリネット2管+ホルン2管+コントラバスが、
イ長調の下降スケイルを奏する。そして、さらに、
[serrez]。何かと競れとでもいうように、
追いつめるようなテンポに速められる。
お見事な締めくくりかたである。
この楽章は、画期的ではあるが、しかし、それだからこそ
素人並みの泥臭いオーケストレイションが身上である
ベルリオーズにしてはめずらしく、きわめて洗練されてる。
顔のキモさ日本一の私は、せめて社交ダンス教室で
ワルツのステップでも習って、がんバル、としよう。が、
それもだめにきまってる。いずれおなじことである。
父が医者だったベルリオーズは心ならずも医学校に進んだ。が、
いやいやながらの勉強などできるはずもない性格で、結局、
26歳という高齢でパリ音楽院に入るのである。そんな中、
英国からやってきたシェイクスピア劇団一座の
「ハムレット」を観たベルリオーズは、その看板女優、
ハリエット・スミッスンそのものに魅せられてしまった。が、
いかに不美人でも売れっ子女優が、
音楽院の学生、しかも、けっこうブサイク顔な男の求愛に
ベルリ応ずるわけがない。はたして、
ベルリオーズはスミッスン女史へのストーカーとなったのである。が、
こういう男の「ただひとりの女性」という認識は、
通常の男のとに齟齬がある。先日、
千葉市の団地で、出会い系サイトで知り合い、同棲してたが、
暴力を振るったことで逃げられた女性の母親を切り殺した
仲田容疑者も、あんなキモいツラしてても、他に
いわゆる「女」が何人もいて、実は妻も子もいる、
というありさまである。際限なく女性を求めるのである。
「ただひとりの女性」なんて、こういう手合いにとっては、
その場そのばでの「ただひとりの女性」なのであって、
見境がない。ただし、このような男に
コロっと参る女性の一群があるのも事実である。
サガミオリジナルをうれしそうに手にして
カメラに収まる日テレの夏目三久アナウンサーも、
特定の男性に首ったけ、「強い男」に
一途になるタイプなんだろう。まぁ、
"Dr.House"のHugh Laurieが、ともに1930年生まれの
Clint EastwoodとSteve McQueenのかけ合わせ、
みたいに見えてしまう拙脳な私の感じることにすぎない。
♪ヒュー・ローリーーー、ヒュー・ローリーー・ララーー♪
聞き分けのない野郎です。ブサイクの極みみたいな私など、
マーラーの「交響曲第5番」の第4楽章「アダージェット」を
自分でピアノ用にアレインジしたものを
あるまま弾いてみせても、未だに、それで
落ちてくれた女性は皆無である。それはどうでも、
ベルリオーズはそのうち、ローマ大賞を勝ち取って、
マリー・モークというピアニストといい仲になり、
婚約するのである。が、この女性の母親は、
ベルリオーズの危うさを敏感に察知したのか、
ベルリオーズがイタリア留学の身となってる間に、
娘をやや年は食ってるが他の男……ピアノ製造業者
プレイエル家の御曹司とめあわせてしまったのである。となると、
ストーカー気質で支配欲が旺盛なベルリオーズのような男が
黙ってるはずがない。怒り狂って、
母娘をマジ殺す計画を立て、ピストルを用意して、
ローマからパリへの大返しを計る。が、
その作曲の芸風とおなじで、行きとどかない、
ヌケたとこがある。殺害時に女中にバケる変装服を
ジェノヴァで紛失してしまうのである。
暗殺→女中に化けるというのは、マラー殺害とか、
ひと世代前の恐怖政治の頃の話であるのも、
おまぬけな話ではある。しかも、
マラーを刺したのは由緒正しい家柄の女性だが、
ベルリオーズは野郎である。女中に化けてもすぐに
女装魔と見とがめられてしまう。ともあれ、そんな
挙動不審なベルリオーズをジェノヴァの官憲は見逃さず、
トリノからの大返しを許可しなかった。しかたなく、
ベルリオーズはニース経由の道を選ぶ。が、
ニースで煮えくりかえってた頭が冷めたのか、
ニース名物Soccaでも食って、ああソッカと悟ったのか、
Ailloliソースをつけて食って、
アイヨリ大事なものがある……音楽が、
などと目覚めたか、急に
いずれアヤメるか掻っ切るつばたか、
やる気が失せるのである。
ジェノヴァの警察に感謝である。なぜなら、
ニースは当時イタリアだったのである。だから、
まだ、国境を越えてなかったので、
ローマ大賞の資格をまだ失ってない、という
対象だったからである。ベルリオーズはローマに引き返す。
ここが、なんの才能もないのに、
ただ女を追いかけるただのストーカーとは違うとこである。
スミッスン女史への思いが「幻想交響曲」となり、
モーク母娘への怨念が「レリオ」となるのである。
ベルリオーズの「幻想交響曲」、正式名称
"Episode de la vie d'un artiste,
symphonie fantastique en cinq parties"
(エピソード・ドゥ・ラ・ヴィ・ダナルティスト、
サンフォニ・ファンタスティク・アン・サンク・パルティ)
「ある芸術家の生涯の出来事、5部から成る幻想交響曲」
の第2楽章のタイトルは"Un bal(アン・バル舞踏会)"、
「valseヴァルス」である。ところで、
この「交響曲」は1830年に作曲され、同年に初演された。いっぽう、
オケのスコアが出版されたのは1845年のことである。そこには、
作曲者自身の「プログラム」が添えられてた。が、
それも含め、何度か改訂されたようである。
1855年版に添えられた第2楽章へのプログラムは、
"Il retrouve l'aimee dans un bal au milieu d'une fete brillante."
(イル彼は・ルトルヴ見いだす・レメ(la女性定冠詞+aimee)愛する女性を・
ドン~で・アン男性不定冠詞・バル舞踏会・オ(aア~に+le男性定冠詞)・ミリュー中・
ドュヌ(de~の+uneユヌ女性不定冠詞)・フェットざわめき・ブリヤント華やかな)
となってる。
「ある舞踏会の絢爛たるざわめきの中に、
彼は思い焦がれてる女性を再び見いだす」
のである。まず、この楽章は、
「イ短調からイ長調の序」
→「イ長調のヴァルス」→「ヘ長調のイデー・フィクス」
→「イ長調のヴァルス」→「ニ長調からイ長調へのイデー・フィクス」
→「イ長調の結」
という、展開部を欠いたソナータ形式である。
[ヴァルス、アッレーグロ・ノン・トロッポ(附点8分音符=60)、3/8、3♯(イ長調)]
「序」
高中弦による実質イ短調のトレモロに導かれて、低弦がやはりトレモロで、
***♪ラ<ド<ミ│<ラ<ド>ラ♪
と、クレッシェンド→ディミヌエンドを奏する。続く
│>ファーー│ー♪
はトレモロではない。そして、そこにはハープのアルペッジョが被される。
その後は第1ハープと第2ハープが交互に爪弾く。が、
イ長調が確立されるに及んで、2台がいっしょに
下降スケイルを重ねる。ここで、
A管のピストン附きコルネットが加わる(版を採るものもある)。ちなみに、
ベルリオーズは作曲だけでなく、物書きも多くしてた。そんな中で、
ピストン附きコルネットの下卑た音色を毛嫌いしてることを表してる。が、
1844年、5月の「ある晩」の公演の際、コンセルヴァトワールの光の星である
コルネットの使い手学生のために書き足されたという。
「ヴァルス」
ドルチェ・エ・テヌートと指示されたvnプリーモがワルツを弾く。
****♪ミ、>レ、│>ド>シ<ド<レ<ミ、<ファ、│<ソーー<♯ソ<ラ、<シ、│
<ドーー>シ<レ、>ド、│>シーーー>ラ●│
ラーーー>(ポルタメント)>ファ、>ミ、│ミ>レ、レ、>ド>シ<ド、│
<レ>♯ド<レ、<ソ>♯ファ<ソ、│>ミー●<ファ>ミ>レ、│
>ド>シ<ド<レ<ミ、<ファ、│<ソ>♯ファ<ソ<♯ソ<ラ、<シ、│
(ラレンタンド=次第に遅く)
<ド>シ<ド<ミ、>レッ>ドッ│>シーーー>ラ●│
(ア・テンポ=もとの速さで)
ラーーー>(ポルタメント)>ファ、>ミ、│ミ>レ、レ、>ド>シ<ド、│
<レ>♯ド<レ、<ソ>♯ファ<ソ、│>ドーーー♪
実に洒脱なワルツである。このワルツのテンポの揺らしかたに、
凡人ながらもベルリオーズの秀でた音楽センスがうかがえる。ときに、
スフォルツァンドのラからポルタメントでファに降りる指示を、
巷の指揮者らはポルタメントさせてないのがほとんどである。また、
指示を無視してテンポを揺らさないむきもある。
音楽センスが微塵もうかがえない輩どもである。さて、
ワルツ提示部の終い近くになって、また、
ピストン附きコルネットは登場する。
「イデー・フィクス=ハリエット・スミッスン女史の幻影」
曲はイ長調からヘ長調に転じ、ほとんど聞こえないくらいな
高中弦によるppppのトレモロに乗って、
フルート1管+オーボエ1管によるユニゾンのソリが、エスプレッスィーヴォの指示で、
****♪ソー│ソーーーーー│<ドー>ソー<ミー│ミーーー<ファー│ーーーー>ミー│
ミーーー>レー│ーーーー>ドー│ドーーーーー│>シー●●♪
という、3拍子化されたイデー・フィクスを吹く。が、続く、
****♪>レー│レーーーーー│<ソー>レー<シー│>ソーーー<レー│ーーーー<♯ファー│
<ソーーーソー│ーーーー>ファー│>ミー●●♪
からは、フルート1管+クラリネット1管によるユニゾンのソリに替わる。
「ヴァルス」
が再現されると、
「イデー・フィクス=ハリエット・スミッスン女史の幻影」
は、今度は[un peu retenu(アン・プ・ルトニュ)=ややリテヌートして]
クラリネット1管が寂しく奏でる。ニ長調からイ長調となり、
「結」
は、テンポを戻して(かつ、コン・フオコ)、
****♪ドドドー<ミー│ミー<ソーソー│<ラー>ファーファー│>レー>シーシー♪
ピストン附きコルネットも、この結尾部ではほとんど参加する。
そして、テンポは[animez]……日本の漫画ブームが
勢いよくやってくるのである。弦が渦巻く中、
クラリネット2管+ホルン2管+コントラバスが、
イ長調の下降スケイルを奏する。そして、さらに、
[serrez]。何かと競れとでもいうように、
追いつめるようなテンポに速められる。
お見事な締めくくりかたである。
この楽章は、画期的ではあるが、しかし、それだからこそ
素人並みの泥臭いオーケストレイションが身上である
ベルリオーズにしてはめずらしく、きわめて洗練されてる。
顔のキモさ日本一の私は、せめて社交ダンス教室で
ワルツのステップでも習って、がんバル、としよう。が、
それもだめにきまってる。いずれおなじことである。
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