グッバイ バタフライ

この冬初めてあられが降りました。
時折風速20メートルの強風が吹いた日。

帰宅すると

家に

真っ黒な「モンキアゲハ」がいました。

そうです。
さなぎが羽化しました。

越冬するかと思いきや、そうでなかったのです。

あわてて花屋へ行き、キバナコスモスを購入。

コスモスの上に、即席でランの支柱と洗濯ハンガーでおうちをつくりました。


が、花にはつかまるものの、どうも食事をする気配がありません。
蜂蜜で作ったお水も管を伸ばして飲んでくれません。


このままでは・・・。

困りました。


朝起きると

蝶は天井に留まっていました。

捕まえて無理におうちにもどすか迷いました。

そして

子ども達が学校に出かけた後

朝日がまぶしいくらい家中を照らし始めました。


出ておいで
こっちの世界においでよ

蝶を呼ぶ声が聞こえるような気がしました。

キッチンのドアをあけて

広い世界はもうすぐそこ。

ひらひらとはばたき

光の世界へ飛び立ちました。


はじめは弱弱しく
強い風にあおられながらも

高く高く舞い上がっていきました。

暖かい我が家で食べることもできず
知るはずだった世界を知ることもなく
終わるよりも

厳しい自然界でほんの少しの間かもしれませんが
精一杯生き、伴侶を求める旅に出る

きっとそのほうが幸せだったと
願わずにいられません。


グッバイバタフライ

グッドラック


空に消えていく姿が最後はにじんで見えませんでした。