なんかカールしてる

良いことあったら、ちょっとおしえましょう。

大人の癒し空間でキンチョーする我々

2017-01-30 17:34:01 | 日記
昨日のこと。美杉村へ行きました。三浦しおんさんの「神去りなあなあ」の舞台のモデルとなった村です。今は津市になりましたが、美杉村の方がやっぱりぴったりする林業とお茶と清流のきれいな山里です。昨年名松線が復活してから、鉄道マニアの夫と訪れることが多くなりました。

   緑の鉄橋の上を走る一両の電車を狙ったり、カーブを曲がる電車を真正面から狙ったり、いろいろ夫なりの撮影ポイントがあるようですが、昨日は、伊勢奥津駅に止まっている電車を撮っただけになりました。それでも、夫はスーパーハイテンション。隣接している交流館で、「伊勢奥津駅」とプリントされたキャンバス地のバッグや、開通記念のお茶の缶も買ってご満悦です。

駅の手編み座布団が可愛くて

   わたしの興味は電車ではなくて、この駅の近くに昨年できたという古民家カフェにありました。このあたり、伊勢本街道の奥津宿といい、古い町並みが残っていて、造り酒屋や旅籠だったらしい建物などもあるのですが、高齢化が進み、どうもそれをうまく活かすことができていない感じです。住む人のいなくなった家も多く見られ、寂しい感じのする街道沿いをぶらぶらと10分ぐらい歩いて、もう集落のはずれかなと思うあたりに目的のカフェ「葉流乃音(はるのん)」はありました。古民家というより堂々としたお屋敷です。引き戸を開けると、懐かしい三和土のある玄関。ガラス戸の向こうにお店の方の影が見え、「どうぞ」とご主人が顔を覗かせて下さいました。

 表はこんな感じ

   靴を脱いで、岩手の親戚の本家や大本家の家にもあるような、木でできた帯戸を開けたら、スゴイ!と声が出ました。この帯戸、自分で開けて感動の別世界を目にする演出になっています。田の字に区切られていた4部屋の襖が取り払われ、広いお座敷が開けていました。障子に囲まれた畳の和室ですが、部屋の隅それぞれに取り付けられた灯りと、モダンでありながら暖かみのある木製家具が並べられているため、雰囲気は和モダンな洋間です。灯りは切子のガラスのシェードを通して、白い漆喰の壁にキラキラと模様を映し出しています。家具はおそらく一点もの。奥には押し入れだったところを改造したとのことですが、憧れの薪ストーブが赤々と燃えているのです。

   寒かったのでストーブの前のロッキングチェア風の椅子もいいなと思いましたが、削りだしたようなどっしりした丸いテーブルとコロンと可愛い椅子がセットになっているところに座席を決めました。わたしは興味深々で立ったり座ったりしながらキョロキョロと部屋のしつらえを見回していたのですが、夫はどういうわけか借りてきた猫みたいに肩をすぼめてちんまりと小さな椅子に収まっています。珈琲(自家焙煎)とケーキのセットを頼んで、一言も発せずキンチョーがまるわかりの夫をからかいながら、わたしもキンチョーしつつ座っていました。わたしは、機会さえあればいろいろご主人にお話を伺いたくてウズウズしていたのですが、ご主人も話したいお客かどうかわからないので、しばらくそっとしておいてくださった感じです。

 素敵なしつらえは申し出にくくて撮れなかった

  珈琲と奥様お手製のケーキ(わたしはクルミとシナモンのパウンドケーキ、夫はシフォンケーキ)が運ばれてきて、さっそくブラックで一口頂きました。夫が口をつける前にポーションのミルクをいれようとするので、「失礼だよ。まずはそのまま飲んだら。」と、たぶん(きっと!)険しい目つきをして注意しました。だってミルクなしで美味しく飲める珈琲だし。それが彼のキンチョーに拍車をかけたのか、夫はケーキをパクパク、珈琲もゴクゴク飲んでしまい、さあ、あとどうする状態に(黙ったままだし)。わたしはもっとゆっくりこの空間と時間を楽しみたいのに…。

  苦肉の策で、珈琲カップをひっくり返したりして、何焼きかなとみていると、ご主人が「大分の小鹿田(おんた)焼きです。」と教えて下さって、そこを糸口にいろいろ話しをすることができました。そのときには奥様もカウンターの向こうにいて、いっしょにお話しを聞くことができました。食器が並ぶ棚の、アールヌーボー調の素敵な飾りガラスはもともとこのお屋敷の窓ガラスに使われていたこと。アンティークのような切子の灯りシェードは大阪の空堀の職人さんのもの。建具や壁の一部はご夫婦がきれいにしたり、塗り替えたりしたとのこと。他にもいろいろ伺って、本当に楽しい時間を過ごしました。なんといっても「チルチンびと」が愛読書だった時代があるわたしには興味が尽きないのです。ワクワク。

  わたしたちの他にお客さんは、「葛餅が絶品だから、次はぜひどうぞ」とすすめて下さった常連さん風の女の方だけで、まだまだお話できそうな雰囲気でしたが、夫がトイレにばっかり行くので(薪ストーブって意外と暖まらない、というか広いからかな)、続きは次の機会にとっておくことにしました。

 一昨日の夕焼け空

  今度また、この雰囲気が好きそうなお友達を誘ってみようと思います。山越え谷越え行かないといけないけれど、流行の若者好きのするカフェとは違い、本当の大人の素敵な空間という感じは貴重だと思います。夫がまた桜の季節に名松線を撮りに行くと思うので、そのときでもいいけれど。


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